1歳児天使の異世界生活!

春爛漫

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家族の怨み

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 街門の入り口に着いた。
 サチは静かにチャイルドシートのベルトがラズの手によって外されるのを待つ。

 ラズに抱っこされて車外に出て、車を収納にしまう。
 ラズの腕は緊張に強張っていた。
 仕方がない。
 サチの顔は今まで見た事も無い真顔で静かに怒りを心に抱いていたから、それが雰囲気・オーラとして漏れ出していたからだ。

 カイザーもエレナもそれは感じているようだ。

 一行は門番の前に来た。

「はい、身分証を出してください。カイザー、聖騎士ね。ご苦労様です。次、サチ・スメラギ、創造神の使徒……わわ、わあっ! 隊長~! 使徒様が来ましたよ~! 隊長~!」

 門番が慌てて奥に走って行った。
 残りの門番は唖然とした。
 創造神の使徒様? 教皇様より尊い?

 サチ一行は途中の事件のせいで気が立っているが、ここは神聖教国。
 教皇様を頂点として神々を崇めている土地柄だ。
 『創造神様の使徒』がこの国に来ただけで大事なのだ。

 先程の叫びを聞いた門番が全員跪いた。
 街に入る為に列に並んでいる一般人は騒ついた。
 「使徒様?」「使徒様がいらっしゃるのか?」と。
 神聖教国では大事件だったのだ。
 教皇様からの『御触れ』。
 『神の次に尊い御身が現れた』と。
 それも【天使】
 【創造神様からの使徒】

 信徒である一般人もざわつき始めた。

 門の奥から、凄い勢いで鎧を着た男達が走ってくる!
 使徒様を一目見んと!
 出迎えねば、と。

 ザッとサチ一行の前に集団が跪いた。

「門番の隊長です! 創造神様の使徒様にお会いできて幸運でございます! 門番、入街手続きを」

 門番は受付台に置かれていた、サチから受け取った身分証をトロフィーかのように捧げ持った。

「はい! 間違いありません! 使徒様です!」

 信徒達から歓声が上がった。
 「使徒様」コールだ!
 怖いオーラを出していたサチもおもわず顔が緩んだ。
 いつもの可愛いサチの顔だ。
 それを見て涙目のラズ。
 カイザーとエレナは民衆に警戒!

 次はラズが門番に身分証を見せる。
 それからエレナが。
 サチ一行は歓迎されて街の中に入った。

 カイザーは門番に警備隊の本館を聞いて教えてもらった通りに歩いて行く。

 民衆の歓声が遠ざかったらサチ達一行に緊張が戻ってきた。
 ラズの抱っこは温かいが、サチの胸に燻った思いは未だに消えない。


 着いてしまった。
 ラズ、カイザー、エレナの3人はサチの行動が予測出来ない。
 創造神様からの神託・御告げもある。
 とても不安だ。

 警備隊本館に入り、中にいた警備兵に告げる。

「事件だ。それも悪質な。広い場所に証拠を出したい。場所を用意してくれ」

 街の厄介事を担当している警備隊は、告げたカイザーの身なりをザッと見て同僚から離れた。

「こちらへどうぞ」

 兵士が何か合図をしたら警備兵が5人ついて来た。
 先導する警備兵に続いて歩いていく。

 普段は警備隊の訓練に使われているのだろう場所に来た。

「証拠品を出してください」

「サチ様、いいですか? 馬車と死体です」

 ラズが落ち着いた声でサチに声をかけてサチが馬車と死体を収納から出すと、途端に辺り一帯に嫌な匂いが広がった。
 警備兵も顔を顰めるが、死体に近寄っていく。
 検分する為だ。
 他の警備兵がカイザーに詳細を聞く。

 また死体を見たサチは怒りが広がるのをおさえきれない。
 小さな歯で唇を噛んだ。

「りゃず、しんぱいしにゃくても、かえってきましゅからにぇ」

 サチからぬ硬い声で話しかけられたラズは腕の中で抱っこしているサチに疑問に声を出した。

「え、サチ様?」

 ラズの腕の中からサチが忽然と消えた。
 驚いたラズの悲鳴が響き渡る。
 尊き御身が消えた!

「サチ様ー!?」

 ◇◇◇

 その時、サチは瞬間移動してマークしていた赤点の側に飛んだ。
 いや、瞬間移動した。

 サチの目の前には体格のいい男がいる。
 サチは能力で男を細い路地に引きずり込んだ。
 周りに人はいない。
 昼間には人が少ない通りなのだろう。

 防音をし、周りから見えないように結界を張り、サチは男を動けないようにした。

「何だ!? 誰かなんかしたのか!? おい! 誰か!?」

 いきなり細い路地に引き倒された男は混乱した。
 よく見ると、男は不潔な身なりをしている。

 サチが男の目の前に飛んだ。

「おまえのこえに、こたえりゅもにょは、だりぇもいにゃい」

「な、何で赤ん坊が飛んでんだよ! お前でも良いっ! 動けないんだ! 誰か呼んでくれ!」

「おまえはここかりゃ、でりゃりぇにゃい」

 薄暗い路地に飛ぶ赤子は、誰が見ても不気味だった。
 それは男も例外では無くーー。

「何言ってんだよ! 早くしろよ!」

 男の声は知らず怯えにかすれていた。

「おまえはひとごりょしをした」

 サチの幼児語に男の身体がビクッとする。
 ここは反応するところではなかったが、男の身に覚えがありすぎた。

 『おまえは人殺しをした』

 男は怯えを滲ませて動揺した声で叫んだ。

「な、なんだよ! おまえっ」

「つみをみにきざめ!」

 サチが創造神から授かった能力を奮った!

「ぎゃあ!」

 男の股間の逸物が一瞬で引きちぎられた。
 それを、ゆっくりと男の目の前で燃やす。

「お、おれの、が」

 男は一瞬だったが、生まれた時から身体についていたものに目が釘づけになる。

 サチは男が出血多量で死なないように傷口を焼く。
 ジュっと音がして嫌な匂いが広がった。
 人肉を焼く匂いだ。

「ぎゃーー!」

 今まで感じた事の無い痛みに男が悲痛な叫び声を上げた!

「おまえは、てあしりょうほうあるにゃ。きじゃみがいがありしょうだ」

 サチは不気味な発言をした後に、男の右指の第一関節から切り落とす。
 切り落とした指は男の目の前で燃やす。
 
 痛みと衝撃に、男は無意識に涙を流していた。

 次は指の第二関節を切り落とす。
 また、落とした指は男の目の前で燃やす。
 血溜まりが少しずつ広がるが、傷口を燃やして、また男の指を切る。

 男に恐怖と痛みが刻み込まれて、今すぐこの場から逃げ出そうと本能が働くが、サチが許すわけもなく、ピクリとも身体を動かせないままで終わった。

「ぎゃあ! いてぇよ、だれかっ、たすけ、たすけてくれっ! ぎゃああ!」

 サチは容赦なく、男の肩まで細切れになるまで指先から順番に肉を切った後は目の前で燃やし、左手も指先から薄く切っては男の目の前で燃やす行為を繰り返した。

 左手も肩まで無くした頃、男は穴という穴から液体を吹き出していた。
 痛みと恐怖に失神をして。

 まだ、両足が残っているのに。

 サチは能力で男の頭に衝撃を与えた。
 男は呆然と目を覚ます。
 男の上半身を調節して、自分の足が見えるようにした。

 サチは次に男の右足の先から刻んでいき、男の目の前で燃やした。
 血溜まりが出来たら焼いていく。

 男が視線を逸らすのを許さずに全て見せつける。
 男の精神は、あり得ない、いや、あってほしくない現実を前に、呼吸は浅く速く、黒目は異常なほど揺れ、白目は血走っていた。
 男の瞼はサチが閉じられないようにした。

「ぎゃっ!ぎょえ!あぎゃ!あ!あし!あしが!いてぇ!いてぇ!やめてく!ぎゃっ!たすけて!ぎゃ!」

 男の醜いとも言える叫び声は、サチの昂った怒りを鎮める為の汚い音となる。
 だが、まだ、サチの、殺された家族の無念は終わらない。

「おまえはたすけたにょか? やめてと、たしゅけてといったぼしを」

「ゆっ、ゆるして!ぎゃあああ!あれはいら、いらいだった!ぎゃあ!」

 男の声が枯れた頃にやっと両足根本まで刻んで焼いた。
 止血も焼いてある。
 生命活動は維持してるので、男はなんとか生きている。

 生きている、と言うか、俗に言う『人間達磨』である。

 サチの怒りの炎は消えていなかった。

 さあ、次の獲物に行こう。
 全員同じ姿にしてあげる。

 血の後は焼いて、痕跡を消してから、次の獲物の元に瞬間移動する。
 もちろん目を開けたまま意識を飛ばしている、サチが刻んだ男も一緒だ。

 ◇◇◇


「な、なにす!やめ!やめてく!ぎゃあああああぁぁぁ!!」

「おまえもこにょおとこと、いっしょににゃりゅにょ」

 可愛いはずの幼児の声が、恐怖の未来を告げる。

「ひぃぃぃい!やめてくれ!やめて!ぐあああ!」

 1番初めの男と同じように、街道で3人家族を殺した実行犯達は、逸物を引きちぎられ、目の前で焼いてから、指先から切り刻んでいく。

 悲鳴がうるさい。
 だが弔いだと思えば男達が苦しめば苦しむだけ、死んだ一家が救われる気がする。
 能力を残酷に使うことだって躊躇いは無い。

 それは、サチの、自己満足だったのか?

 だが、天使のサチには、人とは違うナニカが聞こえたのかもしれない。

「ぐああああ!いーー!いてぇ!やめて!くれ!ぎゃあああ」

 切られる、刻まれる痛みに火傷の痛み。
 犯罪者を休ませてなんてやらない。
 恨み、怨みが消えるまで。

「ぎゃー!あー!あー!う!あ!ぎゃああああ」

 ◇◇◇

 サチは残酷にも6人の男を達磨にした。
 犯人は、あと2人。
 いる場所は分かっている。
 あの店だ。

 夜に店の中に入り、他の従業員がいなくなるのを待ってから、サチは拘束していた男2人の前に現れた。
 防音、姿が見え無いようにしていた。
 どうやって苦しめてやろうか? 同じでいいか。

 拘束している結界を動ける範囲で男が叩いている。
 その反対から結界の中に達磨男達と入る。
 店の中で拘束されている男が振り向いた。
 男の目の前には達磨になった男達と赤ん坊が浮いている。

 男は、男達2人は、副店主と店の御者は後ずさるが、結界で阻まれる。
 まずは御者だ。
 逸物を引きちぎる。
 御者が汚く叫んだ。
 男達の目の前で焼く。
 消し炭になって空気に消えていった。
 2人の目が恐怖に染まる。
 赤ん坊は笑う。
 もっと怯えろ! もっと怖がれ!

 副店主の逸物も引きちぎり炎で焼く。
 血が吹き出ている場所も焼いてやる。
 悲鳴が響き渡る。
 ……決して、店外に聞こえない悲鳴が。

「にゃんで、くりゅしんでりゅか、こんにゃめにあうのか、おちえてやりょうか? こりょしたかりゃだよ。しょんげんをふみにじったかりゃ、こんにゃめにあう。こりょしたにゃ。おやこを。はじゅかちめたにゃぼしを! くりゅしめたにゃ、ちちおやを!」

 実行犯……ではなく、雇い主の副店主を前に、サチの怒りは爆発した!

「わ、わた、わたしじゃな、い。そ、そこ、そこの、おとこどもがっ!ぎゃーー!」

 口答えする男の指を切り落としてやった。

 ふと、サチの目に、殺された親子が見える。

 憎い、苦しい、痛い、裂ける、やめてくれ、代わりに復讐をーー

 分かってる。
 悔しいよね。
 苦しかったよね。
 誰も助けてくれなかった。
 だから、男達もくるしめなきゃ。
 魂が天に帰れない。
 あなた達と同じ場所には行かせない。
 怨みをはらすんだ。

「ぎゃあああああ!!!」
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