【本編完結】イケメンの皆様、主人公はあちらですよ。

Shizukuru

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番外編☆

ある日の出来事①

☆アルファルド


ルナの実家からあまり離れていない所に新居を構えている。

フォレストの精霊達が、この地を護り豊かにする。ルナがこの地に留まるだけでも、空気が違うのだと辺境伯は言う。
ルナも穏やかに生活が出来ているようで、なんて言うか以前にまして綺麗になった気がする。

魔術の訓練や護身術的な剣技もセス様が押し掛けて……いや、意気揚々と遊びに来る……何でこんなに来訪して来るんだ。

あれから2年が過ぎて、俺も、ルナも20歳になった。
執務室から見える中庭には、シリウスとディオールが見護る中、セス様がルナへ剣技の指南中だ。
確かに、もうルナの兄ロイドがほぼ辺境伯の業務をこなしている。
──なんだろうな。

手を抜きすぎじゃないか?可愛いのは分かるが……
まあ、子供と戯れたいだけだな。
俺との時間を邪魔しに来ている気もするが。それは口には出さないが。

「アルファルド様。手が止まってますよ。今日は最低でもその書類全て目を通して頂きますから。急がないと益々お二人で過ごす時間が減りますが、よろしいのですか?」
従者に小言を言われて、ため息をつく。

もう一度、ちらりと窓の外を見ると、訓練を終えて引き上げて行く姿が見えた。
セス様さえ来てなければ、お茶を運んで来た。
『少し休憩しませんか?』
なんて笑ってくれている時間だ。くそ。

「アルファルド様……」

「分かっている。すぐ終わらせる。セス様はいつ帰るんだ?」

夕食まで食べて行くのだろうか?

「帰りませんよ?今日は、お泊まりになるそうです。
ついでに明日シリウスとディオールにも剣技の訓練をされるそうですから。シリウスとの訓練は……私も見学に行きたいくらいです。アルファルド様も行かれますか?」

な、いつそんな話になったんだ?


「泊まり?」

「ええ。特別なワインが出来たそうですよ。元々18歳にも成れば王国ではお酒が飲めるのに、ルナ様はお酒は20歳からと頑なに言い続けてましたから。
その事もあって、20歳になったルナ様の為にワインを用意されていたそうです。
それを一緒に飲んでみたいとルナ様がおっしゃったので……父と子でワインを飲む日が来るなんてとセス様も感動していましたよ。お酒を飲んだセス様を帰すよりはお泊めすべきですから。いくら剣豪でも、は腕を狂わすかもしれませんから」

「ワイン──アルコール──」

待て。あの時の、微々的なチョコでルナは……
あの後は、チョコも禁止した。
まだ、ワインなんて飲ませた事が無い。休暇の時にと思いながら、仕事が忙しくて、飲ませる機会が無かったな。

「それは、俺も絶対に付き合うから。ルナは多分アルコールに弱いから、あまり飲ませないようにしないとな」

人前で肌を晒すなんて事になったら困る。

「セス様も兄上様達も酒豪なのに…その体質は受け継がなかったんですか?」

「ああ、多分。昔、チョコの香づけ程度のアルコールで、様子がな」


「それはまた……では、お水や代わりの果樹水など用意しておく様に伝えておきますね」







甘かった──



ディナー後、談話室に移り皆と穏やかに会話をしている。

セス様が持ち込んだワインはかなり上質のモノで、とても口当たりも良く香りも芳醇だった。

俺も酒豪の血筋か酔わない。
だが、一口飲んだルナが一言いった。
「美味しい。飲みやすい」
表情も顔色も変わらない。

あの時から5年は経っている、華奢ながらも成長はしているから、もう少しなら大丈夫だろうか?と思ってしまう。


「ルナ、ゆっくりな?」
声をかけた時には遅くグラスの中身は空になっていて。

「あは。あつくなってきちゃった……」


襟元を緩めている。頬が薄らとピンク色に色付く。
は?今、飲んだのか?グラス一杯分……?
ルナの方へ護衛達の視線が向く。



「これだけで?酔ったのか?」
セス様が呟いてる。



不味い。ボタンを外そうと格闘し始める。


「セ、セス様。申し訳ありません。
ルナはアルコールに弱いようです。シリウス、今晩はセス様に付き合って欲しい。退出いたします。明日の朝、一緒に食事をしましょう」

そう言ってルナを縦抱きにすると、ギュッと首にしがみ付いて来た。

「もうちょっとぉ、飲みたいよぉ」

「ああ。──2だけで飲もう」


足早に退出した。








※異世界設定の世界観ためお酒を18歳から飲める世界にしていますが、飲酒を薦めるものではありません。設定上の都合ですので、申し訳ありません。

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