彩のミステリーデビュー

愛媛海

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中学生編

部活の疑惑

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独子運動公園でうちの運動部が汗を流しながら切磋琢磨してる。
「頑張れ」
「すごい又速くなったね」
「ナイスボール」
「そこまで、昼休憩にして13時開始ね」
「はい」
「近くのスーパーで飲み物買ってくるね。」
「OK」
ピーピー
突然スーパーの方から警報が鳴る。
「ま、万引きだ。待ちなさい。あいつ、足が早いな。」

店長によると、うちの中学の名前が見えたらしい。特に足が早いということで、陸上部の須原、サッカー部の星田、野球部の高山が疑われた。陸上部の須原は、短距離。昼食はいつも1人。サッカー部の星田は、体重が重く、ゴールキーパーをやっている。
「意外と足が早い。」
とチームメートが口を揃えて言う。野球部の高山は、よくスリーランを打つ。今日も絶好調のようだ。

とりあえずスーパーまでの道のり、1キロといっても土の道を歩いている途中、20cmほどの大きさの丸い跡があった。どうやら途中で落としてしまったようだ。
木の枝1つ、落ちてないな。ん?浅いし、最近できた跡だな。サッカーボールか? サッカーボールを持ちながら走ったのか……サッカー部の人か? それとも、サッカー部に偽装するためにサッカーボールと一緒に何かを万引きしたのか……
この時間だから本来の目的はお弁当のはず……

考えられることはこうだ。
須原が、1000mほど走ったため途中で落としてしまった。星田が、サッカーボールはわざと持っていって、他の部活の人の犯行にしようとしている。高山も須原と同じく、途中で落としてしまったと考えられる。

「あの、私飲み物買ってきた時にうちの中学のジャージ姿の人見たんだけど」
「サッカーボールは持ってた? 」
「持ってなかったと思う」
「その人より先に出た、後に出た? 」
「後。」
「跡はできてた? 」
「できてた。地面にしゃがんでてこっち睨んできたから逃げた」
「お前、打ちすぎ、パワー考えろよ」
「うわ、野球ボール、危ない」
「あ、ありがとう」
「野球ボールは小さいのか」
「ごめんね、こっちに投げて」
「はい」
「ありがとう」
「球って球だよな」
「何言ってんの」
「とりあえずあの3人を連れてきて」
「Ok」
「皆さん、集まりましたね。スーパーまでの道であるものを見つけたんですけど、サッカーボールくらいの大きさの円が跡になってたんです。」
「俺はサッカーボールなんて持ってってないぞ」
「サッカーボールなら陸上と野球全然関係無いじゃん」
「だから俺やってないって」
「もちろん、サッカーボールなんて持ってってないと思います。」
「ほら、須原か高山じゃないか」
「持っててませんよ、誰も」
「じゃあ、その跡ってのはなんなんだよ」
「誰かが書いたんだと思います。木の枝は落ちてなかったので、部活の道具で書いたんだと思います。それに、サッカーボールは球なので、あの大きさにはならないと思いますよ」
「確かに、20cmそのまま跡にならない」
「野球部の高山さん、あなたですよ」
「お金が無かったんだ」
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