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しおりを挟むバタン!と大きな音を立てながらフレディとエイブリッドのいる客室になだれ込んできたミアに、フレディは目を見開くとミアに駆け寄った。
「どうした、ミア!フィミリアはどうした!?」
ぜえぜえと肩で息をするミアの前にフレディは片膝を付いてミアの言葉を待つ。
二人の後ろでは、エイブリッドと先程の使用人が何が起きたのか、とこちらを狼狽えた様子で伺っている。
商談中に突然飛び込んだミアにも咎める様子がなかった事から、恐らく二人の商談はある程度話が着き終わりに近かったのかもしれない。
それならば、ミアはフィミリアの事は他の者の耳には入れない方がいいだろうと考え、フレディにだけ聞こえる位の小さな声で耳打ちする。
「申し訳ございません旦那様。フィミリアお嬢様が、拐かされました…一瞬の隙を付いた瞬間での手馴れた犯行でしたので、恐らく犯罪組織かと思われます…」
「何…!?」
フレディの鋭く、低い声が客室の中に響く。
恐らく、ミアはフィミリアが攫われてからすぐにこの客室に向かって来たのであろう。
その向かっている最中に、舞踏会の会場のいたるところで娘が消えた、という言葉も合わせて聞いているようだ。
その言葉で、フレディもフィミリアが何らかの犯罪に巻き込まれたのだと理解した。
「エイブリッド氏、申し訳ないが私達はここで失礼するよ」
フレディのその言葉に、エイブリッドは呆気に取られながらも、頷いたのだった。
「ミア、フィミリアが姿を消してからここに来るまでどれくらいかかった?」
「凡そ五分程度かと思われます」
フレディは急いで客室から出るとミアを伴い、ミアが姿を消した、という場所まで案内するよう伝える。
二人が慌ただしく客室から出て、舞踏会のホールに出るとざわめきは更に大きくなっていた。
舞踏会に参加していた貴族の親達が、娘が行方不明だと騎士団へと詰め寄っている。
騎士隊の面々も、何が起こっているのか把握しきれておらず各々対応に追われていた。
その中に、フレディもミアも見知った男の顔を見つけてその男の方へと急ぎ足を早めた。
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