34 / 179
魔王、人間の王に呼ばれる2
しおりを挟む
王宮に向かう際、オークたちをどうするかひと悶着あった。
オークたちはついて行きたがった。
「魔族のお前さんが人間の城なんかに行ったら、何されるかわからん」
オークたちの代表であるドンファはそう言って心配していた。
ドンファの気持ちは嬉しかったし、クリスもそうしたかったが、人間の街にオークたちを連れて行くと大きな騒ぎになりかねない。
しかし、ここにオークたちを置いて行くと、人間に襲われるかもしれない。
いろいろ検討した結果、クリスが作った結界の中で待ってもらうことにする。
クリスが作った結界は、オークたちは出れないし、クリス以外は入れないうえに、攻撃が通らないようにした。もちろん、クリスの意識が失っても消えないように魔石を使う。
さらに中にオークがいることがバレないように周りの景色と同調させた。
「これなら君たちも安心でしょ」
クリスは結界について説明すると、カイトにそう言った。
「ええ、そうですね」
カイトは頷いたが、一瞬だけ眉を寄せる。
クリスは気付いたがそれについては指摘せず、オークたちと必要なものについて話し合った。
お金はシオンがくれたものがあるので、王宮に行くついでに買い物をすることにしたからだ。
ちなみにクリスは自分の国のお金を持っているが、この世界のお金と違ったため、使えそうにない。
だいたい必要なものを確認し終えたあと、いつ帰れるかわからないので、植物魔法を使って多めに果物を用意し、近場で狩りをして肉を置いて行く。
サーニャはオークたちと残すことにした。
角を隠す気もなく、人間を完全に敵視しているサーニャを連れて行くとトラブルを起こしそうだからだ。魔力が強いだけに、ある意味オークたちより危険かもしれない。
なんとか説得して、お土産を買って来ることで了承してもらった。
こうしてもろもろの準備を終えたあと、ようやくクリスは騎士団と共に王宮に向かった。
騎士団に連行されるような形で、クリスは街に入る。なぜか勇者一行もいっしょに。
「なんで君たちも来ているんだい?」
「私たちを呼んだのはここの王様なんです。
もともと聖剣を抜いたら、報告に向かう予定でした」
クリスの疑問にルディアが答える。
つまり聖剣を取りに行ったはずの勇者たちが帰って来ず、不審に思ったここの国の王が、部下に村を訪ねさせてことの経緯を知ったということだろう。
クリスは街を眺めた。
石畳の道に、木やレンガでできた建物と、ざっと見たところ、この街とヒオン国の文化に大きな差はないように見える。
道行く人々の服装もヒオン国とそんなに変わらない。種族が限られているせいか種類は少なそうだが。
ヒオン国だと、公共の場では胸部と性器を隠していればどんな服装でも自由なので、たまにギリギリまで布地を少なくした者がいるがこの国にはいなそうだ。体質的に服が着れないスライムなどもいないだろう。
ちなみに胸部を隠すことは始めは女だけだったらしいが、それでは不公平だという意見があり、男にも適用された。
閑話休題。
道端に蹲っている子供がいた。
「ちょっと待ってて」
騎士たちが睨んだり止めたりするがクリスは無視して、子供に近づく。
「君、迷子かい?」
子供は暗い目でクリスを見て、首を振る。
服や体は汚れ、頬は痩け、手足は骨の形がわかるほど細い。
クリスは顔をしかめた。街の様子から飢饉が起きている様子はない。なのに、なぜこの子供はこんなに飢えているのだろう。
「勇者殿、行きましょう」
カイトが近づき小声で言うが、クリスは無視する。
クリスは周りを見渡すと、果物を売っている屋台があったので近づく。
シオンにもらったお金で果物を1つ買い、子供の前に置いた。
騎士団の方に戻ると、ほとんどの者が怪訝そうな顔をしている。
「なぜ、浮浪児に施しをされたのですか?」
「浮浪児?」
「……家も身寄りもない子供のことです」
カイトの言葉にクリスは驚いた。
「……孤児院は?」
「残念ながら、対応が追い付いていません」
クリスの顔が険しくなる。
ヒオン国では、子供が少ない魔族やエルフが国政に関わるせいか、そういった問題は起きていなかった。
ここはクリスの国ではないので首を突っ込むのは差し出がましいが、一言打診するくらいならできるだろう。
そんなことを考えているうちに、王宮に到着した。
オークたちはついて行きたがった。
「魔族のお前さんが人間の城なんかに行ったら、何されるかわからん」
オークたちの代表であるドンファはそう言って心配していた。
ドンファの気持ちは嬉しかったし、クリスもそうしたかったが、人間の街にオークたちを連れて行くと大きな騒ぎになりかねない。
しかし、ここにオークたちを置いて行くと、人間に襲われるかもしれない。
いろいろ検討した結果、クリスが作った結界の中で待ってもらうことにする。
クリスが作った結界は、オークたちは出れないし、クリス以外は入れないうえに、攻撃が通らないようにした。もちろん、クリスの意識が失っても消えないように魔石を使う。
さらに中にオークがいることがバレないように周りの景色と同調させた。
「これなら君たちも安心でしょ」
クリスは結界について説明すると、カイトにそう言った。
「ええ、そうですね」
カイトは頷いたが、一瞬だけ眉を寄せる。
クリスは気付いたがそれについては指摘せず、オークたちと必要なものについて話し合った。
お金はシオンがくれたものがあるので、王宮に行くついでに買い物をすることにしたからだ。
ちなみにクリスは自分の国のお金を持っているが、この世界のお金と違ったため、使えそうにない。
だいたい必要なものを確認し終えたあと、いつ帰れるかわからないので、植物魔法を使って多めに果物を用意し、近場で狩りをして肉を置いて行く。
サーニャはオークたちと残すことにした。
角を隠す気もなく、人間を完全に敵視しているサーニャを連れて行くとトラブルを起こしそうだからだ。魔力が強いだけに、ある意味オークたちより危険かもしれない。
なんとか説得して、お土産を買って来ることで了承してもらった。
こうしてもろもろの準備を終えたあと、ようやくクリスは騎士団と共に王宮に向かった。
騎士団に連行されるような形で、クリスは街に入る。なぜか勇者一行もいっしょに。
「なんで君たちも来ているんだい?」
「私たちを呼んだのはここの王様なんです。
もともと聖剣を抜いたら、報告に向かう予定でした」
クリスの疑問にルディアが答える。
つまり聖剣を取りに行ったはずの勇者たちが帰って来ず、不審に思ったここの国の王が、部下に村を訪ねさせてことの経緯を知ったということだろう。
クリスは街を眺めた。
石畳の道に、木やレンガでできた建物と、ざっと見たところ、この街とヒオン国の文化に大きな差はないように見える。
道行く人々の服装もヒオン国とそんなに変わらない。種族が限られているせいか種類は少なそうだが。
ヒオン国だと、公共の場では胸部と性器を隠していればどんな服装でも自由なので、たまにギリギリまで布地を少なくした者がいるがこの国にはいなそうだ。体質的に服が着れないスライムなどもいないだろう。
ちなみに胸部を隠すことは始めは女だけだったらしいが、それでは不公平だという意見があり、男にも適用された。
閑話休題。
道端に蹲っている子供がいた。
「ちょっと待ってて」
騎士たちが睨んだり止めたりするがクリスは無視して、子供に近づく。
「君、迷子かい?」
子供は暗い目でクリスを見て、首を振る。
服や体は汚れ、頬は痩け、手足は骨の形がわかるほど細い。
クリスは顔をしかめた。街の様子から飢饉が起きている様子はない。なのに、なぜこの子供はこんなに飢えているのだろう。
「勇者殿、行きましょう」
カイトが近づき小声で言うが、クリスは無視する。
クリスは周りを見渡すと、果物を売っている屋台があったので近づく。
シオンにもらったお金で果物を1つ買い、子供の前に置いた。
騎士団の方に戻ると、ほとんどの者が怪訝そうな顔をしている。
「なぜ、浮浪児に施しをされたのですか?」
「浮浪児?」
「……家も身寄りもない子供のことです」
カイトの言葉にクリスは驚いた。
「……孤児院は?」
「残念ながら、対応が追い付いていません」
クリスの顔が険しくなる。
ヒオン国では、子供が少ない魔族やエルフが国政に関わるせいか、そういった問題は起きていなかった。
ここはクリスの国ではないので首を突っ込むのは差し出がましいが、一言打診するくらいならできるだろう。
そんなことを考えているうちに、王宮に到着した。
0
あなたにおすすめの小説
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
転生幼女の国家級チート図書館~本を読むだけで技術が進化する世界で、私だけ未来知識持ちでした~
ハリネズミの肉球
ファンタジー
目が覚めたら、私は5歳の幼女だった。
しかもそこは――
「本を読むだけで技術が進化する」不思議な異世界。
この世界では、図書館はただの建物じゃない。
本を理解すればするほど、魔道具も、農業も、建築も“現実にアップデート”される。
だけど。
私が転生した先は、王都から見捨てられた辺境の廃図書館。
蔵書は散逸、予算ゼロ、利用者ゼロ。
……でもね。
私は思い出してしまった。
前世で研究者だった私の、“未来の知識”を。
蒸気機関、衛生管理、合金技術、都市設計、教育制度。
この世界の誰も知らない未来の答えを、私は知っている。
だったら――
この廃図書館、国家級に育ててみせる。
本を読むだけで技術が進化する世界で、
私だけが“次の時代”を知っている。
やがて王国は気づく。
文明を一段階進めたのは――5歳の幼女だったと。
これは、最弱の立場から始まる、知識による国家再設計の物語。
※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
異世界のんびり放浪記
立花アルト
ファンタジー
異世界に転移した少女リノは森でサバイバルしながら素材を集め、商人オルソンと出会って街アイゼルトヘ到着。
冒険者ギルドで登録と新人訓練を受け、採取や戦闘、魔法の基礎を学びながら生活準備を整え、街で道具を買い揃えつつ、次の冒険へ向けて動き始めた--。
よくある異世界転移?です。のんびり進む予定です。
小説家になろうにも投稿しています。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる