天使の悩み

一章 希望と仲間

天使の敵

「誰だ！俺様の活躍を横取りした女は！」

幸せな時間を遮る不愉快な声が聞こえて来た。外見は………養豚場の豚の方がマシな体格をしている。と言えるような外見の持ち主だった。そいつは人に囲まれている私を見て横取りしたのは私だと判断したらしい。

「おい！そこの女！」

豚に話しかけられても全然嬉しくもない、さっきの幸せを返して欲しいくらいだ。
でも一応対応はしておいた方がよさそうだ。

「はい、なんでしょうか？」

敬語ぐらいは使ってやろう。豚を敬う気にはなれんがな。
そんな私の気も知らないで豚は喚く。

「いいか！私はリョニフルノ男爵家長男のピッグポットだ！敬え！私は貴族だぞ！せっかく救ってやろうとしたのに！俺様の魔法でなッ！」

なんかこいつと話しているとイライラしてくるな。

「養豚場で豚と戯れてろよ」ボソッ

「な、なんだと！？俺様をなんだと思っている！？貴族だぞ！俺様に逆らってタダで済むと思っているのか！？」

やばい、ついつい本音がこぼれてしまった。もういいや、ここは開き直ってやろう！

「豚さんごときに逆らってもなんの問題もないだろう？」

プッ！クスクスクス！

周りの人たちが笑い始めてしまった。いいのかな？

「それに、男爵の息子だろう？男爵ではない。ただの豚だ。それ以上うるさいのならひき肉にしてしまうぞ？」
「ヒ、ヒィィィ！！」

私の目が本気であるとわかったのだろう。豚は怯えて腰を抜かしている。

ブッッッツ！！！！
アッハハハハハハハハハハハ！！！！

「最高だよ！あんた！面白すぎる！」
「スカッとしたよ！度胸あるねぇ！」
「獣人ってのはみんなこうなのかい？」


「「「「「それにッ！豚が最高だったよ！」」」」」


王都にはまだ入っておらず、中から出て来たため貴族は本当なのだろう。
周りの商人や、旅行客、冒険者などもみんなが笑っている。
だがそこにまたしても雑音が入った。

「貴様らァ！？貴族に逆らっていいと思っているのか！？ここにいるやつらは全員奴隷にしてやる！覚悟しておけ！」

私は全然大丈夫なのだがほかの人はそうではないらしく顔を青くさせている。ふむ、力がないものたちにとっては貴族というだけで脅威になるのか。
私は豚の触りたくもない額に人差し指を置いて囁く。


「うるさいぞ。豚。いいか？お前がこの場にいる人に危害を加えたら私がお前を殺し行こう。私はお前に魔法をかけた。地の果てまで追いかけて






お前を殺してやるよ…！





わかったか？」


問いかけると豚はバカみたいに頭を上下に振り逃げて行った。




そして周りの人は盛大な歓声あげた。