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Ⅱ 君とオリンピックに行きたい
20 合宿
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夏季休暇に入ると、すぐに陸上競技部の合宿があった。
4泊5日で泊まるのは県北部、標高1200mの高原にある民宿だ。
初めは費用が6万円もするのであきらめていた。
学費の減免が認められ、半額の20万円が戻ってきたので参加することにした。
これでしばらくバイトも休憩できる。
インカレの出場には間に合わなかったが、1年生が全員そろう合宿には行きたかった。
合宿は行ってよかった。
起床後の入念な準備体操は、今まで適当なストレッチしかしてこなかった淳一にとって価値ある体験だった。ゆっくり長い距離を走るというLSD。それに走るスピードを上げていくビルドアップの基本も覚えた。何よりみんなと並んで走るのもいい感じだ。
夕食後の自由時間、同じ1回生で短距離を走る三上さんから散歩に誘われた。
気持ちとすれば微妙な感じだ。高原のさわやかな風を感じながら、ゆっくり二人で歩いた。
「私ね高校の時、陸上に入っていたけどクラスが進学コースで部活は制限されていたの。少しばかり成績がいいからって、家でも学校でも勉強ばっかり。大学に入って陸上を思う存分できるのがほんとに楽しい」
ぜいたくな悩みとしか思えないが、人それぞれか。
「倉本君のことは、中学からの友達から聞いて知っていたよ」
「友達?」
「誰だと思う。私に来るメール、倉本君のことばっかり」
「ええっ?見当もつかないよ」
「高2だったかなあ。ブログとかにひどいこと書かれていたでしょう。倉本君、嫌な思いしたと思うけど、彼女、自分の責任じゃないかってずっと悩んでいたよ」
「ああ、香奈さんか」
「彼女、自分が勝手に弁当を渡そうなんてことしたから、倉本君に迷惑かけたって」
あの話か。ずい分昔のことのように思えた。
「あの頃、俺まだガキだったから・・。でも今ならあの弁当、喜んで受け取るよ」
「本当に?香奈に知らせとく。それならまだあの子と何とかなりそう?大会で倉本君が来てくれて、うれしくて最高の走りが出来たって知らせてきたけど」
「香奈さんには、いろいろ助けてもらって本当に感謝しているけど・・」
「そっか。倉本君、今付き合っている彼女いるんだったね。高校生の子でしょ?」
「いや彼女は別に」
口を濁してしまった。競技場で見られていたのか。
「じゃあ、合宿、最後まで頑張ろうね」
三上さんが淳一の側を離れた。
県で最高峰の氷ノ山が夕日を背に受けて、黒く大きくそびえている。
香奈さんも三上さんだっていい人だ。もし付き合えば俺を支えてくれると思う。
けれど今、この雄大な風景を一緒に見たいのはやっぱり由佳だ。
「合宿頑張っている?お寺の周りで10kmコースを見つけた。
信号なしだよ!2周20kmを神戸に帰ったら走ってもらう。覚悟しといてね。
あなたが引っ越す部屋は片付けておいた。
今パパにマッサージやストレッチの仕方を教わっている。
早くあなたと練習がしたい。やっと明日会えるね!」
5日ぶりか。確かにやっとだな。俺も君に会いたい。君の顔が見たい。
4泊5日で泊まるのは県北部、標高1200mの高原にある民宿だ。
初めは費用が6万円もするのであきらめていた。
学費の減免が認められ、半額の20万円が戻ってきたので参加することにした。
これでしばらくバイトも休憩できる。
インカレの出場には間に合わなかったが、1年生が全員そろう合宿には行きたかった。
合宿は行ってよかった。
起床後の入念な準備体操は、今まで適当なストレッチしかしてこなかった淳一にとって価値ある体験だった。ゆっくり長い距離を走るというLSD。それに走るスピードを上げていくビルドアップの基本も覚えた。何よりみんなと並んで走るのもいい感じだ。
夕食後の自由時間、同じ1回生で短距離を走る三上さんから散歩に誘われた。
気持ちとすれば微妙な感じだ。高原のさわやかな風を感じながら、ゆっくり二人で歩いた。
「私ね高校の時、陸上に入っていたけどクラスが進学コースで部活は制限されていたの。少しばかり成績がいいからって、家でも学校でも勉強ばっかり。大学に入って陸上を思う存分できるのがほんとに楽しい」
ぜいたくな悩みとしか思えないが、人それぞれか。
「倉本君のことは、中学からの友達から聞いて知っていたよ」
「友達?」
「誰だと思う。私に来るメール、倉本君のことばっかり」
「ええっ?見当もつかないよ」
「高2だったかなあ。ブログとかにひどいこと書かれていたでしょう。倉本君、嫌な思いしたと思うけど、彼女、自分の責任じゃないかってずっと悩んでいたよ」
「ああ、香奈さんか」
「彼女、自分が勝手に弁当を渡そうなんてことしたから、倉本君に迷惑かけたって」
あの話か。ずい分昔のことのように思えた。
「あの頃、俺まだガキだったから・・。でも今ならあの弁当、喜んで受け取るよ」
「本当に?香奈に知らせとく。それならまだあの子と何とかなりそう?大会で倉本君が来てくれて、うれしくて最高の走りが出来たって知らせてきたけど」
「香奈さんには、いろいろ助けてもらって本当に感謝しているけど・・」
「そっか。倉本君、今付き合っている彼女いるんだったね。高校生の子でしょ?」
「いや彼女は別に」
口を濁してしまった。競技場で見られていたのか。
「じゃあ、合宿、最後まで頑張ろうね」
三上さんが淳一の側を離れた。
県で最高峰の氷ノ山が夕日を背に受けて、黒く大きくそびえている。
香奈さんも三上さんだっていい人だ。もし付き合えば俺を支えてくれると思う。
けれど今、この雄大な風景を一緒に見たいのはやっぱり由佳だ。
「合宿頑張っている?お寺の周りで10kmコースを見つけた。
信号なしだよ!2周20kmを神戸に帰ったら走ってもらう。覚悟しといてね。
あなたが引っ越す部屋は片付けておいた。
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早くあなたと練習がしたい。やっと明日会えるね!」
5日ぶりか。確かにやっとだな。俺も君に会いたい。君の顔が見たい。
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