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【七ノ章】日輪が示す道の先に
第一九六話 表裏の世《後編》
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混迷を極める日輪の国。
王家への迷信が誘う不安はコクウ家領地のみならず、他三家の領民にも現れている。最高裁という形を取ってしまったが故の代償は、非常に大きいのだ。
その中でも混乱が弱いのは意外というか当然というべきか、シノノメ家領地だ。
わずか数日のみとはいえ克至の動乱前まで、クロトは冒険者ギルドの依頼のみならず近隣住民の困りごとを解決して回っていた。
その行動に助けられた面々がいる以上、王家への怒りも湧きそうなものだが……彼の人柄を知った上でオキナからお触れがあった為に、他と比べて静かだ。
──王家への沙汰はシノノメ家が責任を持って追及する。
怒りも悲しみもよく分かる。しかし、ここは抑えて任せてほしい、と。
普段から適切な統治に尽くしていたオキナだからこそ、聞き入れられた要求。
それを理解した領民たちは日頃と変わらぬ様子で過ごし、平穏を享受していた。……さも知らんフリをしてシノノメ家屋敷にクロトへの見舞い品を届けたりしながら。
中には届け人に混じって王家の者が潜み、屋敷の状態、ひいてはクロトの容態を確認せんと策を巡らせていた。だが、シノノメ家を支援する姿勢を取った影の者が牽制し引き上げさせている。
今や屋敷は日輪の国の重要人物が身を寄せる天守。要人を危険に晒さない為に弄するのはおかしな話ではない。
何より影の者もまた、此度の事態に思うところがあった。
影の者の隠形を見破るほどの眼を持ち、それでいて裏の人間たる者への敬意を抱き、身勝手な監視について怒りこそせず感謝を忘れない。
クロトにとっては当たり前であっても、影の者にとっては新鮮であった。
護国として当然の行いに対して謝意を示すなど、王族にもいない。そういうものであり、身分であり、役目であるが故に。
そんな感情がある中で、さすがに湧いてしまった王家への不信を持って警護に当たりたいとは考えられず。
時と間を置いて、再びの指示があるまでシノノメ家につく。そういう話に落ち着いたのだ。
現在も、クロトが眠る病室には三人の影の者がついており、容態の変化を細かに書類へまとめていた。
何が起きてもいいように、不測の事態に無辜の命が奪われないように。
「……どうする気ですか?」
不可視の看病に気づかないまま、室内にいた女性が口を開く。シルフィだ。
久しく感じていなかった魔力切れの症状から回復した彼女は、眼下で寝息を立てるクロトから視線を逸らさず。
同じように隣に座るフレンへ声を掛ける。
「どうするって?」
「今回の一件、日輪の国王家は大きな間違いを犯した。ただ個人を利用し、政略に巻き込んだことは既に周知されています。相応の償いが無ければ周囲は納得しませんよ」
「かーっ! まったく、四季家当主とオキナさんにも同じこと言われたわよ!」
フレンは整えられた髪をかき乱し、静かに吐息をこぼす。
「私は一応、クロト君の後見人的な立場であっても、今回の件に関しては部外者に違いないのよ。だから賠償を求めるにも、そこに彼の意見が無くちゃ話が進まない。どうしようもないのよ」
「……彼は、自分が受けた謂れの無い処罰に何を要求すると思いますか?」
「さあね。案外、何もいらないって突っぱねるかもよ? 善意に悪意で返されたのだから、これ以上何もしてほしくないってね」
「それは、そうかもしれませんが……失ったモノが多過ぎます」
シルフィは目覚めてからクロトの状態を見聞きした。
当然、視力が戻らない可能性があることも。自身の力不足が招いてしまったと、自罰的な感情を抱いたが、遅くとも早くとも結果は変わらない。
ただ罪の意識に苛まれつつも、贖罪として看病に当たる他なかった。
「どういう選択をするにしても、彼ならきっと神器について協議するんじゃない? “始源ノ円輪”……キノスだっけ? 神器に意思があって、助けて助けられての関係性がある訳だし」
「代価として求める、と?」
「お金だとか謝罪で済ますとも思えないからねぇ。国家に直接打撃を与えるような手を取る気がするよ」
どこに目があるかも分からない現状、魔剣についての情報は伏せている。
クロトに許可なく魔剣の事情を打ち明けるのは性急であり、信じては貰えないという判断からだった。
「少なくとも、私はクロト君の賠償に付随して色々と攻めさせてもらおうかなって。こんな状況で仕事の話なんて出来やしないし、詰める為に準備も必要だからね」
「どちらにせよ、クロトさんが目を覚まさない以上手出しは不可能、ですか」
「歯痒いけどね。今は忍ぶ時よ」
両者ともに、腹に据えた感情を押し殺したまま。
少しばかり回復を促せないかと疑似生命魔法に神秘魔法をクロトに施す。
肉体に負担が無いように、医者の裁量を乱さない範囲で。
罪滅ぼしじみた行為は静かに行われ、室内に魔力の流れが生じた。
◆◇◆◇◆
──なんなんだ、コイツはぁ……!
火花が散り、刃先が肌を掠める。
返すように金棒を振るうも防がれ、反撃の隙になった。
猛然と攻め立ててくるクロトに対して、ギュウキは歯噛みする。
確かに弱者だと直感を得ていた。纏う雰囲気は強者の息が詰まるようなものではなく、どこにでもいる凡人と変わらない。
威圧しても、脅しても、あるがままに受け入れて流される。それが当然と言わんばかりに。
事実、現人神の領域内でも平然と自在に動けているのも、そういった自我が確立しているからだ。そこだけは脳筋なギュウキにも理解でき、心中で素直に賞賛していた。
しかし、だからこそ気に入らなかった。
こんな奴が現人神に認められた……それだけで? まだ何かあるはずだ、と。加えてクロトの存在自体に、純粋に興味が湧いたのだ。
ギュウキなりに真意を、意図を探る為に煽る。それが間違いだと気づけずに。
彼は選択を誤った。クロトは事を荒立てるつもりなんて無かったのに。
結果、奴は弾けた。いや、本性を現したと言ってもいい。
クロトは今日に至るまで様々な境遇と理不尽に向き合い、立ち向かい、打倒し乗り越えてきた。その過程で呑み込んできた恨み、つらみ、辛酸など数知れず。
故に、表へ露出していない感情が汚泥のように溜まり続けていた。
奇しくも、ありとあらゆる負債が精神体──つまりは魂を練磨することに。そして、肉体という殻が無い以上、煽りや感情が直接的に影響した。
つまりは怒り。沸々と湧き上がるマグマのような激情。
それは現実と精神といえど則しているはずの身体能力すら乖離させ、暴威の力を振るわせる。そこに生まれ持った天賦も天稟も関係ない。
もはや誰にも止められないのだ。ゴズにも、ギュウキにも、クロト自身にも。
「オラァ!!」
「がはっ!?」
徐々に魔導剣、シラサイへ対応できたかと思えば拳、蹴りが飛んでくる。間髪入れずに差し込まれた打撃は肉を打ち、骨を折り、押し潰す。
アヤカシ族の鬼が持つ頑強な肉体を容易く破壊する攻撃。胸を打たれたギュウキは再び転がされる。
直感のままに、野性的に戦うギュウキを確実に追い詰める、現在進行形で更新されていく理詰め戦法。
クロトは未だに手札を隠した状態で、圧倒的に優勢な立場にあった。
「こんの、野郎がァああああッ!」
度重なる負傷と回復によってほぼ半狂乱のままに。金棒を剣山の如く創造し、掴み、放り、面制圧に打って出る。
軽く見える行いであっても、鉄塊に変わりなし。
もはやゴズの安否も頭の片隅から投げ捨て、戦いの場である社殿を壊していく。
一つでも当たれば大怪我は免れない。いかに斬鉄を習得したクロトといえど限度はある。
ここでシラサイの心髄を使えば、事態を切り開くのは容易だ。しかし、彼は言った──てめぇで色々と試してやるよ、と。
「馬鹿の一つ覚えだな。冷めるようなマネしやがって」
発言の直後、背後に携えていた魔剣が動く。
魔剣という存在に関してゴズとギュウキは現人神によって伝えられてはいた。超常的な能力を所有した、意思を持つ不壊の武器。故に混乱は無かった。
だが、戦闘が始まってから一切、何もさせていなかった魔剣が動いた。自発的か、クロトの指示によってかは定かでないが。
不審に思う暇もなく、ゆらりと揺れ動く魔剣が四本。
大小多様な刀剣は、その姿を一瞬だけブレさせたかと思えば──飛来していく金棒の群が切り裂かれた。
魔剣による自動防御、攻撃。その判断や順序はレオ達、そしてクロトに委ねられるが、攻勢の手札として考えていた手段の一つだった。
自在に動いた魔剣は鉄塊の雨を凌ぎ、クロトへ道を作る。開かれた先に狼狽するギュウキがいた。
息を呑む暇もなく、クロトは間合いを食い散らかす。
魔導剣の推進力を得て火の残影を置き去りにして、肉薄したシラサイが逆袈裟にギュウキを断ち切った。
夥しい出血と血飛沫。泣き別れかけた胴の修復を待たずに、クロトはたたらを踏んだギュウキを蹴り飛ばした。
何度もやられ、見てきた光景。
いいようにやられているだけの現状。
とても看過できるものではない戦況に、ギュウキの苛立ちが高まっていく。
「くそが、くそがっ、くそがッ! いい気になりやがってぇ……!」
「吼えるだけしか出来ないのか? 耳が腐るからやめてくれよ」
どちらかが折れるまで終わらない闘争。もはや間に入ることも能わず。
涙目で経緯を見ているしか出来ないゴズを傍らに、戦闘は増々熱を上げていく。
王家への迷信が誘う不安はコクウ家領地のみならず、他三家の領民にも現れている。最高裁という形を取ってしまったが故の代償は、非常に大きいのだ。
その中でも混乱が弱いのは意外というか当然というべきか、シノノメ家領地だ。
わずか数日のみとはいえ克至の動乱前まで、クロトは冒険者ギルドの依頼のみならず近隣住民の困りごとを解決して回っていた。
その行動に助けられた面々がいる以上、王家への怒りも湧きそうなものだが……彼の人柄を知った上でオキナからお触れがあった為に、他と比べて静かだ。
──王家への沙汰はシノノメ家が責任を持って追及する。
怒りも悲しみもよく分かる。しかし、ここは抑えて任せてほしい、と。
普段から適切な統治に尽くしていたオキナだからこそ、聞き入れられた要求。
それを理解した領民たちは日頃と変わらぬ様子で過ごし、平穏を享受していた。……さも知らんフリをしてシノノメ家屋敷にクロトへの見舞い品を届けたりしながら。
中には届け人に混じって王家の者が潜み、屋敷の状態、ひいてはクロトの容態を確認せんと策を巡らせていた。だが、シノノメ家を支援する姿勢を取った影の者が牽制し引き上げさせている。
今や屋敷は日輪の国の重要人物が身を寄せる天守。要人を危険に晒さない為に弄するのはおかしな話ではない。
何より影の者もまた、此度の事態に思うところがあった。
影の者の隠形を見破るほどの眼を持ち、それでいて裏の人間たる者への敬意を抱き、身勝手な監視について怒りこそせず感謝を忘れない。
クロトにとっては当たり前であっても、影の者にとっては新鮮であった。
護国として当然の行いに対して謝意を示すなど、王族にもいない。そういうものであり、身分であり、役目であるが故に。
そんな感情がある中で、さすがに湧いてしまった王家への不信を持って警護に当たりたいとは考えられず。
時と間を置いて、再びの指示があるまでシノノメ家につく。そういう話に落ち着いたのだ。
現在も、クロトが眠る病室には三人の影の者がついており、容態の変化を細かに書類へまとめていた。
何が起きてもいいように、不測の事態に無辜の命が奪われないように。
「……どうする気ですか?」
不可視の看病に気づかないまま、室内にいた女性が口を開く。シルフィだ。
久しく感じていなかった魔力切れの症状から回復した彼女は、眼下で寝息を立てるクロトから視線を逸らさず。
同じように隣に座るフレンへ声を掛ける。
「どうするって?」
「今回の一件、日輪の国王家は大きな間違いを犯した。ただ個人を利用し、政略に巻き込んだことは既に周知されています。相応の償いが無ければ周囲は納得しませんよ」
「かーっ! まったく、四季家当主とオキナさんにも同じこと言われたわよ!」
フレンは整えられた髪をかき乱し、静かに吐息をこぼす。
「私は一応、クロト君の後見人的な立場であっても、今回の件に関しては部外者に違いないのよ。だから賠償を求めるにも、そこに彼の意見が無くちゃ話が進まない。どうしようもないのよ」
「……彼は、自分が受けた謂れの無い処罰に何を要求すると思いますか?」
「さあね。案外、何もいらないって突っぱねるかもよ? 善意に悪意で返されたのだから、これ以上何もしてほしくないってね」
「それは、そうかもしれませんが……失ったモノが多過ぎます」
シルフィは目覚めてからクロトの状態を見聞きした。
当然、視力が戻らない可能性があることも。自身の力不足が招いてしまったと、自罰的な感情を抱いたが、遅くとも早くとも結果は変わらない。
ただ罪の意識に苛まれつつも、贖罪として看病に当たる他なかった。
「どういう選択をするにしても、彼ならきっと神器について協議するんじゃない? “始源ノ円輪”……キノスだっけ? 神器に意思があって、助けて助けられての関係性がある訳だし」
「代価として求める、と?」
「お金だとか謝罪で済ますとも思えないからねぇ。国家に直接打撃を与えるような手を取る気がするよ」
どこに目があるかも分からない現状、魔剣についての情報は伏せている。
クロトに許可なく魔剣の事情を打ち明けるのは性急であり、信じては貰えないという判断からだった。
「少なくとも、私はクロト君の賠償に付随して色々と攻めさせてもらおうかなって。こんな状況で仕事の話なんて出来やしないし、詰める為に準備も必要だからね」
「どちらにせよ、クロトさんが目を覚まさない以上手出しは不可能、ですか」
「歯痒いけどね。今は忍ぶ時よ」
両者ともに、腹に据えた感情を押し殺したまま。
少しばかり回復を促せないかと疑似生命魔法に神秘魔法をクロトに施す。
肉体に負担が無いように、医者の裁量を乱さない範囲で。
罪滅ぼしじみた行為は静かに行われ、室内に魔力の流れが生じた。
◆◇◆◇◆
──なんなんだ、コイツはぁ……!
火花が散り、刃先が肌を掠める。
返すように金棒を振るうも防がれ、反撃の隙になった。
猛然と攻め立ててくるクロトに対して、ギュウキは歯噛みする。
確かに弱者だと直感を得ていた。纏う雰囲気は強者の息が詰まるようなものではなく、どこにでもいる凡人と変わらない。
威圧しても、脅しても、あるがままに受け入れて流される。それが当然と言わんばかりに。
事実、現人神の領域内でも平然と自在に動けているのも、そういった自我が確立しているからだ。そこだけは脳筋なギュウキにも理解でき、心中で素直に賞賛していた。
しかし、だからこそ気に入らなかった。
こんな奴が現人神に認められた……それだけで? まだ何かあるはずだ、と。加えてクロトの存在自体に、純粋に興味が湧いたのだ。
ギュウキなりに真意を、意図を探る為に煽る。それが間違いだと気づけずに。
彼は選択を誤った。クロトは事を荒立てるつもりなんて無かったのに。
結果、奴は弾けた。いや、本性を現したと言ってもいい。
クロトは今日に至るまで様々な境遇と理不尽に向き合い、立ち向かい、打倒し乗り越えてきた。その過程で呑み込んできた恨み、つらみ、辛酸など数知れず。
故に、表へ露出していない感情が汚泥のように溜まり続けていた。
奇しくも、ありとあらゆる負債が精神体──つまりは魂を練磨することに。そして、肉体という殻が無い以上、煽りや感情が直接的に影響した。
つまりは怒り。沸々と湧き上がるマグマのような激情。
それは現実と精神といえど則しているはずの身体能力すら乖離させ、暴威の力を振るわせる。そこに生まれ持った天賦も天稟も関係ない。
もはや誰にも止められないのだ。ゴズにも、ギュウキにも、クロト自身にも。
「オラァ!!」
「がはっ!?」
徐々に魔導剣、シラサイへ対応できたかと思えば拳、蹴りが飛んでくる。間髪入れずに差し込まれた打撃は肉を打ち、骨を折り、押し潰す。
アヤカシ族の鬼が持つ頑強な肉体を容易く破壊する攻撃。胸を打たれたギュウキは再び転がされる。
直感のままに、野性的に戦うギュウキを確実に追い詰める、現在進行形で更新されていく理詰め戦法。
クロトは未だに手札を隠した状態で、圧倒的に優勢な立場にあった。
「こんの、野郎がァああああッ!」
度重なる負傷と回復によってほぼ半狂乱のままに。金棒を剣山の如く創造し、掴み、放り、面制圧に打って出る。
軽く見える行いであっても、鉄塊に変わりなし。
もはやゴズの安否も頭の片隅から投げ捨て、戦いの場である社殿を壊していく。
一つでも当たれば大怪我は免れない。いかに斬鉄を習得したクロトといえど限度はある。
ここでシラサイの心髄を使えば、事態を切り開くのは容易だ。しかし、彼は言った──てめぇで色々と試してやるよ、と。
「馬鹿の一つ覚えだな。冷めるようなマネしやがって」
発言の直後、背後に携えていた魔剣が動く。
魔剣という存在に関してゴズとギュウキは現人神によって伝えられてはいた。超常的な能力を所有した、意思を持つ不壊の武器。故に混乱は無かった。
だが、戦闘が始まってから一切、何もさせていなかった魔剣が動いた。自発的か、クロトの指示によってかは定かでないが。
不審に思う暇もなく、ゆらりと揺れ動く魔剣が四本。
大小多様な刀剣は、その姿を一瞬だけブレさせたかと思えば──飛来していく金棒の群が切り裂かれた。
魔剣による自動防御、攻撃。その判断や順序はレオ達、そしてクロトに委ねられるが、攻勢の手札として考えていた手段の一つだった。
自在に動いた魔剣は鉄塊の雨を凌ぎ、クロトへ道を作る。開かれた先に狼狽するギュウキがいた。
息を呑む暇もなく、クロトは間合いを食い散らかす。
魔導剣の推進力を得て火の残影を置き去りにして、肉薄したシラサイが逆袈裟にギュウキを断ち切った。
夥しい出血と血飛沫。泣き別れかけた胴の修復を待たずに、クロトはたたらを踏んだギュウキを蹴り飛ばした。
何度もやられ、見てきた光景。
いいようにやられているだけの現状。
とても看過できるものではない戦況に、ギュウキの苛立ちが高まっていく。
「くそが、くそがっ、くそがッ! いい気になりやがってぇ……!」
「吼えるだけしか出来ないのか? 耳が腐るからやめてくれよ」
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