天使の悩み

桜餅

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一章 希望と仲間

天使の降臨

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目が覚めたら森の中にいた。
なぜ?私は男たちに殺されたのでは?周りを確認するために、寝ていた体を起こす。

…………………?
背中に違和感を感じる。
自分で確認しようとするが背中であるがためにできない。

周囲を見渡しても木々があるだけで、あとはリスなどの小動物がいる。

「村を探そう」

まずは人を探すところから始めなければいけないだろう。そこで私は自分の体に傷がないことに気づいた。あんなに痛かったのに痛みも違和感もない。
まあ、そんなことよりあの助けてくれた人はなんだったのだろうか?救われない自分が描いた妄想?

そう考えながら、私は歩みを進めた………








***



あの日からもう一週間が経ち、この世界にもだいぶ馴染めた。どうやらこの世界は私がいたチキュウではないらしい。

森をさまよい村を見つけた私は、冒険者になるために王都に来ていた。チキュウでもにんげんに狙われていたから腕っぷしには自信がある。この世界にも魔法はあったのでそれだけでも生きていけるだろう。あの世界の者たちは使えなかったがな。

あと、気づいたことは私の背中には羽があった。白い純白の一対の翼が。村人に言われた時は(また、殺される。)っと思ったが杞憂に終わった。

「翼人族の子かい?大変だったねぇ」

で終わった。この世界には様々な種類の種族がいるようだった。

獣人族はその名の通り身体能力や体の一部分に動物の特長が現れた人々のことを言う。魔力が少なく、魔法使いが少ない。そのため身体能力がかなり高く強者が多い。………一度は戦ってみたいものだ。

他にも、エルフ族、魔人族、ドワーフ族、妖精族、精霊族、人族、あとは圧倒的力を持つ、天使族、悪魔族、神族くらいだ。天使や神族は天界に、魔人族や悪魔族は魔界に、そのほかの種族は皆下界に住んでいる。

私がいる場所も下界だ。



王都に入るために、入国申請を出すために並んでいたのだが列の前の方が騒がしい。

「キャーーーッ!と、盗賊!」
「誰かッ!冒険者を呼んでくれ!」

どうやら盗賊が出たようだ。
………行ってみるか。



前の方に行くと12人くらいの人間が何人もの子供を人質に金品を巻き上げている。それだけはやめてくれと、泣き続ける商人。子供を人質に取られ絶望する女性。他にもたくさんの人々が命乞いをしている。

それを嘲笑うようにして盗賊たちは、破壊し、盗み、踏みにじり、犯す。










プツンッ!








私の中で何かが切れた。






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