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Ⅳ オリンピック代表
12 日本選手トップ
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10km地点を通過。まだ4分の1か。
日本人選手は3人とも2位集団にいる。先頭集団とは10秒位の差だ。
ロンドン橋が見えてきた。橋の中ほどに巨大な五輪がかけられている。
新旧の不思議な取り合わせだ。
先頭が入れ替わった。今度はアフリカ勢だ。速い。ぐんぐん飛ばしている。ついていくか迷った。
キロ2分40で最後までいけるはずがない。彼らが必ず落ちてくる保証はないが、後1周はこのままでいい。自信はないが、多分大丈夫だろう。
左にテムズ川を眺めながら走っていると、公園の周りを走るコースが近づいてきた。
ここの給水所でスペシャルドリンクを取る。
ペットボトルに『YUKA』のロゴがあるからすぐわかった。今朝作ってくれたが、少し酸味が強い。中身は、レモンソーダや蜂蜜が入った由佳特製ジュースだ。
半分飲んで道端に転がした。のどの渇きがいやされ、元気が出た。
森藤さんが水を頭にかけている。まだそんなに暑くは感じないのに。
淳一に気付いてペットボトルを渡してくれた。首のあたりに水をかけ、彼の背中を見て走る。
ところがしばらくして、森藤さんがスピードをがくんと落としたので驚いた。
どうしたんだ?今回一番期待されていたのに。彼の横をすり抜けて走る。
セントジェームズ公園に戻って来た。
後2周だ。観覧席の彼女を探す余裕はもうなくなった。でも君は絶対俺を見てくれている。
先頭は100m先。10何秒かの距離があいてしまった。直線コースで少しは詰めよう。
テムズ川から左に折れた時、今度は高井さんが落ちてきた。
まだ半分来ていないのに俺が日本人トップになってしまった。二人ともどうしたんだろう?
今のところ周りはアフリカ勢ばかり。一応2位集団の先頭辺りにいる。
石畳に入ると足の感触が突然変わり、地面が固く感じる。クッションをやや厚めにしてもらったシューズを履いているが、効果はあると信じよう。
カラフルな店のすぐ横を走る。アーケードの中を走るのは新鮮で楽しい。
二度目だからか、先程見た景色を覚えている。
日の丸は思ったより多く、日本人らしい子供がたくさん応援してくれているのが不思議だ。
そうか、日本人学校の子か。
ロンドン橋近くの給水所。先頭が給水にミスったのか、少し後戻りしたように見えた。
チャンスだ。ここでピッチを上げよう。
スペシャルドリンクを取らず、エイドの右を走り抜け、一気に3人抜いた。
先頭集団にようやく追いついたが、どこまでくらい付いて行けるか。
びわ湖マラソンでも、アフリカ勢に追いついたものの先頭の二人は抜けなかった。
今十位以内に入っているはずだ。前方には2時間3、4分台の選手ばかりが走っている。
追いつけるか?
ロンドンアイを正面に見て、2周目が終わりつつあることを確認した。
給水所でストロー付きのドリンクを取る。『YUKA』の文字。
そうだ、由佳に向かって走れ。
一口飲んでからピッチを上げる。
『ザ・マル』のスタート地点を通過。歓声が大きくなる。
由佳、見てるよな。もう俺は前しか見ない。
この直線コースで仕掛けよう。
先頭集団に追いつき、一気に追い越そうとしたが、スパートをかけたのは淳一だけではなかった。2,3位の選手も飛び出し、1位選手と入れ替わっていた。
ゼッケンは同じ柄なので彼ら二人は同じ国か。
淳一は今まで先頭を独走していた選手のすぐ後ろ、つまり4位を走っている。
3周目で最後だ。
道幅が狭いからかテレビ中継は全てバイクで、後ろに乗っている人が立って撮影している。
今、真横から撮影しながら走行している。俺がアップされている。でも気になんかしていられない。
足はまだ大丈夫だ。右足のかかと付近に違和感はあるが、そんなものはどうでもいい。
呼吸はかなり苦しい。顔がゆがんできたのが分かる。
ずっとキロ三分は切っているはずだ。高速レースにここまでついてこれた。
後はゴールまでに最低一人を抜かすことだ。
フィニッシュしてから由佳のところに行き、力いっぱい抱きしめたい。
10位や20位になんか絶対ならない。
テムズ川沿いの大きなカーブも4人だけで突っ走る。順位は変わらない。
どこかでスパートをかけないとこのままでは4位になってしまう。
入賞なんかじゃだめだ。
日本人選手は3人とも2位集団にいる。先頭集団とは10秒位の差だ。
ロンドン橋が見えてきた。橋の中ほどに巨大な五輪がかけられている。
新旧の不思議な取り合わせだ。
先頭が入れ替わった。今度はアフリカ勢だ。速い。ぐんぐん飛ばしている。ついていくか迷った。
キロ2分40で最後までいけるはずがない。彼らが必ず落ちてくる保証はないが、後1周はこのままでいい。自信はないが、多分大丈夫だろう。
左にテムズ川を眺めながら走っていると、公園の周りを走るコースが近づいてきた。
ここの給水所でスペシャルドリンクを取る。
ペットボトルに『YUKA』のロゴがあるからすぐわかった。今朝作ってくれたが、少し酸味が強い。中身は、レモンソーダや蜂蜜が入った由佳特製ジュースだ。
半分飲んで道端に転がした。のどの渇きがいやされ、元気が出た。
森藤さんが水を頭にかけている。まだそんなに暑くは感じないのに。
淳一に気付いてペットボトルを渡してくれた。首のあたりに水をかけ、彼の背中を見て走る。
ところがしばらくして、森藤さんがスピードをがくんと落としたので驚いた。
どうしたんだ?今回一番期待されていたのに。彼の横をすり抜けて走る。
セントジェームズ公園に戻って来た。
後2周だ。観覧席の彼女を探す余裕はもうなくなった。でも君は絶対俺を見てくれている。
先頭は100m先。10何秒かの距離があいてしまった。直線コースで少しは詰めよう。
テムズ川から左に折れた時、今度は高井さんが落ちてきた。
まだ半分来ていないのに俺が日本人トップになってしまった。二人ともどうしたんだろう?
今のところ周りはアフリカ勢ばかり。一応2位集団の先頭辺りにいる。
石畳に入ると足の感触が突然変わり、地面が固く感じる。クッションをやや厚めにしてもらったシューズを履いているが、効果はあると信じよう。
カラフルな店のすぐ横を走る。アーケードの中を走るのは新鮮で楽しい。
二度目だからか、先程見た景色を覚えている。
日の丸は思ったより多く、日本人らしい子供がたくさん応援してくれているのが不思議だ。
そうか、日本人学校の子か。
ロンドン橋近くの給水所。先頭が給水にミスったのか、少し後戻りしたように見えた。
チャンスだ。ここでピッチを上げよう。
スペシャルドリンクを取らず、エイドの右を走り抜け、一気に3人抜いた。
先頭集団にようやく追いついたが、どこまでくらい付いて行けるか。
びわ湖マラソンでも、アフリカ勢に追いついたものの先頭の二人は抜けなかった。
今十位以内に入っているはずだ。前方には2時間3、4分台の選手ばかりが走っている。
追いつけるか?
ロンドンアイを正面に見て、2周目が終わりつつあることを確認した。
給水所でストロー付きのドリンクを取る。『YUKA』の文字。
そうだ、由佳に向かって走れ。
一口飲んでからピッチを上げる。
『ザ・マル』のスタート地点を通過。歓声が大きくなる。
由佳、見てるよな。もう俺は前しか見ない。
この直線コースで仕掛けよう。
先頭集団に追いつき、一気に追い越そうとしたが、スパートをかけたのは淳一だけではなかった。2,3位の選手も飛び出し、1位選手と入れ替わっていた。
ゼッケンは同じ柄なので彼ら二人は同じ国か。
淳一は今まで先頭を独走していた選手のすぐ後ろ、つまり4位を走っている。
3周目で最後だ。
道幅が狭いからかテレビ中継は全てバイクで、後ろに乗っている人が立って撮影している。
今、真横から撮影しながら走行している。俺がアップされている。でも気になんかしていられない。
足はまだ大丈夫だ。右足のかかと付近に違和感はあるが、そんなものはどうでもいい。
呼吸はかなり苦しい。顔がゆがんできたのが分かる。
ずっとキロ三分は切っているはずだ。高速レースにここまでついてこれた。
後はゴールまでに最低一人を抜かすことだ。
フィニッシュしてから由佳のところに行き、力いっぱい抱きしめたい。
10位や20位になんか絶対ならない。
テムズ川沿いの大きなカーブも4人だけで突っ走る。順位は変わらない。
どこかでスパートをかけないとこのままでは4位になってしまう。
入賞なんかじゃだめだ。
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