【本編完結】イケメンの皆様、主人公はあちらですよ。

第1章 思い出した！

閑話☆スピカ

孤児院から、いきなり父親だというグレンジャー子爵邸に連れて来られた。

母親はすでに病気で亡くなっていて覚えていない。

父親から送られていたと言うペンダントを身につけていた。
そのペンダントトップには、表に名前の“スピカ” 裏に“子爵家の家紋”が刻まれていた。


なん、なんだ。
なんて、わかりやすい──


あっ、俺。
スピカ・グレンジャーって主人公じゃないか？

BL小説の。


待って……俺あの子のクジ取って逃げたんだ。

あの子がモブが良いって言ったから───大丈夫、だよね？



俺の前世こそ。
モブのモブ。
☆*:.KING of MOB ..:*☆

そう、モブの王様だ。

勉強も普通。
体育も普通。足も速くも遅くも無い。顔も普通だ。可もなく不可もないと思いたい……たぶん。
全部普通──平凡だ。

そんな俺は、めちゃくちゃ運がない。

ジャンケンでの負けは9割強。
雑用を引き受けるのが役目のようだ。

小学生の頃の帰り道、ランドセル持ちジャンケンで何度負けた事か。

チョコレート、パイナップル、グリ○のジャンケンでその場から進めず、前いる友達との距離が開きすぎて手元が見えなくなるのもざらだ。
弱ぇーよお前、仕方ないな。
んじゃ負けた方が勝ちな！
そう言ってくれただけで、負けない。勝ちまくる──なんでだ。


でもってクジに関してもみんなが嫌がる美化委員やら、文化祭実行委員やら、当たりまくるのに。

アイツの隣の席になりたいと思って引く席替えクジは、ことごとく外す。


だから──
要らないって言った主人公の当たりクジが、欲しかった。



2度目人生、少しはスポットライト浴びたいじゃん。

前世アラサーだったのに。
可愛いく？僕っ子で、ちょーだいって言って走って逃げたらそのまま転生してしまった。


この引き取られるタイミングで、それを全部思い出した。


だって……

よくよく考えたら俺、髪の毛ピンクしかも瞳もピンクこんなの異世界だろーが！

そっか、主人公ってピンクだった。

母親がピンク色の髪で瞳は緑だと孤児院の院長が言っていた。

だから、父親の瞳がピンクなんだ。髪は、茶色なのに。

両親のピンクの部分を取ったんだな。
遺伝、遺伝か。

グレンジャーじゃなくて、モモ…レン。うん、気にしたらダメだ。

ここは、異世界。
気にしたら負けだ。

顔の作りは、悪くないんだけど…？
なんか、つり目だな。

所謂、乙女ゲームの悪役令嬢のツンツンした顔っぽくないか？

それでも、前世よりは……うん、可愛いはずだ。

あの子は、モブで殿下達の幼馴染だったけど本当に目立たなくて名前も知らない。

チビとかメガネとか呼ばれてたっけ？

何でそんなのが良いのか、分からん。

──理由があるのかな？会えたら、あの子の為に何か出来るだろうか？





それにしても、悪役令嬢ならぬ令息って──いたような、いないような？

まだ、7歳だからか？
はっきり思い出せない。

もしかして、ザマァとかあるのか？

俺は、筋金入りの不運な男だ。
大丈夫だろうか……

攻略対象は覚えている。
学園からのスタートだ。


天真爛漫って、空気の読めない馬鹿？になっちゃうの俺？

運が悪いもんな。
───ありえる。


まだ、学園入学まで時間がある。

平民の俺のマナーとか、きっと指摘されたりするんだ！

ちゃんと頑張ろう。
空気の読める子になろう！

ザマァされない様に、頑張れ俺。