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モラトリアム

大丈夫?

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リィンをどうするおつもりですか?身元が分からない者をこの国に置いておくなど。失礼ながら、この国の状況をお分かりなのですか?」
「もちろん分かっておる。国名がその国の行く末を案じていて、実際に文化や技術が止まっており、民たちが辛い思いをしているのも重々承知している。」
「では、何故あのような事を。」
「以前父上が仰っておられたのだよ。『神の運命より逃れし者、可能性を秘めた者なり。』と。私は、その言葉を信じたいのだ。」
「…。」


国の名前は、世界に唯一国に名前を授ける事が許されている教会から頂くものである。故に、この世界は、神により定められた世界である。


「分かりました。私も前国王を、女王を信じます。しかし、リィンには何もせずにここにいさせる訳には参りません。どう致しましょうか。」
「ならば、明日城の中を案内せよ。その後、出来そうな仕事につかせよ。」
「よろしいのですか。城で働かしても。」
「どこにいるか分からんよりは、城の方が何をしているのか分かる。良いな?」
「かしこまりました。」



丁度その時、リィンはと言うと…



街を歩き回っていた。
今日は帰ろうと思っていたら、城が分からなくなった。つまり、迷子だ。

「ここどこ?お城の家どれ…。」

時間も時間なので人もいない。

「無事、王城行けたかい?」

振り向くと、そこにはユーリンが立っていた。助かった!!

「ユーリン、助けて。王城には行けて、街を見て回ることにしたら迷って帰ってこれなくなって。」
「この街は迷いやすいからね。俺も丁度王城に行くところなんだ。一緒にどう?」

なんてグッドタイミング!
ユーリンに連れて行ってもらおう。

 

無事、王城に戻って来れた。
良かった。
ユーリンに感謝だね。
王城の扉を開けると、騎士の1人がユーリンに向かって敬礼っぽいのをしながら、お帰りなさいませと言っている。

えっ!?ユーリンって騎士の1人とかじゃないの?どういうこと?何者?

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