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魔王、人間の王に呼ばれる4
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槍の先端がクリスを突こうと迫ってきた。
たが、ガギッと何か壁のようなものに阻まれてしまう。クリスは簡単な障壁を自身の周りに作っていたのだ。
「な……!」
兵士たちが驚く中、バチィッと大きな音と共に槍を構えていた兵士たちも、クリスに向かって魔法を放とうとした魔法使いたちも、バタバタ倒れていく。
そんな中でも勇者一行と王と側近は無事で、何が起こったかわからず呆然と周りを見渡していた。
クリスは立ち上がってホコリをはらうと、ズボンにある大きなポケットを探り始める。
「な、何をしたんだ!?」
声を震わせ、顔は青白くなりながらも、王はクリスに尋ねる。
「ただの雷魔法だよ。威力は弱くしてあるから、全員気絶するくらいですんでいるよ」
ちなみにこの方法は見晴らしがよくないと目標以外を巻き込むので、森や村の中では使えない。
このクリスの言葉にもっとも驚いたのはルディアだった。
なんでもないことのようにクリスは言ったが、威力の弱い魔法を均一にこの広間の隅まで届かせるにはかなりの技術が必要だ。
しかも近くにいたルディアたちを巻き込まずにするには相当なコントロールが必要になる。魔法に関して自信があるルディアでも難しい。
「あった、あった」
そんなルディアの思いは露知らず、クリスはポケットの中から目的のものを取り出す。
それは黒い楕円状の物体で、側面の切り落としたような平なところに、白い出っ張りが付いていた。
「何を考えてるか知らんが、このようなことをして、お前の仲間のオークたちがどうなると思っているのか?」
落ち着いたのか、王がニヤリとしてクリスに問う。
「あ、やっぱり兵を向かわせていたんだ」
特に驚いていないクリスに王は鼻白む。
「そうだ。オークたちに無事でいて欲しければ大人しく……」
典型的な脅し文句を言う王を無視して、クリスは手に持った物体の出っ張りをポチっと押した。
ピーピーと大きくはないが耳障りな音が鳴る。
その音が止むと、今度は聞き覚えのある声が広間に響いた。
「ちょっと、クリス!もう少し早く連絡しなさいよ!」
それは街の外に置いてきたサーニャの声だった。
たが、ガギッと何か壁のようなものに阻まれてしまう。クリスは簡単な障壁を自身の周りに作っていたのだ。
「な……!」
兵士たちが驚く中、バチィッと大きな音と共に槍を構えていた兵士たちも、クリスに向かって魔法を放とうとした魔法使いたちも、バタバタ倒れていく。
そんな中でも勇者一行と王と側近は無事で、何が起こったかわからず呆然と周りを見渡していた。
クリスは立ち上がってホコリをはらうと、ズボンにある大きなポケットを探り始める。
「な、何をしたんだ!?」
声を震わせ、顔は青白くなりながらも、王はクリスに尋ねる。
「ただの雷魔法だよ。威力は弱くしてあるから、全員気絶するくらいですんでいるよ」
ちなみにこの方法は見晴らしがよくないと目標以外を巻き込むので、森や村の中では使えない。
このクリスの言葉にもっとも驚いたのはルディアだった。
なんでもないことのようにクリスは言ったが、威力の弱い魔法を均一にこの広間の隅まで届かせるにはかなりの技術が必要だ。
しかも近くにいたルディアたちを巻き込まずにするには相当なコントロールが必要になる。魔法に関して自信があるルディアでも難しい。
「あった、あった」
そんなルディアの思いは露知らず、クリスはポケットの中から目的のものを取り出す。
それは黒い楕円状の物体で、側面の切り落としたような平なところに、白い出っ張りが付いていた。
「何を考えてるか知らんが、このようなことをして、お前の仲間のオークたちがどうなると思っているのか?」
落ち着いたのか、王がニヤリとしてクリスに問う。
「あ、やっぱり兵を向かわせていたんだ」
特に驚いていないクリスに王は鼻白む。
「そうだ。オークたちに無事でいて欲しければ大人しく……」
典型的な脅し文句を言う王を無視して、クリスは手に持った物体の出っ張りをポチっと押した。
ピーピーと大きくはないが耳障りな音が鳴る。
その音が止むと、今度は聞き覚えのある声が広間に響いた。
「ちょっと、クリス!もう少し早く連絡しなさいよ!」
それは街の外に置いてきたサーニャの声だった。
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