狂ったドリアン

菊池昭仁

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古いですか?

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       古い奴だとお思いでしょうが
       古い奴こそ 新しい物を欲しがるものでございます
       どこに新しいものがございましょう 
       生まれた土地は荒れ放題 今の世の中 右も左も真っ暗闇じゃあござんせんか?


 鶴田浩二。『傷だらけの人生』の冒頭のセリフである。
 還暦過ぎの人は知っているかもしれない。
 私はこのセリフが大好きだ。
 知り合いのヤクザの親分さんも、クルマに乗るといつも鶴田浩二を聴いていた。
 ヤクザの世界は厳しい。そして彼らには鉄の連帯感がある。
 受けた恩や義理は命に変えても返さなければならない。
 今の政治家やテレビ局、芸能界には任侠がない。
 義理も人情もヘッタクレもない。
 ただカネと権力が欲しいだけだ。

 
     勝てば官軍 負ければ賊軍


 太平洋戦争が間違いだったかどうか? それはわからない。
 「分からない」と言った時、以前、潜水艦の士官だった男に「結論がないことはおかしい」と言われたが、調べれば調べるほどわからなくなる。
 いずれにしてもあのまま何もしなければ、明らかに列強の餌食になっていたはずだ。

 戦時中の最後の上官の命令は限度を越えていた。


     「死んで来い」


 である。「一億玉砕」

 潜水兵器『伏竜』、人間魚雷『回天』、人間爆弾『桜花』、特攻専用機『剣』、そして『神風特攻隊』など。
 一撃必殺を目的として作られた。

 私たちのご先祖様たちは、こんな日本にするために命を散らしたわけではない。
 学生時代、商船士官だった教授たちは、なぜか60歳で退官すると、すぐに他界してしまった。
 それはおそらく、自分だけが生き残ったことへの「慙愧の念」があったからではないだろうか?

 そして今、カネ、カネ、カネの世の中になってしまった。
 日本人の美しい精神性は失われ、「損か得か?」でしか物事を考えなくなった。
 そしてそんな大人の背中を見て子供たちは育ってゆく。

 いい大学を出て、いい仕事に就き、カネを稼ぎ、増やし、より権力を得ようとする。
 確かに昔も悪い奴は山程いた。
 だが、「その手だけは使っちゃ駄目だよなあ」という道徳観はあった。
 
 刀で挑んでくる相手には刀で戦った。
 バズーカ砲やミサイルで攻撃することは無かった。
 しかし今は手段を選ばない。そしてやることが小さい。セコいのだ。

 下っ端芸人に女を用意させ、5,000円を渡したとか、政治家のパーティーで集めたカネを猫糞したり。
 実に姑息だ。

 なぜこのような自体が蔓延しているのだろうか?
 それはテレビの影響が多い。

 テレビが誤った価値観を垂れ流し、コンビニや携帯電話、ネットなどがこんな酷い日本にしてしまった。
 その責任は重い。

 日テレ、テレ朝、フジ、TBS、そしてNHKはもう要らない。

 正義のない報道機関は消え去るべきだ。

 
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