天使の悩み

プロローグ

人知れぬ森の中………木々のざわめきに混じり男の声が聴こえる。
少女は………逃げ続けた…






「オイッ！そっち行ったぞ！さっさと捕まえろ！」
「殺せッ！あんな化け物のせいで………ッ！」
「あの野郎！俺の恋人まで！」

ごめんなさい。許して。謝るから。
なんで私を攻撃するの？なんで？みんなと違うから？私じゃないよ………信じて！右足がもう動かない。右手には銃弾が入っている。背中も切り傷がたくさんあり、イタイ。

「アッ！」
「声が聞こえたッ！あっちだ！」

足元を見ておらず、小さなくぼみに躓いてしまった。声も出てしまったせいであいつらに捕まってしまう。

「捕まえたぞ。お前にはうんざりしていたんだ。じっくり殺してやるよ？」

そして男たちは私の周りに集まり、猟銃を構え



私に打ってくる。


イタイ。イタイのはもうやだ。死にたくない死にたくないッ！助けて、誰かぁ…


なんでどうして誰も助けてくれないの？なんで？私が悪いの？

「村のみんなが死んだのは『お前のせい』なんだよ！」

お前のせい？私のせい？私のせいなの？ごめんなさい。謝るよ。だから痛くしないで………お願い。助けて、助けて、助けて、助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて









……………ねぇ、助けてよ…











『………い…よ。』

声が、聴こえる。あなたはだぁれ？助けてくれるの？


『あぁ』

嬉しい。助けてくれるんだぁ………



ありがとう………


私の意識はここで途切れた。











『あそこまでの悪意にさらされてなお清らかな魂を持っているのはすごいことだよ？それに君のことについては、我々のせいだからね。助けるよ』


誰もいない空間で神は嗤う。



【さぁ！回れ、運命よ。世界よ！
そなたたちの待ち望む主が来た。
悠久の時を過ごす万物の子らよ！主の帰りに歓喜せよ。刹那の時を超え光が来る日に。時は巡る。
夢を抱く純粋な少女を救って見せよ。】