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神官リオネル編
第33話 神官の感情なき奉仕(1/3)
しおりを挟む【時系列:第17話の少し前 / 視点:リオネル】
——————
神聖教会直属、第七祈祷区――その主幹神官が私、リオネル・フェルノートだ。
肩書きこそ立派だが、実情は“雑務処理係”に近い。部下は数十人を超え、何かと私に相談が集まってくる。頼られるのは悪い気はしないが、どうにも押し付けられているような気がする。
今日も机上には、未処理の報告書が三十数件。眼鏡越しに書類を見やる視界は、もはや霞むことすら諦めていた。
来月には中央からの視察も控えており、祈祷式の段取りから神術の選定、聖具の再調律申請まで――確認すべき書類は、果てしなく山積していた。
だが、こうした煩雑さも“職務”のうち。
私はただ静かに、粛々とペンを走らせる。
――コン、コン。
ノックの音。
「失礼します。先ほどの書類、修正が終わりました」
扉を開けて入ってきたのは、部下の神官。まだ年若いが、素直で勤勉な男だ。彼は一礼し、慎重に数枚の用紙を机上へ差し出す。
私はその書類――聖堂の改修工事の計画案に軽く目を走らせたあと、静かに頷いた。
「……確認しました。ありがとう。これで内容に問題はありません」
そう告げたが、目の前の男は動こうとしない。
「……あの、リオネル様」
ほんのわずかな言い淀み。だが、私にはもう、次に来る言葉が分かっていた。声の揺れ、指先の所在なさ、わずかな鼓動の早まり。それはこの教会において、明確な“前触れ”でもあった。
「……いいですか?」
「ああ。今日、貴方でしたね」
私は静かに椅子を引いて立ち上がる。法衣の裾を手早く持ち上げ、腰まわりを整える所作はもう、息をするような自然さだ。
背を向けながら机の端に手をつき、身を預ける。文書と帳面に囲まれたまま、静かに体勢を整えるその姿を、私は何十回、何百回と繰り返してきた。
背後から近づいてくる気配。迷いがちな足取りと、わずかに緊張を帯びた呼吸音。
彼は慎重に距離を詰めると、低く息を吐いて、呟いた。
「……失礼、します……」
その声と同時に、下着の隙間から指先が差し込まれる。
迷いの残る撫でと共に、潤滑の魔術が淡く発動される。
そして――熱が押し当てられた。
「ん……」
浅く息が漏れた。だが、それは抑えきれない快感ではない。ただの反射。
私は目を伏せたまま、感情をどこかへ沈める。
ずぷっ……ぬちゅ……。
生々しい音を立てて、肉が押し広げられていく。
熱のある楔が、粘膜を押し割って、奥へ奥へと入り込んでくる。
最奥に触れた瞬間、ずくん、と軽く奥が揺れた。
(……ああ、そうでした。この人、結構大きいんでしたっけ)
思考だけが、冷静に感触を測っている。
快感でも、苦痛でもない。ただ、“入ってきた”という事実を処理しているだけだ。
だが――
「ああ、やっぱり……リオネル様の中……すごい、です……」
息を詰めたような声が背後から漏れる。
彼の手が私の腰を掴む。ぴたりと張りつく汗ばんだ掌。
腰を引き、押し、また引き――ゆっくりと律動を刻み始める。
肉が擦れ合う音が、室内に静かに満ちていく。
帳簿と香の香りが満ちる部屋に、淫らな湿音が溶け込んでいく。
私はただ、両手をついたまま目を閉じる。
(……この仕事も、また“循環”の一部)
深く突かれるたび、身体がわずかに揺れる。息を殺し、喉を鳴らさないように意識を集中させる。だが、内壁が擦れるたび、わずかに体温が上がるのが分かる。
私は、それを――最大限の理性をもって、“無視”していた。
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