その勇者、実は魔王(改訂版)

そこら辺の人🏳️

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魔王、巻き込まれる4

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 その頃、クリスは2人に背を向けて、そう遠くない木の影に突っ立っていた。

(……話し合いは終わっただろうか?)

 気になってはいたが、2人きりで話し合うように言った手前、覗き見ることも聞き耳を立てることも憚れる。
 だからクリスは2人を見ないようにし、話が聞こえないように自分の周囲に音を遮断する結界を張っている。
 だが、心の奥底で「もし、魔物が襲ってきたらこれで対応できるのか? なら、多少聞いてもいいんじゃないか?」と誘惑する声がずっと聞こえている。それをガンガン踏みつけてなんとか堪えていた。
 しかし、客観的に見ると、本当にただ無意味に突っ立っているだけなので、自分は何のためにここに来たのか若干途方に暮れているのも事実である。
 そして2人を意識する度に心がざわつくが、その原因をクリスは敢えて考えないようにしていた。

(国民の模範であるべき王が、小児性愛者ってダメでしょ!)

 メイはまだ15歳の未成年だから、そんな相手に恋慕してはいけないとクリスは真剣に思っていた。
 それに成人しても、18歳と426歳である。例え法的には問題なくても、罪を犯しているような気分になってしまう。そういえば、ヒオン国でも長寿の者と短命の者の結婚は珍しいが、なるほど、こういう理由なのだろう。
 だから自分の気持ちについて追及することをクリスは止めていた。
 そしてその代わりに、これからもメイを仲間として大切にしようと心に誓う。
 しかし、そんな考えが出てくる時点で答えはすでに出ているのだが、クリスは全く気づいていなかった。



 そしてしばらく突っ立っていたら、気配を感じたので、クリスはその方向に首を向ける。
 目を大きくしたメイが口をパクパクさせていた。
 クリスは瞬時に周囲に築いていた結界を解く。
 すると、メイの声がはっきりと聞こえてきた。

「――ぜ、こちらにいるのですか?」

 クリスは考える。正直に言うと、なぜ自分がここにいるのかよくわかっていなかった。

「……魔物とか出るかもしれないから心配になっただけだよ」

 とりあえず考えていた中でマシな理由を言う。

「私たちの話を聞いていたのか?」

 ユートが険しい顔をしてメイの隣に立って聞いた。

「聞こえないように結界で隔てていたから何も聞いていないよ」
「……それでは本当に魔物に襲われた時、気づかないのではないのか?」

 痛いところを突かれてクリスは反論できなかった。

「……コホンッ、それで、話し合いは終わったのかい?」

 クリスは咳払いをして誤魔化し、話題を変える。ユートが清々しい顔をしていることも気になっていた。

「ああ。彼女は君たちについて行くそうだ」
「……メイはそれでいいのかい?」

 クリスがメイを見ると、メイは微笑んで頷く。

「はい。最後まで一緒にいます!」
「……そっか」

 クリスも内心ほっとして無意識に微笑んだ。

「……そうだ、魔族……クリスだったか?お前に話したいことがあるから、こっちに来てくれ」

 ユートがクリスの方を見て言い、離れたところに行こうとする。
 その様子にどこか真剣なものを感じて、クリスは頷いて後を追った。
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