39 / 43
3rd day
英雄の資質
しおりを挟む
「――それで? 何か申し開きはありますか、ヴァイルシュタイン卿」
ひどく冷たい視線でセリアは執務用の机に腰かけているキースを見下ろす。
夕暮れの団長室。
今、この場には私とミリー、キース。それと事情を聞いて駆けつけたセリアとフェリシアの姿があった。
問いかけられたキースは軽い調子で肩を竦めてみせる。
「おいおい、まるで俺が悪者のような言い草だな、セリアの嬢ちゃんよ。言っとくが、別に俺があの坊主を無理矢理決闘の場に立たせたわけじゃねえぞ? そこらへんの誤解を詳しく―――」
ドシンッ! と、重い破砕音が室内に轟く。
セリアの拳が目の前の机に叩きつけられた音だ。
叩きつけられた高級そうな机は天板がひしゃげ、一瞬でガラクタと化した。
「……一応、この机一つでこの街の市民の平均年収と同じぐらいするんだがな」
机を眺めてキースがぼやく。
セリアはそれを無視して懐から取り出した煙草を咥える。
と、音も無く近づいたフェリシアがそれに火をつけた。
というか、普段から無表情で解りづらいけど、こころなしかフェリシアの機嫌も悪そう……もしかしなくともセリアと同じように怒ってる……?
セリアは苛立たしげに、ふー、と紫煙を吐き出す。
「ヴァイルシュタイン卿。言うまでもなく、貴殿は人魔大戦の英雄の一人だ。私はそのことに対して少なからぬ敬意を抱いているし、この都市を運営していく上でも頼もしいビジネスパートナーだと思っている……その上で言わせて頂こう」
ぐいっ、とセリアの手がキースの胸倉を掴み上げた。
「舐めているのか、クソジジイ? 事情はすべて聞いている。貴族主義の馬鹿が突然絡んできたこと。アンタがそれを煽って決闘にまで発展させたこと。そして、そのせいで私の身内が傷ついたこと……ッ」
剥き出しとなった怒気が室内の空気を重くした。
セリアは敵には容赦はしないけど、身内には過保護とも言えるぐらいに甘い。
一歩間違えれば死んでいてもおかしくなかった事態にセリアは激怒していた。
「そもそもの原因はアンタが騎士団内の不和を解消しなかったからだろうが。この支部の頭はアンタだ。平民を重用しようが、貴族を蔑ろにしようがアンタの好きにすればいいさ……だがな、それは組織の運営が滞りなく行われることを前提とした上での話だ……よくもアンタらのクソ下らん内輪揉めに私の身内を巻き込んでくれたな――売られた喧嘩は買う主義だ。お望みなら戦争でも何でもしてやろうか? ああ⁉︎」
鼻先が触れそうな至近距離でセリアがキースを睨みつける。
ぶわりとセリアの身体から青色の魔力が滲む。
余りにも激しい感情に制御を失った魔力が溢れ出たようだった。
ほんの一瞬、ほんの僅かな量ではあったけど、濃密なその魔力は現役の騎士であるミリーさえも心胆寒からしめるものがあった。
言われた当のキースは普段の笑みを潜め、セリアの藍色の瞳を真っ向から見つめる。
「……騎士団のゴタゴタにお前さんの身内を巻き込んだのはすまなかった」
胸倉を掴まれたまま、キースは真摯に謝罪の言葉を口にする。
「お前さんの言う通り、騎士団内の不和を未だ解消できていのは俺の責任だ。そのことも含めて重ねて詫びよう。だが誓って言うが、俺はあの坊主を悪戯に傷つけたかったわけじゃない。俺はただ確かめたかっただけだ」
「何を」
「あの坊主の、英雄としての資質を」
巌のような声でキースはそう応じる。
「なぜ今更英雄を求める。人魔大戦は終わった。アンタたちが終わらせた」
「終わっちゃいねえさ。確かに魔王は死に、災害級も全盛期の三分の一にまで減った。だが、こちらも聖王陛下を始め、多くの英雄を失った。戦後から十年経っても未だ局地的な魔獣の被害は後を絶えず、聖王国の戦力も大戦によって七割を損耗したままだ。このままではいずれ人類は劣勢に追い込まれる」
「玉座は次の……今代の女王陛下に引き継がれた。アンタは今の陛下の方針に不服があるのか?」
「……不服はない。女王陛下の采配は実に合理的だ。だが、あまりにも合理的に過ぎる。あの方は人を能力でしか判断しない。命を数字でしか見ない。駄目なんだ、それでは。国家を運営することは出来ても、あの方では世界を救うことは絶対に出来ない」
「…………」
「このままでは駄目だ。これでは守れない。辿りつけない。俺たちが、聖王が目指した世界に。そのためには必要なんだ。一人でも多くの、若く、強い、新しい英雄が」
セリアの厳しい視線を真っ向見返してキースは言う。
「あの坊主を騎士団にくれ、アークレイ殿。代価が必要というならどんなモノでも支払ってやる。あの坊主はいずれ必ず英雄となる」
「……アンタはそれを確かめるために、あの子を決闘の場に立たせたのか。その結果、あの子が死のうとも、それはあの子の自己責任であって、自分には関係ないと?」
「責任の取り方くらいは心得てるさ。気に食わねえようならあの坊主と同じ目に合わせてくれて構わねえ。だが仮にあの決闘で命を落としていたとしても、それはあの坊主が所詮その程度の器でしかなかったってことだ」
「――おまえ」
藍色の双眸が収縮した。
セリアの後ろに控えていたフェリシアもキースの発言に表情を険しくする。
セリアは拳を握り、キースを殴り飛ばそうと振りかぶる。
それを遮るように外から扉をノックする音が響いた。
「……?」
部屋の隅で待機していたミリアリアが迷うようにキースを仰ぎ見る。
キースが顎をしゃくると、ミリーは扉へと移動しドアノブを回す。
それから驚きの声を上げた。
「なっ、ウェルズリー⁉」
室内に入ってきたのははオレンジ色の髪を逆立たせた若い騎士だった。
腫れあがった頬にはシップが貼ってある。
ミリーの言葉ににセリアは目を眇めた。
「ウェルズリーだって? フェリ、そいつは確か―――」
「ええ。アラン=ローヌ=ウェルズリー騎士。第六小隊の隊員にして、ウェルズリー男爵家の三男。そして、今回のソラ様の決闘相手です」
セリアの質問に淀みなくフェリシアが答える。
「そうか、お前か。私の身内にちょっかいを出した騎士っていうのは。君には後で会いに行く予定だったし、手間が省けて丁度よかったよ」
セリアはキースの襟首から手を放してウェルズリーへと向き直った。
藍色の髪に怜悧な美貌。
セリアの素性を即座に察したウェルズリーが左胸に右拳を当て、踵を揃えた。
「お初にお目にかかります、アークレイ市長。私は―――」
開いた口はそれ以上の言葉を紡げなかった。
セリアが指で弾いた煙草が高速でウェルズリーの頬を霞め、ナイフのように背後の壁に深々と突き刺さる。
煙草を覆う青色の魔力の残滓が陽炎のように揺らめいた。
「……ッ⁉」
ウェルズリーの頬のシップがはらりと剥がれ、一筋の血が流れた。
セリアは底冷えのする声で語り掛ける。
「おい、誰が発言を許可した? 私は今猛烈に機嫌が悪い。どれぐらい悪いかというと、今すぐこの場でお前を殴り殺したいほどに。お前の返答次第では私はそれを実行するだろう。それを踏まえた上で質問してやる――何しに来た?」
極寒の眼差しでセリアはウェルズリーを睨みつける。
脅しではない……かな。
室内に充満した殺気がそれを物語っている。
もはや質量さえ感じさせる殺意の波に晒されてウェルズリーの顔面が蒼白となる。
汗が滝のように流れ出て、呼吸が荒くなっていく。
だが、それでもウェルズリーは後退りはしなかった。
恐怖を飲み込むように、ごくり、と喉を鳴らして。
「……恐れながら、ここへは敗北の代償を支払いに参りました。ただし、それはアークレイ市長……貴殿にではありません」
「あ?」
ウェルズリーがくるりと踵を返す。
つかつかと歩いていき、ミリーの前で止まる。
そして、ウェルズリーはそのままミリーに跪き、深々と頭を下げた。
ひどく冷たい視線でセリアは執務用の机に腰かけているキースを見下ろす。
夕暮れの団長室。
今、この場には私とミリー、キース。それと事情を聞いて駆けつけたセリアとフェリシアの姿があった。
問いかけられたキースは軽い調子で肩を竦めてみせる。
「おいおい、まるで俺が悪者のような言い草だな、セリアの嬢ちゃんよ。言っとくが、別に俺があの坊主を無理矢理決闘の場に立たせたわけじゃねえぞ? そこらへんの誤解を詳しく―――」
ドシンッ! と、重い破砕音が室内に轟く。
セリアの拳が目の前の机に叩きつけられた音だ。
叩きつけられた高級そうな机は天板がひしゃげ、一瞬でガラクタと化した。
「……一応、この机一つでこの街の市民の平均年収と同じぐらいするんだがな」
机を眺めてキースがぼやく。
セリアはそれを無視して懐から取り出した煙草を咥える。
と、音も無く近づいたフェリシアがそれに火をつけた。
というか、普段から無表情で解りづらいけど、こころなしかフェリシアの機嫌も悪そう……もしかしなくともセリアと同じように怒ってる……?
セリアは苛立たしげに、ふー、と紫煙を吐き出す。
「ヴァイルシュタイン卿。言うまでもなく、貴殿は人魔大戦の英雄の一人だ。私はそのことに対して少なからぬ敬意を抱いているし、この都市を運営していく上でも頼もしいビジネスパートナーだと思っている……その上で言わせて頂こう」
ぐいっ、とセリアの手がキースの胸倉を掴み上げた。
「舐めているのか、クソジジイ? 事情はすべて聞いている。貴族主義の馬鹿が突然絡んできたこと。アンタがそれを煽って決闘にまで発展させたこと。そして、そのせいで私の身内が傷ついたこと……ッ」
剥き出しとなった怒気が室内の空気を重くした。
セリアは敵には容赦はしないけど、身内には過保護とも言えるぐらいに甘い。
一歩間違えれば死んでいてもおかしくなかった事態にセリアは激怒していた。
「そもそもの原因はアンタが騎士団内の不和を解消しなかったからだろうが。この支部の頭はアンタだ。平民を重用しようが、貴族を蔑ろにしようがアンタの好きにすればいいさ……だがな、それは組織の運営が滞りなく行われることを前提とした上での話だ……よくもアンタらのクソ下らん内輪揉めに私の身内を巻き込んでくれたな――売られた喧嘩は買う主義だ。お望みなら戦争でも何でもしてやろうか? ああ⁉︎」
鼻先が触れそうな至近距離でセリアがキースを睨みつける。
ぶわりとセリアの身体から青色の魔力が滲む。
余りにも激しい感情に制御を失った魔力が溢れ出たようだった。
ほんの一瞬、ほんの僅かな量ではあったけど、濃密なその魔力は現役の騎士であるミリーさえも心胆寒からしめるものがあった。
言われた当のキースは普段の笑みを潜め、セリアの藍色の瞳を真っ向から見つめる。
「……騎士団のゴタゴタにお前さんの身内を巻き込んだのはすまなかった」
胸倉を掴まれたまま、キースは真摯に謝罪の言葉を口にする。
「お前さんの言う通り、騎士団内の不和を未だ解消できていのは俺の責任だ。そのことも含めて重ねて詫びよう。だが誓って言うが、俺はあの坊主を悪戯に傷つけたかったわけじゃない。俺はただ確かめたかっただけだ」
「何を」
「あの坊主の、英雄としての資質を」
巌のような声でキースはそう応じる。
「なぜ今更英雄を求める。人魔大戦は終わった。アンタたちが終わらせた」
「終わっちゃいねえさ。確かに魔王は死に、災害級も全盛期の三分の一にまで減った。だが、こちらも聖王陛下を始め、多くの英雄を失った。戦後から十年経っても未だ局地的な魔獣の被害は後を絶えず、聖王国の戦力も大戦によって七割を損耗したままだ。このままではいずれ人類は劣勢に追い込まれる」
「玉座は次の……今代の女王陛下に引き継がれた。アンタは今の陛下の方針に不服があるのか?」
「……不服はない。女王陛下の采配は実に合理的だ。だが、あまりにも合理的に過ぎる。あの方は人を能力でしか判断しない。命を数字でしか見ない。駄目なんだ、それでは。国家を運営することは出来ても、あの方では世界を救うことは絶対に出来ない」
「…………」
「このままでは駄目だ。これでは守れない。辿りつけない。俺たちが、聖王が目指した世界に。そのためには必要なんだ。一人でも多くの、若く、強い、新しい英雄が」
セリアの厳しい視線を真っ向見返してキースは言う。
「あの坊主を騎士団にくれ、アークレイ殿。代価が必要というならどんなモノでも支払ってやる。あの坊主はいずれ必ず英雄となる」
「……アンタはそれを確かめるために、あの子を決闘の場に立たせたのか。その結果、あの子が死のうとも、それはあの子の自己責任であって、自分には関係ないと?」
「責任の取り方くらいは心得てるさ。気に食わねえようならあの坊主と同じ目に合わせてくれて構わねえ。だが仮にあの決闘で命を落としていたとしても、それはあの坊主が所詮その程度の器でしかなかったってことだ」
「――おまえ」
藍色の双眸が収縮した。
セリアの後ろに控えていたフェリシアもキースの発言に表情を険しくする。
セリアは拳を握り、キースを殴り飛ばそうと振りかぶる。
それを遮るように外から扉をノックする音が響いた。
「……?」
部屋の隅で待機していたミリアリアが迷うようにキースを仰ぎ見る。
キースが顎をしゃくると、ミリーは扉へと移動しドアノブを回す。
それから驚きの声を上げた。
「なっ、ウェルズリー⁉」
室内に入ってきたのははオレンジ色の髪を逆立たせた若い騎士だった。
腫れあがった頬にはシップが貼ってある。
ミリーの言葉ににセリアは目を眇めた。
「ウェルズリーだって? フェリ、そいつは確か―――」
「ええ。アラン=ローヌ=ウェルズリー騎士。第六小隊の隊員にして、ウェルズリー男爵家の三男。そして、今回のソラ様の決闘相手です」
セリアの質問に淀みなくフェリシアが答える。
「そうか、お前か。私の身内にちょっかいを出した騎士っていうのは。君には後で会いに行く予定だったし、手間が省けて丁度よかったよ」
セリアはキースの襟首から手を放してウェルズリーへと向き直った。
藍色の髪に怜悧な美貌。
セリアの素性を即座に察したウェルズリーが左胸に右拳を当て、踵を揃えた。
「お初にお目にかかります、アークレイ市長。私は―――」
開いた口はそれ以上の言葉を紡げなかった。
セリアが指で弾いた煙草が高速でウェルズリーの頬を霞め、ナイフのように背後の壁に深々と突き刺さる。
煙草を覆う青色の魔力の残滓が陽炎のように揺らめいた。
「……ッ⁉」
ウェルズリーの頬のシップがはらりと剥がれ、一筋の血が流れた。
セリアは底冷えのする声で語り掛ける。
「おい、誰が発言を許可した? 私は今猛烈に機嫌が悪い。どれぐらい悪いかというと、今すぐこの場でお前を殴り殺したいほどに。お前の返答次第では私はそれを実行するだろう。それを踏まえた上で質問してやる――何しに来た?」
極寒の眼差しでセリアはウェルズリーを睨みつける。
脅しではない……かな。
室内に充満した殺気がそれを物語っている。
もはや質量さえ感じさせる殺意の波に晒されてウェルズリーの顔面が蒼白となる。
汗が滝のように流れ出て、呼吸が荒くなっていく。
だが、それでもウェルズリーは後退りはしなかった。
恐怖を飲み込むように、ごくり、と喉を鳴らして。
「……恐れながら、ここへは敗北の代償を支払いに参りました。ただし、それはアークレイ市長……貴殿にではありません」
「あ?」
ウェルズリーがくるりと踵を返す。
つかつかと歩いていき、ミリーの前で止まる。
そして、ウェルズリーはそのままミリーに跪き、深々と頭を下げた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです
藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。
家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。
その“褒賞”として押しつけられたのは――
魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。
けれど私は、絶望しなかった。
むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。
そして、予想外の出来事が起きる。
――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。
「君をひとりで行かせるわけがない」
そう言って微笑む勇者レオン。
村を守るため剣を抜く騎士。
魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。
物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。
彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。
気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き――
いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。
もう、誰にも振り回されない。
ここが私の新しい居場所。
そして、隣には――かつての仲間たちがいる。
捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。
これは、そんな私の第二の人生の物語。
死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について
えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。
しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。
その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。
死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。
戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。
婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。
國樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。
声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。
愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。
古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。
よくある感じのざまぁ物語です。
ふんわり設定。ゆるーくお読みください。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる