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現パロ
カレーライス
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今日は疲れた。
いや、正しくは「今日も」である。
土曜日の今日を振り返る。
まずは午前中。
部活動の顧問代理として母校に行き、4時間ほど指導。
終わって帰宅し、午後。
最近になって初心者教室を設けたので、その指導を3時間ほど。
終わったら道場の掃除をして、庭木の手入れをした。
夕方は来月に開催される剣道の大会についての話し合いがある為、審判員の1人を務める人物の家に外出。
今、その帰り道。
天定は1人で帰路についていた。
空は夕陽に染まり、烏らしき鳥が何羽か飛んでいる。
自由に過ごそうと思えば、過ごせたのかもしれない。しかし、一度気になってしまうと後回しにできない性分なのは今に始まった事ではない。
「晩御飯、どうしようかな。」
今からスーパーへ行って買い物して料理をする気力はなく、同居人に連絡を取ろうと携帯を取り出す。
すると、今から約10分前に永海の方から連絡が来ていた。
彼らしい文面を目で追う内に、無意識に表情が綻ぶ。
天定はどこにも寄らずに、真っ直ぐと帰宅した。
「永海ー、ただいまー。」
家に入るとすぐに、プライベートの顔になる。
靴を脱いでいると、鼻腔をくすぐる香りにお腹の音が鳴った。
その足で茶の間へ向かうと、永海が部屋から出てきた。
「おっかえりー!見ろ!俺の力作だぜー!?」
天定がやって来たと気付いた永海は、満遍の笑みで迎えた。
一緒に部屋へ入った天定は、とても驚いた。
カレーに、カツが乗っているサラダに、なんと味噌汁まで並べてあるではないか。
「全部永海が?」
「へっへへー!今日バイト先のおばちゃんからカツを貰ったんだー!」
だからと言って野菜を添えて卓上に並べてくれるとは。
永海も野菜の大切さをようやく実感して来てくれて、天定はとても嬉しく思う。
特にカレーは自信作だと言うので、よそってもらった皿を手渡しで受け取るとスプーンで一口食べる。
「ん、美味い。」
食べた後の反応に緊張していたらしい永海の表情が、一気に明るくなる。
「そうか?たくさん作ったからおかわり自由だぞ!」
今鍋を台所から持ってくるというので、天定は鍋敷をそっとちゃぶ台の端へ用意した。
本当に永海がここへ来てからというもの、家がとても賑やかだと感じている。
正直、こんな広い家に1人ではふとした時に余計なことを色々と考えてしまうものだ。
あの寂しい日々が嘘のように、今は毎日が楽しい。
「持って来たぞー!」
彼は大きな体をした少年のようである。
用意した鍋敷の位置を教えてあげると、永海はお礼を言いながらそこへ置いた。
「…………。」
どのくらいたくさん作ったのかと天定が鍋を覗き込むと、そこには予想を上回るほどのカレーが入っていた。
「…永海、どのくらい作ったんだ…?」
「んー?3箱くらいかな?天定最近忙しそうだったからな、週末くらいたくさん食べてたくさん休んで欲しくて、つい。」
「そ、そうか。」
自分を労ってくれて作ってくれたのなら、"作りすぎ"などと言えないではない。
寧ろ、どちらかと言うと料理がそこまで得意ではない彼がここまで品数を作ってくれたのだ。
それだけでとても嬉しいと感じる自分は、とても単純である。
「永海も食べろよ。今日のバイトはどうだった?」
そこから2人は、食卓を囲んで晩御飯を食した。
久しぶりにゆっくりとご飯を食べたような気がする。
ご飯は食べているが、いつも時間を気にしてアレコレ仕事ややるべき事をこなしている為、こうした時間は天定にとって癒しの時間であった。
「……永海。なんだこれは。」
「あ、あれ?なんなんだろうなー、あはは。」
久しぶりにおかわりまでしてお腹を満たした天定は、使った食器類を台所まで運んだのだが、そこに広がっている光景に永海のこめかみ付近に青筋が浮かぶ。
使用後とみられる状態で出しっぱなしの包丁やまな板、まな板の上や近くにある生ゴミ、カレーが飛び散ったのだろうかコンロ周りも汚れているし、カツが入っていたと思われるパックのゴミもそのままである。
「おい永海!生ゴミはちゃんと捨てろ!あと包丁はきちんとしまえ!汚れたらサッと拭け!」
流石、几帳面な天定である。
後ろでもごもごと「い、いやぁ~俺なりに綺麗にしたぜ?」と言い訳しながら現実逃避をしている彼に代わり、せっせせっせと皿洗いや掃除などの片付けを始めた。
ブツブツと小言を言いながらも手際良く手を動かす天定をしばらくの間後方から眺めていた永海。
あとは全部天定がやってくれると思ったのだろう、茶の間に戻って携帯のゲームを再開する辺りは実に彼らしい。
「こら永海ーーーー!!」
楽しい晩御飯の雰囲気はどこへやら。
その後、永海が天定から罰を喰らったのはここだけの話である。
いや、正しくは「今日も」である。
土曜日の今日を振り返る。
まずは午前中。
部活動の顧問代理として母校に行き、4時間ほど指導。
終わって帰宅し、午後。
最近になって初心者教室を設けたので、その指導を3時間ほど。
終わったら道場の掃除をして、庭木の手入れをした。
夕方は来月に開催される剣道の大会についての話し合いがある為、審判員の1人を務める人物の家に外出。
今、その帰り道。
天定は1人で帰路についていた。
空は夕陽に染まり、烏らしき鳥が何羽か飛んでいる。
自由に過ごそうと思えば、過ごせたのかもしれない。しかし、一度気になってしまうと後回しにできない性分なのは今に始まった事ではない。
「晩御飯、どうしようかな。」
今からスーパーへ行って買い物して料理をする気力はなく、同居人に連絡を取ろうと携帯を取り出す。
すると、今から約10分前に永海の方から連絡が来ていた。
彼らしい文面を目で追う内に、無意識に表情が綻ぶ。
天定はどこにも寄らずに、真っ直ぐと帰宅した。
「永海ー、ただいまー。」
家に入るとすぐに、プライベートの顔になる。
靴を脱いでいると、鼻腔をくすぐる香りにお腹の音が鳴った。
その足で茶の間へ向かうと、永海が部屋から出てきた。
「おっかえりー!見ろ!俺の力作だぜー!?」
天定がやって来たと気付いた永海は、満遍の笑みで迎えた。
一緒に部屋へ入った天定は、とても驚いた。
カレーに、カツが乗っているサラダに、なんと味噌汁まで並べてあるではないか。
「全部永海が?」
「へっへへー!今日バイト先のおばちゃんからカツを貰ったんだー!」
だからと言って野菜を添えて卓上に並べてくれるとは。
永海も野菜の大切さをようやく実感して来てくれて、天定はとても嬉しく思う。
特にカレーは自信作だと言うので、よそってもらった皿を手渡しで受け取るとスプーンで一口食べる。
「ん、美味い。」
食べた後の反応に緊張していたらしい永海の表情が、一気に明るくなる。
「そうか?たくさん作ったからおかわり自由だぞ!」
今鍋を台所から持ってくるというので、天定は鍋敷をそっとちゃぶ台の端へ用意した。
本当に永海がここへ来てからというもの、家がとても賑やかだと感じている。
正直、こんな広い家に1人ではふとした時に余計なことを色々と考えてしまうものだ。
あの寂しい日々が嘘のように、今は毎日が楽しい。
「持って来たぞー!」
彼は大きな体をした少年のようである。
用意した鍋敷の位置を教えてあげると、永海はお礼を言いながらそこへ置いた。
「…………。」
どのくらいたくさん作ったのかと天定が鍋を覗き込むと、そこには予想を上回るほどのカレーが入っていた。
「…永海、どのくらい作ったんだ…?」
「んー?3箱くらいかな?天定最近忙しそうだったからな、週末くらいたくさん食べてたくさん休んで欲しくて、つい。」
「そ、そうか。」
自分を労ってくれて作ってくれたのなら、"作りすぎ"などと言えないではない。
寧ろ、どちらかと言うと料理がそこまで得意ではない彼がここまで品数を作ってくれたのだ。
それだけでとても嬉しいと感じる自分は、とても単純である。
「永海も食べろよ。今日のバイトはどうだった?」
そこから2人は、食卓を囲んで晩御飯を食した。
久しぶりにゆっくりとご飯を食べたような気がする。
ご飯は食べているが、いつも時間を気にしてアレコレ仕事ややるべき事をこなしている為、こうした時間は天定にとって癒しの時間であった。
「……永海。なんだこれは。」
「あ、あれ?なんなんだろうなー、あはは。」
久しぶりにおかわりまでしてお腹を満たした天定は、使った食器類を台所まで運んだのだが、そこに広がっている光景に永海のこめかみ付近に青筋が浮かぶ。
使用後とみられる状態で出しっぱなしの包丁やまな板、まな板の上や近くにある生ゴミ、カレーが飛び散ったのだろうかコンロ周りも汚れているし、カツが入っていたと思われるパックのゴミもそのままである。
「おい永海!生ゴミはちゃんと捨てろ!あと包丁はきちんとしまえ!汚れたらサッと拭け!」
流石、几帳面な天定である。
後ろでもごもごと「い、いやぁ~俺なりに綺麗にしたぜ?」と言い訳しながら現実逃避をしている彼に代わり、せっせせっせと皿洗いや掃除などの片付けを始めた。
ブツブツと小言を言いながらも手際良く手を動かす天定をしばらくの間後方から眺めていた永海。
あとは全部天定がやってくれると思ったのだろう、茶の間に戻って携帯のゲームを再開する辺りは実に彼らしい。
「こら永海ーーーー!!」
楽しい晩御飯の雰囲気はどこへやら。
その後、永海が天定から罰を喰らったのはここだけの話である。
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