悪役令嬢は愛に戸惑う

ひなき

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そして今日は王宮で開かれるお茶会の日
私に取っては運命の分かれ道であるフェルディア王子との出会いの日でもある。


ほら、よくあるじゃない。
同年代が集められる王宮でのお茶会は王子様のお見合い兼側近候補選びって。
定番よね。


私はラベンダー色の可愛いドレスに髪はハーフツインテイルにしてもらっている。
「お嬢様、とっても可愛いです!お嬢様の瞳と同じドレスにハーフツイン、私は天使に出会いました」
息を荒くして興奮しているリリー。
「リリー落ち着いて」
「目に焼き付けておかないと!!私のお嬢様アルバムに追加されていきます」
興奮が治らないリリーに、
「リリー・・・ありがとう」
と上目遣いとはにかみ笑顔をあげます。
リリーはさらに悶絶しながら膝から崩れ落ちた。
(リリーの私好きは重症かもね)
それを横目に自室を出で、玄関で待っているお母様に元へ向かった。


「お母様、お待たせしました。」
「私の可愛いルルティア、王宮でお父様も待ってくれています。さあ、参りましょう」



お母様と馬車に乗り込み、王宮へと向かう。


私の運命の別れ道、どうなることやら。
ため息が止まらない・・・


王宮に着くとお父様が迎えてくれた。
まず、お母様をエスコートしてから私に手を差し出した。
「お姫様、お手をどうぞ」
私はお父様の手を取り、馬車を降りる。


王宮を見上げて、顔を引き攣らせる。
これから起こることに不安がないとは言えないが、来てしまったのだから気を引き締めてこのお茶会を乗り越えなければならない。
私は両手を握りしめて気合を入れ直した。
(でも、どうかフェルディア王子と婚約はしたくない!婚約回避!絶対回避!)



お茶会には私と同年代とはいえ、上は15歳から下は6歳と様々だ。


乙女ゲームの設定だと、同い年の王子フェルディア・クロバルトとお茶会で出会い、ルルティアに希望で婚約者になるのだ。
学園に入るまではフェルディアと仲良くしていたのに入学後、ヒロインに会ってからはだんだんと疎遠になり、フェルディアはヒロインを選んで、ルルティアは婚約破棄される。
ヒロインのルート次第で私の未来が決まる。
前にも話したが、ハッピーエンドは塔に幽閉、 ノーマルエンドは破棄されずそのまま結婚、バットエンドは殺害されてフェルディアもヒロインも死ぬ。
バットエンドだけは絶対に避けたい。
そのため、このお茶会では目立たぬようにしなくては。


お父様とお母様と一緒に庭園に着くと沢山の人に見られた。


(うわ、一気に緊張してきた・・・。手汗やばっ・・・)


お父様とは庭園の入り口で分かれてから、お母様と案内されたテーブルに腰をかけて、王宮のメイドが入れてくれえた紅茶を一口飲み、一息つく。


(よし、ここで、大人しくしていよう)


しばらく、紅茶とお菓子を堪能していると、ある一角が騒ぎ出す。
王妃様と今回の主役であるフェルディア王子が来たらしい。


ぼーっと見ているとお母様に施される。
「ルルティア、王妃様に挨拶にいきますよ」
「え?・・・は、はい!」


主催者への挨拶は上位貴族からが基本。
そのため、公爵家でもトップのグランフォード公爵家が挨拶しないと他の貴族が挨拶できないらしい。
私は気にしないのに。
現代人にはない風習に惑いはあるものの、この世界に来てしまったらかには従わなくてはならない。


王妃様の前にお母様と一緒に並びカーテシーをする。


「本日はお招き頂きありがとうございます。こちら、我が娘のルルティアでございます」
お母様に言葉に続き、
「お初にお目にかかります。グランフォード公爵家が長女ルルティア・グランフォードにございます」
もちろん、カーテシーから顔を上げる時に笑顔は忘れない。


王妃様は微笑んだ後、
「ルルティアちゃん」
と優しく呼んでくれた。
お母様を見ると微笑み、頷いた。
なんとかカーテシーを失敗しなかったとこに安堵する。


「ちょっと、シャル、なにこの可愛い子!!私の娘にしたいくらいよ」
私はギョッとして王妃様を見る。
「アリー、それはダメよ。私の可愛いルルティアは渡さないわよ」
「いいじゃない!」
王妃様は頬を膨らませ、拗ねる仕草をした。
「フェルディアのお嫁さんになってもらおうと思ったのに」
「まだダメよ。番じゃない可能性だってあるんだから」
「そうよね。でも、いつでも私のお茶会は来てね」


私はお母様の「番」と言う言葉を聞いて顔を青くした。
(番・・・あのゲームの裏設定が本当になったなんて)


「母上、グランフォード嬢の顔色が悪いようです」
「あら、控え室に案内するわ。アリーは付き添ってあげて」
「ありがとうございます。ルルティア、大丈夫?」


私はゆっくりと深呼吸をして、
「ありがとうございます。少し休憩をさせてもらいます」
「ルルティア、本当に大丈夫?無理をしてはいけないわ」
「大丈夫ですわ、お母様。少し立ちくらみがしただけです」


私は、お母様と王妃様が用意いてくれ控え室に行くことになった。


控え室に着くと、ソファに深く座り息を吐く。
「無理そうなら、お父様にも話して帰りましょうね」
メイドが用意した紅茶を飲み、深く吐く。
「はい、ありがとうございます。少し、落ち着きました」


しばらく控え室に休んだ後に改めて庭園に行く。
お母様にすごく心配されたけど、私は今日のお茶会に覚悟を持って参加したのだ。
ここで逃げても意味がない。
私は自分の運命をここで変えるのだ!
私は再度気合を入れ直した。


庭園に戻ると、参加者の皆が挨拶し終わったのか歓談をしていた。
もちろん王子様の周りには自分をアピールしたい人達が集まっている。


王妃様の共へいき、休ませてもらった事のお礼を言った。
お母様はそのまま王妃様とお茶をするらしく、王妃様の隣の席にちゃっかり座っている。


王子様にもお礼をと思い、王子様を探すと人だかりが出来ていて行きにくい。
そう思っていると王子様と目が合った。
「あっ」と思ったら、人垣をかき分けて私の元に来てくれたのだ。
「グランフォード嬢、気分は大丈夫かい?」
「はい。王子殿下のおかげで良くなりました。ありがとうございます。」
「そういえば、僕の紹介がまだだったね。僕はフェルディア・クロバルト、第一王子だ」
「改めまして、ルルティア・グランフォードでございます。よろしくお願い致します」
「あぁ、こちらこそよろしく」
私は周りの視線が気になって、
「皆様が王子様と話したがっておりますので、私は失礼致します」
カーテシーをして、王子様に背を向けて歩こうとしたら、
「待って。」
と、手を取られ振り返ると。少し、顔を赤くしたフェルディア様が、
「あー、えっと、少し、話さないか」
「はい」
フェルディア王子から握られていた手に少し力が入る。
「グランフォード嬢のことを名前で呼びたい。それと僕のことはフェルディアって呼んでくれないか」
「かまいませんが、よろしいのですか?」
許可を出した瞬間、
「ありがとう、ルルティア嬢」
フェルディア王子は花のように綻ぶような笑顔を私に向けた。
私はその笑顔にノックアウトしてしまった。おかげで顔は真っ赤だ。
それを見られたくなくて俯いた。
「ルルティア嬢、僕も君に名前で呼ばれたい」
フェルディア王子との距離が近くなったと思ったら、耳元で囁くように言われた。
そうしたら言わない訳にはいかない。
「・・・・フェルディア様」
声は小さいけど、フェルディア様に届いたらしい。
「ルルティア」
耳元で囁くように言われては、
(足の力が抜けてしまう・・踏ん張れ、私。)
なんとか踏ん張ることが出来たが、顔は上げられずのままだ。


(大変です!!私の心は大嵐です!!
フェルディア様という台風が荒らしています!荒らしまくりす!!
こんなの反則!なんの!乙女ゲームのメインヒーローだからなの!
それにしても、10歳でこの破壊力。凄まじい。
この先、もっとヤバくなるってことだよね。
私、この先このままでやっていけるのかな。心臓がもたないよ・・・。)


この後のお茶会は終始上の空で、しかもフェルディア様と一緒でした。
他の子との交流はよかったのでしょうか?
上の空でも、周りは見えていましたよ。
悔しそうに、羨ましそうな目で見られていたのでね。
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