【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船

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 午前中の授業が終わる頃合を見計らい、丁度昼食の時間に差し掛かる頃にリスティアナは教室へと戻った。

 リスティアナが教室に姿を現すと、ヴィルジールに連れ出されたからか、朝よりも視線が集中し、内心で溜息をつく。

「──リスティアナ! お帰りなさい。今日はどちらに食べに行きましょうか?」
「リスティアナ嬢、ご無事で良かったですわ」

 リスティアナが教室内に戻って来ると、直ぐに友人のコリーナとアイリーンがやって来て声を掛けてくれる。
 二人の友人にリスティアナはいつも通りに微笑むと、「あら?」と不思議そうに声を上げた。

「そう言えば、ティファ嬢はどちらに? 朝はいらっしゃったわね?」
「ああ、ティファ嬢でしたら授業で分からない部分があったので先生に聞いて来る、と言ってましたわ。遅くなるかもしれないので、待たずに食べて良いと」
「あら、そうですの?」

 キョトン、と瞳を瞬かせるリスティアナにコリーナはずいっと顔を近付けると小声でリスティアナにぽつり、と零す。

「ティファ嬢は、良い機会だからと一度学園内の噂がどれ程か、見て回ってくる、と」
「──!」

 リスティアナに向かって片目を瞑り、口端を持ち上げるコリーナになるほど、と納得する。

 ティファは、ハナム子爵家の令嬢だ。
 リスティアナやコリーナは例え一人で廊下を歩いていても目立ってしまう。
 家柄も良ければ、美しい容姿の二人はただ立っているだけでも視線を集めてしまうのだが、子爵家のティファは逆に下位貴族の出である為、周囲に溶け込みやすい。
 可愛らしい顔立ちをしてはいるが、それでもやはり侯爵家のリスティアナやコリーナ二人の洗練された美しさとは比べようがない。

 アイリーンは、伯爵家の令嬢である為ティファよりは目立ってしまう為に、今回はティファが動いているらしかった。

 リスティアナは、友人達が自分を手助けしてくれる事に感謝をしつつその感情を表に出してしまわないように気を付けながら唇を開いた。

「それでしたら、参りましょうか。お待たせしてしまってごめんなさい」



 利用する事が多い庭園では無く、今日は学園にある食事をとる為に用意されたホールで、リスティアナとコリーナ、アイリーンの三人はゆったりと昼食を楽しんでいた。

 食堂、のように使用する事が出来るこのホールは室内の為声が響きやすい。
 外よりも学園生の噂話が拾える事を見越して三人はホールにやって来たのだが、学園生も考える事は同じで、リスティアナ達三人の会話に聞き耳を立てているようであった。

 聞き耳を立てられている、と分かった上で情報を与えてやる気は無い。
 リスティアナ達は午前中の出来事には一切触れずに今流行りの観劇の演目の話や、休日に読んだ本の話など、聞かれても何ら支障の無い事達を話し、談笑しながら昼食を食べ進める。

 リスティアナ達が期待していた事を話す気配が無いからだろうか。
 聞き耳を立てていた学園生達は次第に聞き耳を辞めて思い思いに自分達が話したい事柄達を話始める。

 今度は逆にリスティアナ達は談笑をしながら静かに聞き耳を立てる。
 ホール内に居る学園生達はそれぞれ自分達が興味を持つ事柄を話しているが、リスティアナの耳にヴィルジールと、そのお相手のナタリアの名前を出して小声で会話をしている者達の声を捉えてそっと耳をそばだてたのだった。
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