99 / 129
その後のetc…
lf 氷の瞳④
しおりを挟む
ルナが学園を卒業し、婚姻式を迎えることとなった。
色々なことがあった。
覚えている限りで、同じような事が起きた。
レグルス様の療養に始まり、ルナが呪いを受け取る。
入学式後の突然の雷雨。これだけは、駆けつけたかったんだ。
1人で泣き震えていただろう?
後で知ったんだ。治療に来ていたウンディーネ様が、席を外したこと。
そして、レグルス殿下が駆けつけたこと。
間に合って、抱きしめた。
どうか、俺を信じて。
泣きじゃくり抱きついてきた。怖かっただろう?熱が高い。
「シスにい、一緒にいて」
震えが止まらないみたいだ。もう少し落ち着くまではこのままがいいのだろうか?
「朝まで……いや、熱が下がるまでは必ず傍に居る。ルナが眠っても手を握ってるから、安心して」
「やだ。抱っこしてて」
2人きりで共に夜を過ごすことは、避けて来た。想いが溢れてしまうから。
熱があって良かったのかも知れない。
こんなに可愛い我儘を普通の時にされたら、我慢できそうにないからな。
「ウンディーネ様が、戻ってくるだろう?」
ギュッと抱き付いてきた。だいぶ素直に甘えてくるようになったな。
頭を撫でて落ち着かせる。
「────断るから。薬だけ届けてもらうから。お願いシス兄様が一緒にいて」
届いた薬は、震えて上手く飲めないみたいだ。
口移しで分けて薬を飲ませる。しばらくしてベッドに2人横になる。腕の中にいる、ルナの熱が少しづつだが下がってきている。
薬が効いてきた。良かった。
腕の中で、呼吸も落ち着いてきている。
もう一度だけ、触れるだけのキスを交し俺も目を閉じた。
学園では、お馴染みの仲間が騒動を起こす。魔力暴走行為も全て、分からないように威力を抑えて怪我をさせないように見守る。
過去を壊すことなく、ルナがなるべく傷つくことがないように立ち回る。
もう、辛い思いなんてさせたくないんだ。
避けられない流れだとしても、傍にいるのは自分でありたい。
君との婚姻をどれだけ待ちわびたか。
誰にも遠慮することなく、抱ける日が来るのだ。
明日。
トントンとノック音が聞こえる。
「シス兄様」
「どうぞ」
ドアの方に移動すると、ルナが1人立っている。
「どうした?」
「明日……なんですが、緊張して眠れなくて眠くなるまで一緒にいてもいいですか?」
「不安?とりあえずベッドの所で話そうか?その方が眠くなるかもしれないから」
「はい」
少しでもリラックス出来るようにハーブティーを用意してもらった。
「ルナ……俺と婚姻するのは嫌か?」
「ちがっ、違います。違うんです」
「どう違う?顔色があまり良くないのは、俺と一緒になるのが不安なのかと思ったけど」
「本当に、違うんです。僕が甘えすぎて……兄様の負担が大きすぎると思うのです。全然役に立たないのに。一緒に居てくれるだけでいいってそんなの、駄目だと思うから」
「ルナ。それは、俺の事が好きだから、迷惑をかけたくないのかな?俺にとって最大の愛の言葉だな」
「本当に迷惑になりたくないんです」
「それを決めるのは俺だよ?俺がお前の為なら何でもしたいだけだ。笑って欲しいし、泣く時は俺の胸の中で泣いて欲しいよ」
「ま、まだ。雷も怖いし。血もまだ苦手で。それに、優しいシス兄様に相応しいか分からなくなって。子、子供……本当にいらないの?」
「後継の問題は無い。それに、子供がいたらルナを取られてしまう。お前の愛は、俺だけにくれないか?ずっと夢だったんだ。ルナが俺だけを想ってくれることが嬉しい。俺の想いを信じてくれないのか?」
泣きそうな、顔をする。
「ルナが、俺以外に好きなやつがいるのなら教えて」
「違う!本当に違うの!大好き。ずっとずっと支えてくれたのは、シス兄様だ」
抱きついて、泣いてる。
やっと、俺を選んでくれたんだ。
「ルナ、今日は添い寝だけだよ。明日、俺の物にするから、お前を抱くのをどれだけ待っていたか……覚悟してくれ」
「─────はい」
やっと、手に入れた。
色々なことがあった。
覚えている限りで、同じような事が起きた。
レグルス様の療養に始まり、ルナが呪いを受け取る。
入学式後の突然の雷雨。これだけは、駆けつけたかったんだ。
1人で泣き震えていただろう?
後で知ったんだ。治療に来ていたウンディーネ様が、席を外したこと。
そして、レグルス殿下が駆けつけたこと。
間に合って、抱きしめた。
どうか、俺を信じて。
泣きじゃくり抱きついてきた。怖かっただろう?熱が高い。
「シスにい、一緒にいて」
震えが止まらないみたいだ。もう少し落ち着くまではこのままがいいのだろうか?
「朝まで……いや、熱が下がるまでは必ず傍に居る。ルナが眠っても手を握ってるから、安心して」
「やだ。抱っこしてて」
2人きりで共に夜を過ごすことは、避けて来た。想いが溢れてしまうから。
熱があって良かったのかも知れない。
こんなに可愛い我儘を普通の時にされたら、我慢できそうにないからな。
「ウンディーネ様が、戻ってくるだろう?」
ギュッと抱き付いてきた。だいぶ素直に甘えてくるようになったな。
頭を撫でて落ち着かせる。
「────断るから。薬だけ届けてもらうから。お願いシス兄様が一緒にいて」
届いた薬は、震えて上手く飲めないみたいだ。
口移しで分けて薬を飲ませる。しばらくしてベッドに2人横になる。腕の中にいる、ルナの熱が少しづつだが下がってきている。
薬が効いてきた。良かった。
腕の中で、呼吸も落ち着いてきている。
もう一度だけ、触れるだけのキスを交し俺も目を閉じた。
学園では、お馴染みの仲間が騒動を起こす。魔力暴走行為も全て、分からないように威力を抑えて怪我をさせないように見守る。
過去を壊すことなく、ルナがなるべく傷つくことがないように立ち回る。
もう、辛い思いなんてさせたくないんだ。
避けられない流れだとしても、傍にいるのは自分でありたい。
君との婚姻をどれだけ待ちわびたか。
誰にも遠慮することなく、抱ける日が来るのだ。
明日。
トントンとノック音が聞こえる。
「シス兄様」
「どうぞ」
ドアの方に移動すると、ルナが1人立っている。
「どうした?」
「明日……なんですが、緊張して眠れなくて眠くなるまで一緒にいてもいいですか?」
「不安?とりあえずベッドの所で話そうか?その方が眠くなるかもしれないから」
「はい」
少しでもリラックス出来るようにハーブティーを用意してもらった。
「ルナ……俺と婚姻するのは嫌か?」
「ちがっ、違います。違うんです」
「どう違う?顔色があまり良くないのは、俺と一緒になるのが不安なのかと思ったけど」
「本当に、違うんです。僕が甘えすぎて……兄様の負担が大きすぎると思うのです。全然役に立たないのに。一緒に居てくれるだけでいいってそんなの、駄目だと思うから」
「ルナ。それは、俺の事が好きだから、迷惑をかけたくないのかな?俺にとって最大の愛の言葉だな」
「本当に迷惑になりたくないんです」
「それを決めるのは俺だよ?俺がお前の為なら何でもしたいだけだ。笑って欲しいし、泣く時は俺の胸の中で泣いて欲しいよ」
「ま、まだ。雷も怖いし。血もまだ苦手で。それに、優しいシス兄様に相応しいか分からなくなって。子、子供……本当にいらないの?」
「後継の問題は無い。それに、子供がいたらルナを取られてしまう。お前の愛は、俺だけにくれないか?ずっと夢だったんだ。ルナが俺だけを想ってくれることが嬉しい。俺の想いを信じてくれないのか?」
泣きそうな、顔をする。
「ルナが、俺以外に好きなやつがいるのなら教えて」
「違う!本当に違うの!大好き。ずっとずっと支えてくれたのは、シス兄様だ」
抱きついて、泣いてる。
やっと、俺を選んでくれたんだ。
「ルナ、今日は添い寝だけだよ。明日、俺の物にするから、お前を抱くのをどれだけ待っていたか……覚悟してくれ」
「─────はい」
やっと、手に入れた。
42
あなたにおすすめの小説
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される
水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。
絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。
長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。
「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」
有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。
追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
裏乙女ゲー?モブですよね? いいえ主人公です。
みーやん
BL
何日の時をこのソファーと過ごしただろう。
愛してやまない我が妹に頼まれた乙女ゲーの攻略は終わりを迎えようとしていた。
「私の青春学園生活⭐︎星蒼山学園」というこのタイトルの通り、女の子の主人公が学園生活を送りながら攻略対象に擦り寄り青春という名の恋愛を繰り広げるゲームだ。ちなみに女子生徒は全校生徒約900人のうち主人公1人というハーレム設定である。
あと1ヶ月後に30歳の誕生日を迎える俺には厳しすぎるゲームではあるが可愛い妹の為、精神と睡眠を削りながらやっとの思いで最後の攻略対象を攻略し見事クリアした。
最後のエンドロールまで見た後に
「裏乙女ゲームを開始しますか?」
という文字が出てきたと思ったら目の視界がだんだんと狭まってくる感覚に襲われた。
あ。俺3日寝てなかったんだ…
そんなことにふと気がついた時には視界は完全に奪われていた。
次に目が覚めると目の前には見覚えのあるゲームならではのウィンドウ。
「星蒼山学園へようこそ!攻略対象を攻略し青春を掴み取ろう!」
何度見たかわからないほど見たこの文字。そして気づく現実味のある体感。そこは3日徹夜してクリアしたゲームの世界でした。
え?意味わかんないけどとりあえず俺はもちろんモブだよね?
これはモブだと勘違いしている男が実は主人公だと気付かないまま学園生活を送る話です。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる