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しおりを挟むそうして、リドルが口にした通りエリシャ達ルドラン子爵家の面々は翌日王城に登城し、エリシャの魔法について細かく調べられる事となる。
アイーシャはその日リドルと共にその確認の様子を上階から確認する為に呼ばれた。
昨日、学園から帰宅する馬車の中でその話をされたのだ。
リドル曰く、自分がどんな魔法で卑劣な手段で長年苦しめられて来たかを知った方がいい、と。エリシャが利用していた魔法の効果、そして使用されて来た人間に対しての作用をしっかりと自分で確認した方が良い、と言う事で王城でアイーシャがその様子を確認する場を作ってくれた。
「──ルドラン嬢。待たせてすまないね、行こうか」
「アーキワンデ卿今日はありがとうございます、よろしくお願い致します」
王城に向かう朝。
リドルがアイーシャを迎えに来てくれ、アイーシャはぺこりと頭を下げる。
「お礼なんて──。気にしないでくれ。寧ろ俺やクォンツがこのような大事にしたんだからね」
「いいえ、お二人に手助け頂けていなければ今も私はルドラン子爵邸で以前のように暮らしていましたから……。あのような……異質な現状に気付かせて頂けてとても感謝しております」
リドルとアイーシャはお互い顔を見合わせて会話をすると、馬車に乗り込み王城へと向かう。
馬車で王城へと向かう最中、リドルに魔法の確認方法について簡単に教えて貰った。
何でも、国では他人の魔力や現状その人間が取得している魔法を調べる事が出来る魔道具という装置があるらしい。
その装置に、対象の人間が自分の魔力を流し込めば忽ちその者の取得している魔法や魔力を確認する事が出来ると言う。
「──その装置は国で管理している重要な物だから、今回のような国の定めに違反しているような場合に事実確認の為に使用されるんだ。誰がどんな魔法を取得していて、どれだけの能力を秘めているのか……それを簡単に知ってしまうと要らぬ軋轢や差別を生じさせてしまうからね」
「そう、だったのですね……」
「ああ。だから、今回の結果も秘匿魔法が掛けられた場所で行われる。外部の者……他者に口外出来ないように誓約魔法が掛けられている場所で行われるからね」
「確か、に……。個々の魔法の能力を簡単に外部に漏らされてしまえば、要らぬ争い事を呼び込んでしまうかもしれませんね」
「そうなんだ。ルドラン嬢は理解が早くて助かるよ……。だから、俺達が見学出来る場所も、誓約魔法の範囲内だ。……ルドラン嬢は人の能力を外部に漏らすような人では無いから安心だけどね」
「も、勿論ですわ……! とても、個人的な物ですから……!」
アイーシャの言葉に、リドルは「ありがとう」と笑顔を浮かべながら告げると、「そろそろ着きそうだね」と声を掛けた。
アイーシャとリドルが王城に到着し、案内された部屋に通された時には、エリシャと両親は既に王城に登城していたらしく、アイーシャとリドルが案内された部屋から見下ろせる階下の仰々しい空間に見慣れた顔が並んでいる。
「──あっ、」
そこでアイーシャはルドラン子爵邸の面々とは離れた場所で緊張に表情を強ばらせ、待機しているベルトルトの姿を見付けて何故ベルトルトが? と疑問に思ってしまう。
だが、アイーシャの隣に歩み寄って来たリドルがアイーシャの疑問に答えてくれるように唇を開いた。
「ああ、彼はエリシャ・ルドラン嬢に家族の次に多く魔法を使用されていたであろう人間だからね。証人の一人として登城して貰ったんだ」
「そっか……確かにベルトルト様も無関係ではございませんものね……」
ベルトルトも、エリシャの魔法の標的となっていたのだ、と以前も聞いていたがアイーシャはそれを知っても何とも思わなかった。
魔法の標的とは言っても、精神干渉のような強力な魔法では無く、エリシャが使用していたのは恐らく信用魔法だろうと言われている。
ただ、少しその魔法の発動者の信用を上げる魔法。その魔法にあっさりと掛かると言う事は結局は魔法を掛けられた人物も初めからエリシャの言葉を少なからず信じていると言う事だ。
そうでなければ、信用に価する言葉で無ければ全てを鵜呑みになんてしていなかった筈。
アイーシャは、緊張した面持ちで控えているベルトルトから視線を外し、エリシャや両親へと視線を向ける。
エリシャは初めて訪れる王城に興奮しきった様子で。はしゃいだような浮かれた様子を隠す事無くキラキラと瞳を輝かせて周囲を見回している。
共に登城した両親も、そんなエリシャを咎めるような様子は見受けられず多少緊張した様子が窺えるが、エリシャの好きにさせてしまっている。
そうして、暫し時間が経った後にその部屋に専門の確認の者達が入室して来た。
入室して来た者達の先頭を歩くのは、この国の王太子殿下であるマーベリック・ディオ・サリオが颯爽と室内を進む。
プラチナブロンドの髪の毛に、王族の証である黒曜石のような相手に畏怖を抱かせるような真っ黒な瞳を持つ。
その黒い瞳をつい、とエリシャに向けると氷のように冷たい表情でエリシャの魔法を測定する魔道具の準備をするように命ずる。
「──エリシャ・ルドラン子爵令嬢。城への登城、ご苦労であった。早速ではあるがルドラン子爵令嬢に掛けられた嫌疑を明らかにしようか。……準備をせよ」
エリシャは、颯爽と登場したこの国の王太子にぽうっと見惚れるように頬を染めた。
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