【本編完結】イケメンの皆様、主人公はあちらですよ。

Shizukuru

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第8章 スピカの恋愛事情

2後輩①

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「どっちって何の事だ?」

え、声に出てたのかな?と思いつつ……背後からの声に、なんとなく答えてみた。

「んー。受け入れる側かどうかって思っただけ」

「受け入れるとは?」
誰だっけ?あれ?こんな話、教室とかでする事じゃないよね?

「え、と何でも無いです」
声の方に振り返った。
なんで、ここにいるんだろう?

「カストル様……寮に戻ったのでは?」

相変わらず姿勢が良いしスタイルも良いし。格好良いのにな。

「いや、アルデバラン先生に頼まれていた報告書を提出に行く所だ」
確かに封書を持っている。でも、ここ通って行くの、遠回りな気がするけどな。

「窓際で、何をぶつぶつ言っているのかと思ったからね。スピカこそ、戻らないのか?ソレイユと剣技の確認とか言ってなかったか?
それとも、あの2人の逢瀬を覗き見か?」

チラリと窓の外に視線を送る。

「──違いますよ。去年のライラの花は、雷雨であっという間に散ってしまったし。自分の入学式の事を思い出してたら……アルファルド殿下とルナ様が並んでたのが見えただけです。覗きとか止めてください。邪な気持ちは、ないですから。俺は、お2人の事お似合いって思ってます」

カストル様は、レグルス殿下とルナ様がくっついて欲しかったよね。こればっかりは、なぁ。

「去年ねぇ。ピチピチの制服で──真っ赤になったり、青くなったり……あの可愛いスピカが、成長したね。身長も伸びたし……髪はもう、伸ばさないのか?魔術騎士を目指すなら、魔力強化に繋がるだろう?」

もう忘れて欲しい事は、しっかり覚えている。可愛いとか、胡散臭い……ジト目になるのは仕方ないよね。身長だって、まだ頭一つは違うくせに。ちょっとムカつくけど、勉強を教わっててその教え方の上手さは両手を合わせて感謝したいくらいなので、我慢我慢。

「──あの時は、助けていただいた事感謝してます。
魔術は、魔術師団長もたまにアドバイスしてくださいます。だいぶ自在に光属性を使えるようになりましたし、髪は短い方が楽で好きなんですよ」

ルナ様が、格好いいって言ってくれたからとは言えない。

「最初に会った頃は、レグルス殿下に媚びる奴か害意があるか調べるつもりで接触したが、お前を良い方向に変えたのはルナなんだろうな。ルナの影響力は、凄いな」

もう、すでにお2人はいなくなっていた。

「そうですね」
思わず笑みがこぼれる。

何故か、ハッとした様な顔をしたけど直ぐに元に戻った。

「で、さっきの話だが……」

あー。忘れてくれないのか。まだ、自分でも良く分からないんだから。

「先生の所に行くんでしょう?急いだ方が良いですよ?俺も人を待っているんです」

「ソレイユの前に誰かと会うのか?」

「なんだかんだで、レグルス様やルナ様達の側に居るから、紹介してくれとか多いんです。俺が身分低いのに一緒にいるから、声かけ易いんでしょう。あ、心配しなくても、きちんと断ってますよ。学園生はなんだから自分で話しかけたらどうかって。俺なんか頼るなってね。直接行く勇気は無さそうだし、ソレイユ様に睨まれたら怖いでしょうから。実害はないと思います」


「スピカは、誘われないのか?」


「無いですよ。貧乏子爵家だし。それに、弟が産まれたんです。ちゃんと本妻の子ですよ」

あ、勘違いするよね。

「本妻って、ええっと、義母さんとは上手くいってますから!
ずっと子供が出来なくて、やっと産まれたんです。そしたら、めちゃくちゃ謝られて……子供を残して亡くなった俺の母親の気持ちを思ってくれたんです。
跡継ぎも俺で良いって言ってくれたんです」

「そうか。なら、お前が継いだらダメなのか?」

首を横に振る。

「弟、めちゃ可愛いんですよ。
義母さんは大丈夫でも、他の親戚とかが出て来て後々揉めて兄弟で争うの嫌だし。正当な後継者の方が丸く収まるから。散々話あった結果です。ちゃんと、俺居場所も実家にあるので」

「お前は相変わらず、潔いな」
珍しく、優しい顔をするなぁと思って見ていたら。
あ、またさっきの話に戻りそう。

慌てて、話を続ける。

「だから、俺は後を継ぐ必要もなくなりました。爵位も継げない俺の価値は無いから。堂々と魔術騎士を目指せます。子爵家が潰れないように味方を見つけたいのも正直な所なんです。学園生の間に色々交友を深めないと」

そんな話をしていると──
誰かがバタバタと走ってくる。

「スピカ様、遅くなってすみません!」

知り合いの子に会ってくれってクラスメートに頼まれてたんだけど、現れたのは、わりと体格の良い整った顔の1年生だ。しかも俺より大きい。


カストル様もいるから、一緒に殿下達の紹介はしないと伝えたら納得してくれるだろうか?

「あ、れ?お一人じゃ無いんですか?」

「あ、偶然カストル様に声をかけられただけだよ」

「1年生……ホワイト伯爵家の子息だね。マーク・ホワイト君?」

カストル様、人物を覚えるの得意って本当だな。

「カストル・ローランド様、学園内と言う事で発言をお許しください。本日は、スピカ様と2約束です」

ん?カストル様公爵家だよ?知り合いになりたいとか、お近付きになりたいじゃないの?

王家とかじゃなくて、ルナ様の方か……?

「──カストル様、アルデバラン先生の所へ行って下さい。俺、ホワイト様と話したら寮に戻ります。寮に戻ったらソレイユ様に遅れないように行きますって伝えてもらっても良いですか?」

「そうか。

そう言って、カストル様が教室から出て行った。一瞬、マーク君を、睨んだのは殿下達への牽制かな?
カストル様の様子からも、俺から取り継げ的な無理は、言わないだろう。よしよし。

こいつも、平等って言ったし。一応、先輩だし。


「それで、何話って?」

大っきいなぁ。見上げる。

「スピカ様……やはりカストル様と」
あれ?やっぱり公爵と繋がりたい?

「──カストル様と付き合っているのですか?」

「へ?」
つきあう?付き合う?俺が?

「スピカ様は、カストル様かソレイユ様とお付き合いされているのですか?」

「無いって、無い無い!身分違うし、ルナ様のオマケのオマケでたまたま、仲良くしてもらっててそれだけ。勉強を教わったり、魔術の事とか意気投合した感じで……」

ああ、そっか!
カストル様かソレイユ様に憧れている1年生なんだなぁ。

「カストル様やソレイユ様が誰と付き合っているとか、そう言う私的な事、話たりとか無いから、本人達に告白した方が良いよ!
カストル様を残して、俺が帰った方が良かったんだじゃない?」

なんか、早く帰ろ。

「じゃ、俺行くから!頑張って!」

立ち去ろうとした時、腕を掴まれた。

「あ、待って下さい。俺、スピカ様と話したいんです。カストル様達じゃなくて」

「いや、俺、誰も紹介出来ないよ?」

「だから、違う!」

大きな声を出されて、びくりとしてしまう。

「あ、大きな声を出してすみません。俺は、スピカ様が好きなんです!」

「え?」

「一度で良いから、デートして下さい!」

お、れ?俺狙いーーーー!
しかも、年下って、マジ?





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