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第3章 隣の幼馴染
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明日は、釣り大会だ。
久々に、アルに連絡してみよう。
アルは、グランデ王国に住んでいる。王国の森で光ってた樹を思わず触ったそうだ。気が付いたら見た事もない森に迷い込んだらしい。
同じ頃、僕もパルムの樹に触れて精霊の森の近くに飛ばされてしまった。精霊に頼んで帰してもらうおうと、キョロキョロしてたら……
アルと出会ったのだ。
艶やかな黒髪にルビー色の瞳。
めちゃくちゃ、かっこよくて、ガン見してたら水をかけられた。水魔術みたい。
避けもせずにびしょ濡れになった僕を見て、慌てていた。
「避けろよ、チビ」
そう言って、今度は風魔法で乾かしてくれる。
優しい。にこにこしてしまう。
そんな僕をみて、アルが真っ赤になった。
「あ、怒った?」
どうしよう?
「ごめんなさい。あの、綺麗な瞳だね。精霊じゃないよね?と、友達になれないかな?」
そう頑張って声をかけた。
さっきより、顔の赤みが治ってきたから、怒りを抑えてくれたのかな?
「──嫌だけど、いいよ」
そう言って、横を向いた。
「いいの?僕は、ルナ。フォレストの中央の方に住んでるの。6歳だよ」
「俺は…アル、だ。もうすぐ7歳だ。樹に触ったら、こんな所に来た。精霊のいたずらだと思う」
「フォレスト領内から?もしかして、グランデ王国の人?」
アルがジッと僕を見てきた。
「俺の顔は、見た事ない?」
「初めて会うけど?あー!身分が高いとか?声かけちゃダメなんだね?帰るね!!」
お忍びか~。背を向けて歩き出す。
そっか。護衛とかが迎えにきた時に不味いのかも!関わっちゃだめだね。
「待って」
そう言って手を掴まれた。
振り返ると、少しだけ泣きそうな顔をしている。
「どうしたの?迎え待ちなんでしょ?」
陽が落ちる前に、帰らないと危ないよね。
「分からない」
「へ?」
「帰り方が!!分からないんだよ!」
途端にアルが泣きそうになった。
「大丈夫だよ」
今度は、僕がギュッと手を握る。「もしかして、迷い込んだアルを助けるのに僕が呼ばれたのかも」
そう言って、手を繋いだまま歩く。
あ、こっちだ。
呼ばれてる。そんな気がする。
てくてくと、2人で進む。
見えている中で1番大きな樹。
「この樹に触れたら帰れるよ」
アルは、不思議そうな顔をしてた。
「なんで、分かるの?」
「精霊が教えてくれた。戻りたい場所を思い出して触ったらいいよ。元気でね!」
そう僕が言うと、アルが慌ててポケットから手鏡を出した。
「通信鏡だ。これで俺と繋がる。夜、連絡する。ルナありがとう」
森の中で、上手く使えなかったんだ。
「帰りに困らない?」
「大丈夫。それよりも、ルナと連絡とりたい」
手鏡を渡されて、一度ギュッと抱きしめられた。
小さな声で、ありがとう。
と、もう一度言われた。
樹に手を当てて、アルは消えた。
それが、アルとの出会い。
グランデ王国に住んでる親友って思ってる。
だって悪意のある人は、精霊が嫌うからアルは、信じても大丈夫だと思う。
ダレン兄様には、親友のシリウス様がいて、とっても羨ましい。
もちろん、弟みたいに可愛がってくれるのは嬉しい。
でも、僕も親友が欲しい。
結局、直接会えたのは、その後1回だけ。
消えたのは15分位だったし、精霊のせいだって言ったんだけど、お父様達が心配して、護衛騎士さんが増やされそうになったので、直接会うのは当分諦めた。
もう少し大きくなるまでは、手鏡のみで話す事にしょうねって約束している。でもこれは、お父様達には内緒。
分かった事は、グランデの貴族子息で、5つ上のお兄さんがいる事。
母親が違うらしく、アルの亡くなったお母様の身分が低く仲が良くないって。
お互い母親を亡くしている事もあって、僕達は仲良くなっていった。僕の雷が苦手な事も知ってて、雷雲が近づいてるみたいだから、防音張ってもらえとか教えてくれるんだ。距離があるから、雷が発生するかは絶対じゃないけど心配してくれて嬉しい。
それにしても本妻の関係者に嫌がらせを受けているなんて。
何もしてあげれなくてごめんねって言ったら、話を聞いてくれるだけで嬉しい、ありがとうって言った。
もう、親友でいいよね?
僕は、お兄様達が優しいから平気だけど。
アルは、辛いよね。
僕で支えてあげれるかな?物理的には支えられそうもない。
なんで、こんなに成長が良いの?
軽く頭一つ大きい。
それに、アルは、魔術が色々使えるんだ。
僕は、水属性って言ってる。
聖属性は、まだ使えない。これは秘密にするようにって言われてる。ごめんね、話せなくて。
アル自身は、闇属性と水属性が強いんだって。
闇って聞くと、呪いとか悪いイメージが強いけど──そんなのばっかりじゃなくて相手の魔術を無効化したり吸収や略奪して暴走や攻撃を防ぐ事も出来るって小説に書いてた気がするから。防御に強いだけな気がする。
使い方できっと、皆んなを支えられるよって言ったら──笑ったんだ。
そんな事言われた事無かったって。
本当に綺麗な笑顔だった。
でもアルって、かなり身分が高いんじゃないかな?
何か、忘れている気がする。
アル──って、家名なんだろう?
とにかく!学園で学ぶ友達が、今から出来そうって言ったらびっくりするかな?
「アル、起きてる?」
手鏡に触れて、問いかけた。
久々に、アルに連絡してみよう。
アルは、グランデ王国に住んでいる。王国の森で光ってた樹を思わず触ったそうだ。気が付いたら見た事もない森に迷い込んだらしい。
同じ頃、僕もパルムの樹に触れて精霊の森の近くに飛ばされてしまった。精霊に頼んで帰してもらうおうと、キョロキョロしてたら……
アルと出会ったのだ。
艶やかな黒髪にルビー色の瞳。
めちゃくちゃ、かっこよくて、ガン見してたら水をかけられた。水魔術みたい。
避けもせずにびしょ濡れになった僕を見て、慌てていた。
「避けろよ、チビ」
そう言って、今度は風魔法で乾かしてくれる。
優しい。にこにこしてしまう。
そんな僕をみて、アルが真っ赤になった。
「あ、怒った?」
どうしよう?
「ごめんなさい。あの、綺麗な瞳だね。精霊じゃないよね?と、友達になれないかな?」
そう頑張って声をかけた。
さっきより、顔の赤みが治ってきたから、怒りを抑えてくれたのかな?
「──嫌だけど、いいよ」
そう言って、横を向いた。
「いいの?僕は、ルナ。フォレストの中央の方に住んでるの。6歳だよ」
「俺は…アル、だ。もうすぐ7歳だ。樹に触ったら、こんな所に来た。精霊のいたずらだと思う」
「フォレスト領内から?もしかして、グランデ王国の人?」
アルがジッと僕を見てきた。
「俺の顔は、見た事ない?」
「初めて会うけど?あー!身分が高いとか?声かけちゃダメなんだね?帰るね!!」
お忍びか~。背を向けて歩き出す。
そっか。護衛とかが迎えにきた時に不味いのかも!関わっちゃだめだね。
「待って」
そう言って手を掴まれた。
振り返ると、少しだけ泣きそうな顔をしている。
「どうしたの?迎え待ちなんでしょ?」
陽が落ちる前に、帰らないと危ないよね。
「分からない」
「へ?」
「帰り方が!!分からないんだよ!」
途端にアルが泣きそうになった。
「大丈夫だよ」
今度は、僕がギュッと手を握る。「もしかして、迷い込んだアルを助けるのに僕が呼ばれたのかも」
そう言って、手を繋いだまま歩く。
あ、こっちだ。
呼ばれてる。そんな気がする。
てくてくと、2人で進む。
見えている中で1番大きな樹。
「この樹に触れたら帰れるよ」
アルは、不思議そうな顔をしてた。
「なんで、分かるの?」
「精霊が教えてくれた。戻りたい場所を思い出して触ったらいいよ。元気でね!」
そう僕が言うと、アルが慌ててポケットから手鏡を出した。
「通信鏡だ。これで俺と繋がる。夜、連絡する。ルナありがとう」
森の中で、上手く使えなかったんだ。
「帰りに困らない?」
「大丈夫。それよりも、ルナと連絡とりたい」
手鏡を渡されて、一度ギュッと抱きしめられた。
小さな声で、ありがとう。
と、もう一度言われた。
樹に手を当てて、アルは消えた。
それが、アルとの出会い。
グランデ王国に住んでる親友って思ってる。
だって悪意のある人は、精霊が嫌うからアルは、信じても大丈夫だと思う。
ダレン兄様には、親友のシリウス様がいて、とっても羨ましい。
もちろん、弟みたいに可愛がってくれるのは嬉しい。
でも、僕も親友が欲しい。
結局、直接会えたのは、その後1回だけ。
消えたのは15分位だったし、精霊のせいだって言ったんだけど、お父様達が心配して、護衛騎士さんが増やされそうになったので、直接会うのは当分諦めた。
もう少し大きくなるまでは、手鏡のみで話す事にしょうねって約束している。でもこれは、お父様達には内緒。
分かった事は、グランデの貴族子息で、5つ上のお兄さんがいる事。
母親が違うらしく、アルの亡くなったお母様の身分が低く仲が良くないって。
お互い母親を亡くしている事もあって、僕達は仲良くなっていった。僕の雷が苦手な事も知ってて、雷雲が近づいてるみたいだから、防音張ってもらえとか教えてくれるんだ。距離があるから、雷が発生するかは絶対じゃないけど心配してくれて嬉しい。
それにしても本妻の関係者に嫌がらせを受けているなんて。
何もしてあげれなくてごめんねって言ったら、話を聞いてくれるだけで嬉しい、ありがとうって言った。
もう、親友でいいよね?
僕は、お兄様達が優しいから平気だけど。
アルは、辛いよね。
僕で支えてあげれるかな?物理的には支えられそうもない。
なんで、こんなに成長が良いの?
軽く頭一つ大きい。
それに、アルは、魔術が色々使えるんだ。
僕は、水属性って言ってる。
聖属性は、まだ使えない。これは秘密にするようにって言われてる。ごめんね、話せなくて。
アル自身は、闇属性と水属性が強いんだって。
闇って聞くと、呪いとか悪いイメージが強いけど──そんなのばっかりじゃなくて相手の魔術を無効化したり吸収や略奪して暴走や攻撃を防ぐ事も出来るって小説に書いてた気がするから。防御に強いだけな気がする。
使い方できっと、皆んなを支えられるよって言ったら──笑ったんだ。
そんな事言われた事無かったって。
本当に綺麗な笑顔だった。
でもアルって、かなり身分が高いんじゃないかな?
何か、忘れている気がする。
アル──って、家名なんだろう?
とにかく!学園で学ぶ友達が、今から出来そうって言ったらびっくりするかな?
「アル、起きてる?」
手鏡に触れて、問いかけた。
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