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第5話
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ボロボロの色褪せた赤暖簾には「中華食堂」の「食」の文字の布が切れて「中華 堂」となっていた。
店のショーウィンドウに飾られた食品サンプルは日に焼けて埃を被っている有様だった。
「中々趣のあるお店ですね?」
「そうね?」
桃香と薫子は不安を搔き消すように力なく笑った。
「ごめんくださーい」
建付けの悪い重い引戸を開けると、古い油の匂いが鼻を突いた。
薄汚れた調理服を着た男がテレビを見ながらザーサイをつまみにビールを飲んでいた。
男は桃香たちに気づくと、
「メシはねえから麺類しか出来ねえよ」
「私たち、『寺子屋ひまわり』の者です。ご主人様ですか?。今日は奥様からご依頼のあった聖矢君のことで伺いました」
すると男は無言で二階を指差した。
「二階にいらっしゃるんですね? こちらの階段を上がって行ってもよろしいでしょうか?」
男は何も言わずにまた酒を飲み始めた。
「お邪魔しまーす」
桃香と薫子は狭くて急な階段を昇って行った。
二階は酷い悪臭が漂っていた。
酒瓶やコンビニ弁当の食べ残しやアイスのカップ、缶詰などがそのままゴミ袋に入れられていくつも放置され、脱ぎ散らかした洋服や下着などで足の踏み場もない。
その中に埋もれるように小学2年生だという男の子が古い漫画を読んでいた。
窓際に万年床が敷いてあり、母親らしい女が半裸の状態で眠っていた。
桃香が聖矢に声を掛けた。
「こんにちは、あなたが聖矢君ね?。私、桜井桃香、よろしくね?
あのー、おやすみのところごめんなさい、ご連絡いただいた、『寺子屋ひまわり』の桜井です、もしもしお母さん、起きて下さい」
すると母親は起きようともせずにこう呟いた。
「さっさと連れてって、よろしく」
桃香と薫子は言葉を失った。
この親には何を言っても無駄だと思った。
桃香が聖矢に言った。
「おばちゃんたちとご飯を食べに行こうか?」
すると母親がだるそうに言った。
「そのおばちゃんたちと行っといで」
そして桃香と薫子は聖矢をゴミ屋敷から救出したのであった。
店のショーウィンドウに飾られた食品サンプルは日に焼けて埃を被っている有様だった。
「中々趣のあるお店ですね?」
「そうね?」
桃香と薫子は不安を搔き消すように力なく笑った。
「ごめんくださーい」
建付けの悪い重い引戸を開けると、古い油の匂いが鼻を突いた。
薄汚れた調理服を着た男がテレビを見ながらザーサイをつまみにビールを飲んでいた。
男は桃香たちに気づくと、
「メシはねえから麺類しか出来ねえよ」
「私たち、『寺子屋ひまわり』の者です。ご主人様ですか?。今日は奥様からご依頼のあった聖矢君のことで伺いました」
すると男は無言で二階を指差した。
「二階にいらっしゃるんですね? こちらの階段を上がって行ってもよろしいでしょうか?」
男は何も言わずにまた酒を飲み始めた。
「お邪魔しまーす」
桃香と薫子は狭くて急な階段を昇って行った。
二階は酷い悪臭が漂っていた。
酒瓶やコンビニ弁当の食べ残しやアイスのカップ、缶詰などがそのままゴミ袋に入れられていくつも放置され、脱ぎ散らかした洋服や下着などで足の踏み場もない。
その中に埋もれるように小学2年生だという男の子が古い漫画を読んでいた。
窓際に万年床が敷いてあり、母親らしい女が半裸の状態で眠っていた。
桃香が聖矢に声を掛けた。
「こんにちは、あなたが聖矢君ね?。私、桜井桃香、よろしくね?
あのー、おやすみのところごめんなさい、ご連絡いただいた、『寺子屋ひまわり』の桜井です、もしもしお母さん、起きて下さい」
すると母親は起きようともせずにこう呟いた。
「さっさと連れてって、よろしく」
桃香と薫子は言葉を失った。
この親には何を言っても無駄だと思った。
桃香が聖矢に言った。
「おばちゃんたちとご飯を食べに行こうか?」
すると母親がだるそうに言った。
「そのおばちゃんたちと行っといで」
そして桃香と薫子は聖矢をゴミ屋敷から救出したのであった。
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