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モラトリアム

居場所確保

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「ココどこ!?」

目覚めた僕は、見慣れない風景でパニクっていた。
すると

「おはよう。よく寝れたか?」

僕が寝ているベットの横を見ると知らない人物が立っていた。

「はい。よく眠れました。ところで、どちら様ですか?」
「お前こそ、他人に名前を聞く前に名乗るべきでは無いのか?」
「こらこら、そう声を荒げるでない。わたくしはこの国の女王ヘーゲル・ワイス、この者は騎士のエイゼンシュタインという。気軽にヘーゲルと呼んでくれ。」
「ヘーゲルさん、エイゼンシュタインさん、よろしくお願いします。私はリィンと言います。」



~数時間後~



「まさか、魔力の無い者を感知する事がここまで難しいとは…。」
「確かに。リィン、この国に住まないか?無理にとは言わん。しかし、この世界で魔力が無い者は珍しい。どの様な扱いを受けるか分からん。だから、どーだ?」

これは、願ってもいない程嬉しい申し出だ。大勢の前に素で出なければ良いだけだから、王女ヘーゲルさんの後ろ盾があったら、何かと便利。

「じゃあ、よろしくお願いします。」
「うむ。こちらこそよろしくたのもう。今日はもう遅い。住むところが決まるまでは城でゆっくりするなり、国を見て回るなり好きにせい。」
「はい。ありがとうございます。」


時間が遅いからと部屋に案内してもらった。時間の概念は、日本と変わらないらしい。しかし時間を聞くと、まだ16時くらい。16時で遅いって、小学生じゃないんだから。
ということで、街を見て回ることに。やっぱり、人前に出る時はコスプレをしないと、道の隅っこを歩かないと、こっちの世界では向こうよりも皆の視線が自分を見ているのが良く分かってしまう。敏感になったのかな?

「服屋には、思ったの無かったな。こっちの人たちはお洒落しないのかなぁ。にしても、エイゼンシュタインさん達も言ってたけど、ホントに僕って気配無いだなぁ。お店に入っても気付かれなかったし、声かけたらビックリして悲鳴あげられたし。トホホ。まぁ、布から…」

はっ!
僕は気づいてしまった。お金を持っていない!ヘーゲルさんにお金をもらうのは違うしな。明日、仕事探さないと…。何でこっちに来てまで就活のしないとダメなんだろ。
今日は、帰って寝よ。

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