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第22話
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「どうしたのヒロちゃん? ボーっとしちゃって?」
「ごめん、何の話だっけ?」
「だからー、今度のキャンペーンの話だよ。
里中プロデューサーに会わせてちょうだいっていうは・な・し」
「いいよ、話しておくよ」
「ありがとー、ヒロちゃん大好きー!
ねえ、もう一回して」
「悪い、今日はもう帰らないといけないんだ。
女房の代わりに子供たちの面倒を見ないといけないから」
俺はウソを吐いた。
今日はそんな気分ではなかった。
「奥さんのこと、怖いんだー?」
「困らせるなよ、そういう約束だろ? 俺たち。
家庭は壊さないって」
「壊しちゃおうかなー」
俺は咲子の体を抱き締めて言った。
「じゃあ、もうサヨナラだな?」
「イヤだよそんなの。
ごめんなさい、つい、意地悪したくなっちゃったの。
私が2番で、やっぱり奥さんが1番なんだなーって思ったら、つい・・・」
俺は咲子も女だということを忘れていた。
性欲を満たすだけの関係に、俺はいつの間にか男としての配慮に欠けていた。
最近、女房の奈緒が変わった気がする。
化粧の仕方や髪型、そしてオーソドックスなコロンからDior の香水を使うようになり、子供が生まれてからはベージュの下着が多かった奈緒が、白や淡いパステルカラー、時には黒のTバックという下着も干されているのを見かけるようにもなった。
そして何より変わったのは、俺にやさしくなったことだ。
(奈緒が浮気?)
奈緒はどちらかと言えば真面目で堅い女だった。
良妻賢母のお手本のような女が不倫をするとは思えない。
男性が多い職場とはいえ、こんなことは今までにはなかったことだ。
すると社外の男か?
殆どなかった夫婦の夜の時間も、いつになく積極的になっていた。
いつもは受け身の奈緒だったが、自ら進んでオーラル・セックスにも臨んで来た。
「出そうだよ、奈緒」
すると奈緒は俺自身を口から外し、
「いいよ、そのままお口に出しても。
受け止めてあげるから」
そう言うと、再びその行為を加速させていった。
上下に揺れる奈緒の髪が、俺の下腹部にサワサワと触れる。
俺は耐えきれず、そのまま奈緒の口にそれを放出した。
だがその行為は俺の為の物ではなく、誰かを喜ばせるためのトレーニングのようにも感じた。
「じゃあ今度はあなたが私にして。
あっ、ちゃんとつけてね? コンドーム。
流石にもう大丈夫だとは思うけど、まだ生理はあるから。
この歳で子育てはしたくないから」
そして奈緒は眼を閉じた。
昔はフェイクが多かった奈緒だが、最近では本気で感じている。
でもそれは俺のセックスに感じているのではなく、他の誰かに抱かれている自分を想像しているようだった。
女にはそれが出来る。
事が終わり、奈緒は冷静さを取り戻していた。
「明日は会議で少し遅くなるから食事は外で済ませて来てね。
じゃあ、おやすみなさい」
そう言って彼女はベッドから降りると、和室の自分の布団に戻って行った。
間違いない、妻は浮気をしている。
俺の疑念は確信へと変わっていった。
「ごめん、何の話だっけ?」
「だからー、今度のキャンペーンの話だよ。
里中プロデューサーに会わせてちょうだいっていうは・な・し」
「いいよ、話しておくよ」
「ありがとー、ヒロちゃん大好きー!
ねえ、もう一回して」
「悪い、今日はもう帰らないといけないんだ。
女房の代わりに子供たちの面倒を見ないといけないから」
俺はウソを吐いた。
今日はそんな気分ではなかった。
「奥さんのこと、怖いんだー?」
「困らせるなよ、そういう約束だろ? 俺たち。
家庭は壊さないって」
「壊しちゃおうかなー」
俺は咲子の体を抱き締めて言った。
「じゃあ、もうサヨナラだな?」
「イヤだよそんなの。
ごめんなさい、つい、意地悪したくなっちゃったの。
私が2番で、やっぱり奥さんが1番なんだなーって思ったら、つい・・・」
俺は咲子も女だということを忘れていた。
性欲を満たすだけの関係に、俺はいつの間にか男としての配慮に欠けていた。
最近、女房の奈緒が変わった気がする。
化粧の仕方や髪型、そしてオーソドックスなコロンからDior の香水を使うようになり、子供が生まれてからはベージュの下着が多かった奈緒が、白や淡いパステルカラー、時には黒のTバックという下着も干されているのを見かけるようにもなった。
そして何より変わったのは、俺にやさしくなったことだ。
(奈緒が浮気?)
奈緒はどちらかと言えば真面目で堅い女だった。
良妻賢母のお手本のような女が不倫をするとは思えない。
男性が多い職場とはいえ、こんなことは今までにはなかったことだ。
すると社外の男か?
殆どなかった夫婦の夜の時間も、いつになく積極的になっていた。
いつもは受け身の奈緒だったが、自ら進んでオーラル・セックスにも臨んで来た。
「出そうだよ、奈緒」
すると奈緒は俺自身を口から外し、
「いいよ、そのままお口に出しても。
受け止めてあげるから」
そう言うと、再びその行為を加速させていった。
上下に揺れる奈緒の髪が、俺の下腹部にサワサワと触れる。
俺は耐えきれず、そのまま奈緒の口にそれを放出した。
だがその行為は俺の為の物ではなく、誰かを喜ばせるためのトレーニングのようにも感じた。
「じゃあ今度はあなたが私にして。
あっ、ちゃんとつけてね? コンドーム。
流石にもう大丈夫だとは思うけど、まだ生理はあるから。
この歳で子育てはしたくないから」
そして奈緒は眼を閉じた。
昔はフェイクが多かった奈緒だが、最近では本気で感じている。
でもそれは俺のセックスに感じているのではなく、他の誰かに抱かれている自分を想像しているようだった。
女にはそれが出来る。
事が終わり、奈緒は冷静さを取り戻していた。
「明日は会議で少し遅くなるから食事は外で済ませて来てね。
じゃあ、おやすみなさい」
そう言って彼女はベッドから降りると、和室の自分の布団に戻って行った。
間違いない、妻は浮気をしている。
俺の疑念は確信へと変わっていった。
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