【本編完結】 ふたりを結ぶ古書店の魔法

Shizukuru

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62.過保護①

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 しばらくここに滞在をして、疲労を回復に努めた。動ける魔法騎士達が浄化の範囲の確認をしている。それが終われば、全員で王都へ戻るらしい。

 ずっと甘やかされて、ベッドとソファを行き来する位だ。ジェイドの過保護が始まっている。

「外に出たい」
「駄目です」

 仕事モードのジェイドは、何か書類に目を通している。何度か、エドワード殿下やミカエル様が来たみたいだけど。何故か眠っている時に来るみたいで、会えずじまいだ。同じ建物の中なのに、こんなに会えないものだろうか? 

「けち」
 思わず、呟いた。
 ジェイドが持っていた書類を仕訳箱へ置くと、席を立ちこちらへと向かってきた。

「──暇なの? 兄さん」
 兄さん呼びの時は、逆らえない雰囲気になるのだ。
 自分の弱い所をジェイドはよく知っている。

 結が大好き過ぎるのだ。
 ジェイドにとっては、記憶の欠片で懐かしい……その程度かも知れない。
 でも俺にとっては、俺の全てで、存在自体が尊い。幼い時からの……愛しい存在なのだ。
 推し?って言ったらいいのかな? つまり、逆らえない。

「あ、うん。そうみたい」
 近い。顔面偏差値が高過ぎる。

「ここから、王都まで何も無く戻れれば良いけど、何が起きるか分からないんだよ? 体力も魔力も完璧に近いくらいにして欲しい」

「──浄化出来てない所があった? ほらでも、聖女様頑張ってるんだよね? 」

 噂では、ミカエル様達と浄化の確認をしているみたいだ。 聖女として自覚したのかな? いい事だと思うのに、ジェイドの表情は浮かない。

 聖女様が、この世界を救う人なら……本の物語通りに進む事になる。つまり、相手を選ぶのだ。
 ハーレムには、ならないと思うけど。ジェイドを指名するだろうか?

「本当に、先が分からない。古書店のオーナーに会ってみたい」

「誰に会いたいって?」
 だから……近い。近いって。焦る俺の唇スレスレの所でピタリとジェイドの動きが止まった。

 ホッとするような、もどかしいそんな距離だ。少し顔を逸らそうとした時、ジェイドの手が後頭部に触れてグッと引き寄せられた。

 唇同士がくっついてしまえば、もう逃れられない。
 キュッと目をつぶれば……一旦唇が離れた。

「本当に可愛い」
 (なっ……可愛いとか、言うな)

 抗議しようと僅かに口を開けば、主導権はあっという間にジェイドに移る。

 昼間っから、何やってんの? と思うけど。魔力を乗せられたキスのせいなのか? ジェイドとの相性がいいのか? 気持ちが良すぎて、溶けてしまいそうになる。

 クチュクチュと、いやらしい音が聞こえて来るともっと触れて欲しくなる。ジェイドの背中に手を回しシャツを掴んだ時、ノック音とエドワード殿下が来た事が報告された。


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