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第二章 乗っ取られた国

33 うわっ!?

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 あれから二ヶ月が経ち。
 
 初日の煩さ(主にカラス)は何だったんだと言わんばかりの静かな生活を送っていた。
 勿論、あの王様腹黒も来なかった。
 
 ……まぁ、場所が場所なのでこれが当たり前なのだが。
 
 あのあと、地下を見つけてかなりの広さに驚いたり。
 ちょっと離れたところに離れのような小さな家が建っておりさらに驚いたりした。

 本当に《希代の魔女》は何がしたかったのかよくわからない………

 ちなみに地下には《希代の魔女》が作ったと思われる大量の薬が置いてあった。
 
 (まぁ、私、触らなかったけど)
 
 コノハは自分の薬を作るのが苦手……というか薬を作っているはずが、ちょっとした毒にしてしまうほどの下手なのは充分分かっているのだ。
 だから、本能の『触るな』という言葉に従った。
 コノハ自身もなんかやばいこと面倒事になりそうな予感がしたので。
 
 もう御免である。
 
 それに薬は大量に街で買っておいたため、それほど問題ではなかった。
 
 
 コノハはこののんびりとした時間のほとんどを魔法・魔道具作り、研究にあてていた。
 勿論、狩りなどもして食べ物も確保しているし、もらった食べ物もある。
 また、街で買っておいた野菜の種なんかも植えて育てていた。
 ………魔法で。
 
 全自動の超楽々チート魔法である。
 勿論、コノハが考えたオリジナルである。
 
 コノハはふと、窓から外を見る。
 今日は雲一つない晴天だ。
 
 「狩りに行くか~」
 
 コノハは散歩に行くような気軽さで外に出た。
 
 
 
 
 
 「よっとぉ!」
 
 魔物に気付かれる前に近付き剣で頭と胴体を切り離す。
 一刀両断。
 
 ちなみにこの魔物は狼、といってもキングベアーと同様、ただの狼とは比べ物にならないほどのサイズを誇り、また、頭がいい。
 その上キングベアーはBランクなのに対しそれより高いAランク。
 名をフェンリル、という。
 大体の人間は子どもの頃から「出会ったら逃げろ」と教えられる魔物の一つである。
 …あまり出会える事はないが。
 
 それをさらりと。
 出会ったら命はないと言われるフェンリルをあっさりと。
 そんなことはコノハは全く知らない。
 
 彼女の子どもの頃にそんなこと言われた覚えはないし、さすがにマスターもフェンリルと戦う事はないだろうと教えていなかったので。
 マスターの伝達ミスである。
 
 「まぁ、こんなもんか、帰ろー」
 
 コノハはフェンリルと出会う前にも三種類ほどの魔物を倒していた。
 全てマジックボックス行きである。
 
 ………狩りは普通命懸けのものなのだが。
 
 (次はー、あ、転移魔法完成させなきゃ)
 
 この後の予定をのんびり立てている時。
 
 
 コノハの足元が。
 
 「っ!」
 
 突然、怪しげに光り始めた。
 魔方陣のようにコノハを中心に光る。
 そんなとき、コノハは。
 
 (………どんな風に出来てるんだろう、これ……)
 
 人間、焦るとどうでもいいことを考えてしまう。

 いや、コノハは焦っている訳ではない。
 魔法が一瞬、気になってしまった。
 それだけだった。

 だが、それが駄目だった。
 逃げようと思った時には遅かった。
 
 「――――うわっ!?」
 
 コノハはさらに強くなった光に目を瞑り―――
 次に光が無くなった時にはコノハの姿は何処にもなかった――――
 
 
―――――――――――――――
 どうもです、柊レイです。

 お待たせしてます、来週もこのペースで……申し訳ないです(T-T)


 急展開ですが、やっと、やっと、章の題名にふさわしい話に移っていく――はずです!

 さあ、そろそろ主人公チート満載回になってきますよ………多分!
 
 
 お楽しみに(^-^)!!
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