その勇者、実は魔王(改訂版)

そこら辺の人🏳️

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魔王、人間の王に呼ばれる2

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 王宮に向かう際、オークたちをどうするかひと悶着あった。
 オークたちはついて行きたがった。

「魔族のお前さんが人間の城なんかに行ったら、何されるかわからん」

 オークたちの代表であるドンファはそう言って心配していた。

 ドンファの気持ちは嬉しかったし、クリスもそうしたかったが、人間の街にオークたちを連れて行くと大きな騒ぎになりかねない。
 しかし、ここにオークたちを置いて行くと、人間に襲われるかもしれない。

 いろいろ検討した結果、クリスが作った結界の中で待ってもらうことにする。

 クリスが作った結界は、オークたちは出れないし、クリス以外は入れないうえに、攻撃が通らないようにした。もちろん、クリスの意識が失っても消えないように魔石を使う。
 さらに中にオークがいることがバレないように周りの景色と同調させた。

「これなら君たちも安心でしょ」

 クリスは結界について説明すると、カイトにそう言った。

「ええ、そうですね」

 カイトは頷いたが、一瞬だけ眉を寄せる。

 クリスは気付いたがそれについては指摘せず、オークたちと必要なものについて話し合った。

 お金はシオンがくれたものがあるので、王宮に行くついでに買い物をすることにしたからだ。
 ちなみにクリスは自分の国のお金を持っているが、この世界のお金と違ったため、使えそうにない。

 だいたい必要なものを確認し終えたあと、いつ帰れるかわからないので、植物魔法を使って多めに果物を用意し、近場で狩りをして肉を置いて行く。

 サーニャはオークたちと残すことにした。

 角を隠す気もなく、人間を完全に敵視しているサーニャを連れて行くとトラブルを起こしそうだからだ。魔力が強いだけに、ある意味オークたちより危険かもしれない。

 なんとか説得して、お土産を買って来ることで了承してもらった。

 こうしてもろもろの準備を終えたあと、ようやくクリスは騎士団と共に王宮に向かった。
 騎士団に連行されるような形で、クリスは街に入る。なぜか勇者一行もいっしょに。

「なんで君たちも来ているんだい?」
「私たちを呼んだのはここの王様なんです。
 もともと聖剣を抜いたら、報告に向かう予定でした」

 クリスの疑問にルディアが答える。
 つまり聖剣を取りに行ったはずの勇者たちが帰って来ず、不審に思ったここの国の王が、部下に村を訪ねさせてことの経緯を知ったということだろう。

 クリスは街を眺めた。
 石畳の道に、木やレンガでできた建物と、ざっと見たところ、この街とヒオン国の文化に大きな差はないように見える。
 道行く人々の服装もヒオン国とそんなに変わらない。種族が限られているせいか種類は少なそうだが。

 ヒオン国だと、公共の場では胸部と性器を隠していればどんな服装でも自由なので、たまにギリギリまで布地を少なくした者がいるがこの国にはいなそうだ。体質的に服が着れないスライムなどもいないだろう。
 ちなみに胸部を隠すことは始めは女だけだったらしいが、それでは不公平だという意見があり、男にも適用された。

 閑話休題。

 道端に蹲っている子供がいた。

「ちょっと待ってて」

 騎士たちが睨んだり止めたりするがクリスは無視して、子供に近づく。

「君、迷子かい?」

 子供は暗い目でクリスを見て、首を振る。
 服や体は汚れ、頬は痩け、手足は骨の形がわかるほど細い。

 クリスは顔をしかめた。街の様子から飢饉が起きている様子はない。なのに、なぜこの子供はこんなに飢えているのだろう。

「勇者殿、行きましょう」

 カイトが近づき小声で言うが、クリスは無視する。
 クリスは周りを見渡すと、果物を売っている屋台があったので近づく。
 シオンにもらったお金で果物を1つ買い、子供の前に置いた。
 騎士団の方に戻ると、ほとんどの者が怪訝そうな顔をしている。

「なぜ、浮浪児に施しをされたのですか?」
「浮浪児?」
「……家も身寄りもない子供のことです」

 カイトの言葉にクリスは驚いた。

「……孤児院は?」
「残念ながら、対応が追い付いていません」

 クリスの顔が険しくなる。
 ヒオン国では、子供が少ない魔族やエルフが国政に関わるせいか、そういった問題は起きていなかった。
 ここはクリスの国ではないので首を突っ込むのは差し出がましいが、一言打診するくらいならできるだろう。

 そんなことを考えているうちに、王宮に到着した。
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