俺この 番外編 / 天定&永海

RiO

文字の大きさ
29 / 49
呪樹に囚われた従者/その夜の話

最終話

朝。

永海はぱちっと目を覚ます。
眠気は無く、視界はクリアで意識もハッキリとしている。

「…………?」

手をついて、体を起こす。
敏感さも火照りも気怠さもなく、体が軽い。
でもなんだろう、下腹部に違和感がある程度で。

「永海、入るぞ。」

声がしたと思い襖を見ると、天定が入ってきて胸が大きく跳ねて顔が真っ赤になってしまった。

「奥方殿が永海に、と作ってくれたぞ。」

確かに天定の手には、白い握り飯5個を乗せた盆がある。

「あ、ああ……。……ありがと。」
「体調はどうだ?顔がまだ赤いようだが…。」

握り飯を受け取る際に天定から質問を受けたが、永海は全身全霊で否定した。

「いや!全然っ!全然なんともねぇ!元気よ元気!ほら、この通り!!」
「そうか、なら良い。」

オーバーリアクションにも感じられるその反応に、天定は「朝から元気だな」と笑う。
天定は様子見がてら雑談でもしようかと思っていたが、医者がやって来たと言われ、医者と入れ替わりですぐに退室する。
医師は昨日の症状が綺麗に消えていることに驚いたが、「きっと毒気が全部体外へ出たのだろう」と完治を告げる。

医師が退室した後、1人になって考えた。
昨夜のアレは、きっと自分の思い過ごしでも何でもない。

俺は、天定にーーーーー……。

次々と思い出してくると、心臓がバクバクと煩くなる。
そんな彼の元に、主は再びやってきた。















思ったより長居をしてしまったことに天定は、これ以上はお店の人たちに迷惑を掛けられないと考えた。
永海の体調もすっかり良くなったことで、2人は身支度を済ませると皆に挨拶を済ませ、街を後にする。

「な、なぁ天定…。」

広い草原を歩いていると、永海が先を進む天定に声をかけた。

「お、俺……さ。お前に、その……変なこと…頼んじまった…よな?だから、その……つまり、えーーっと……。」

モヤモヤとした気持ちをどうにかしたかったのと、何より天定とこれからどのように接していけば良いのか分からなくなり、足を止めて「ごめん…」と謝る。

天定も数歩先に進んだところで足を止めると、心境から後ろを振り返ることができなかった。

「その……えぇっと………。」

なんと言えば良いのか分からずに口籠もる天定。
きっと返事に困っているのだろうと肩を落とす永海。
でも天定の言葉は、永海の不安などの負の気持ちを吹き飛ばすものだった。

「わ、私以外の者に……抱けとか…絶対に言わないでくれ。」

小さな声だったが、天定の言葉は永海にしっかりと届く。
よくよく天定を見たら、耳先まで真っ赤になっている天定が天定らしいと思ってしまい、永海は普段の様子に完全に戻った。

「あったりまえだろ!俺が天定しか頼れねぇの知ってんだろうが!」

ヤンチャな笑いで天定の背中に掌でバンッ!と勢いよく叩いた後、晴れ晴れと、しかも所々に生える木々の影伝いに瞬間移動しながらどんどん先へ進む。

「……ったく。」

天定はそんな彼を、笑いながら追いかけた。






-了-
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科 空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する 高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体 それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった 至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する 意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク” 消える教師 山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。