19 / 81
18ゲームスタート前
しおりを挟む
もうすぐゲームがスタートする。神子も神殿で魔法を基礎から習い、第一王子殿下とも交流しているみたいだ。今のところ神子の傍にいる攻略対象者は、第一王子殿下と神官長だけ。護衛騎士枠のディードは第二王子殿下の傍にいて、神子との交流の機会が全くない。
(初めて会った時に、テオドールがディードをレイにあげちゃったし……)
色々と違うことが起きてるけど、厄災は起きないなんてことは、流石にないはず。だから、レライエが強くなるのは大事なことだ。
レライエは願い通り、ディードに師事し剣の訓練を受けている。最初は体格差がある中で、少しは優しくしても良いのではないかと思ったくらいだ。木製剣の持ち方から始まり、型を習い打撃の訓練に入ると、レライエはあざだらけになった。魔法で治癒するのは簡単だけど、自己回復の為にも化膿し悪化しそうな傷以外は、そのままにするようにと、ディードに嗜められた。簡単に治せると思うと無茶をする。
当たり前だが、怪我をしない方がいい。第二王子を特別扱いすることなく、正にスパルタで、ボロボロになるまで訓練をしている。
セーレは正直、魔法チートでレライエを守れば良いと思っていた部分がある。現代日本で生活していて、このように鬼気迫る状況を知らない。もしもセラフィーレがいない最悪の状態が来た時、怪我をしたまま戦う必要があるから。
「怪我をしても、隙を見て逃げるくらいになって下さい」
どんな状況でも動けないと駄目だという、ディードの言葉に重みを感じる。
(この人は本当にレイのことを大切にしてくれる)
それからは、魔法も甘やかすことなく教え、機転を効かせるために、色々な場面を想定して指導することにした。ただ、レライエの傷やアザは痛々しい。夜は最低限の癒しの魔法と、身長が急速に伸び出した彼の為に、筋肉を解す為にマッサージをセラフィーレが、レライエに施してから寝るのがルーティンに加わった。
成長痛もかさなっているので、マッサージは念入りにしてあげたい。
(推しの……筋肉が。ご褒美過ぎる)
「んん。セーレ様、そこ気持ち……いい」
「え、あっ……こ、こ、ここ? もう少し解す?」
「う……んん」
(ひゃーーー)
変態な妄想のせいで、どもってしまい恥ずかしい。レライエはベッドの上で腹ばいで上半身は裸だった。
真っ赤になっているだろう顔を、見せずにいられる背中側のマッサージは嬉しい。太もも裏に跨りグッグッと親指で押し、手のひらで円を描く様にすると、レライエの少し低くなった声にどきりとしてしまう。
「──はぁ……とてもいいです」
もう茹でダコみたいになっている顔は、水魔法で抑えるしかない。全部無駄に色気が増したレライエのせいだ。
実際のところ騎士のディードの方が、何倍も頼れるお兄さんになっていると思う。
(僕もディみたいに兄貴っぽくなりたかったんだけど、可愛らしい感じなんだよなぁ。すでに三兄弟の一番下みたいになってる。ううう)
今にも眠ってしまいそうになったレライエの背中を軽く揺さぶり、寝衣を着る様に促す。セラフィーレより逞しくなった腕が伸びてきて、向かい合わせに抱き締められた。
「レイ!寝ぼけちゃだめだよ。シャツ着て!風邪を引いてしまう」
「セーレ……が温かいから平気……」
「そんな訳ないって、魔導書なんだから」
「セーレ……様の魔力が、きっと相性が良いから、気持ちいい。このままがいい」
(いやいやいや。嬉しいけど、向かい合わせはきついんだって)
「こら、レイ!本当に風邪引くって」
「なら、ブランケットの中で、二人でくっついとけば、だいじょ……ぶ」
レライエの寝息が聞こえ始めた。こうなったら、朝までぐっすりコースになってしまう。魔法で引き寄せたブランケットを二人の体を覆う様にかけて、室内を暗くする。レライエが深く眠った後、セラフィーレは耳澄まし、離宮内をサーチしながら異常がないか確認する。今のところは、強い外敵が来ていないので平穏なままだ。
実は陛下からはきちんと、第二王子の予算が割り当てられていた。王妃派の文官などにより、数年間予算を横領されていた。王妃は気づいていて黙認していたみたいだが、セラフィーレはこれを見逃さなかった。魔法で偶然を装い陛下に気づかせただけ。
(予算を取り戻したのは大きいよね)
レライエを隠し護るよりは、敵対しない臣下として、いずれ王都を離れる計画を立てるつもりだ。第一王子殿下を脅かす存在ではなく、多少僻地いいので、王家の領地の一部分の領主になればいい。
別に第一王子殿下が、王太子として才能が無いわけではない。王太子としての重圧と、王妃の意地でこちらを敵対視しているだけなので、神子と殿下が上手くくっつけば、この国も安泰へ進む。だから関係修復をして行こうと、セラフィーレは心に決めている。
神子と第一王子殿下の成人祝賀会が、一緒に行われることも決まった。側妃の子であっても、第二王子殿下であり王の血筋を祝賀会に招待しない訳にはいかない。こちらも出席を断ることが出来なかった。
どうしたって、ゲームが始まれば隠れ様がないのだから。
レライエの机の上に、無造作に置かれた招待状があった。
(初めて会った時に、テオドールがディードをレイにあげちゃったし……)
色々と違うことが起きてるけど、厄災は起きないなんてことは、流石にないはず。だから、レライエが強くなるのは大事なことだ。
レライエは願い通り、ディードに師事し剣の訓練を受けている。最初は体格差がある中で、少しは優しくしても良いのではないかと思ったくらいだ。木製剣の持ち方から始まり、型を習い打撃の訓練に入ると、レライエはあざだらけになった。魔法で治癒するのは簡単だけど、自己回復の為にも化膿し悪化しそうな傷以外は、そのままにするようにと、ディードに嗜められた。簡単に治せると思うと無茶をする。
当たり前だが、怪我をしない方がいい。第二王子を特別扱いすることなく、正にスパルタで、ボロボロになるまで訓練をしている。
セーレは正直、魔法チートでレライエを守れば良いと思っていた部分がある。現代日本で生活していて、このように鬼気迫る状況を知らない。もしもセラフィーレがいない最悪の状態が来た時、怪我をしたまま戦う必要があるから。
「怪我をしても、隙を見て逃げるくらいになって下さい」
どんな状況でも動けないと駄目だという、ディードの言葉に重みを感じる。
(この人は本当にレイのことを大切にしてくれる)
それからは、魔法も甘やかすことなく教え、機転を効かせるために、色々な場面を想定して指導することにした。ただ、レライエの傷やアザは痛々しい。夜は最低限の癒しの魔法と、身長が急速に伸び出した彼の為に、筋肉を解す為にマッサージをセラフィーレが、レライエに施してから寝るのがルーティンに加わった。
成長痛もかさなっているので、マッサージは念入りにしてあげたい。
(推しの……筋肉が。ご褒美過ぎる)
「んん。セーレ様、そこ気持ち……いい」
「え、あっ……こ、こ、ここ? もう少し解す?」
「う……んん」
(ひゃーーー)
変態な妄想のせいで、どもってしまい恥ずかしい。レライエはベッドの上で腹ばいで上半身は裸だった。
真っ赤になっているだろう顔を、見せずにいられる背中側のマッサージは嬉しい。太もも裏に跨りグッグッと親指で押し、手のひらで円を描く様にすると、レライエの少し低くなった声にどきりとしてしまう。
「──はぁ……とてもいいです」
もう茹でダコみたいになっている顔は、水魔法で抑えるしかない。全部無駄に色気が増したレライエのせいだ。
実際のところ騎士のディードの方が、何倍も頼れるお兄さんになっていると思う。
(僕もディみたいに兄貴っぽくなりたかったんだけど、可愛らしい感じなんだよなぁ。すでに三兄弟の一番下みたいになってる。ううう)
今にも眠ってしまいそうになったレライエの背中を軽く揺さぶり、寝衣を着る様に促す。セラフィーレより逞しくなった腕が伸びてきて、向かい合わせに抱き締められた。
「レイ!寝ぼけちゃだめだよ。シャツ着て!風邪を引いてしまう」
「セーレ……が温かいから平気……」
「そんな訳ないって、魔導書なんだから」
「セーレ……様の魔力が、きっと相性が良いから、気持ちいい。このままがいい」
(いやいやいや。嬉しいけど、向かい合わせはきついんだって)
「こら、レイ!本当に風邪引くって」
「なら、ブランケットの中で、二人でくっついとけば、だいじょ……ぶ」
レライエの寝息が聞こえ始めた。こうなったら、朝までぐっすりコースになってしまう。魔法で引き寄せたブランケットを二人の体を覆う様にかけて、室内を暗くする。レライエが深く眠った後、セラフィーレは耳澄まし、離宮内をサーチしながら異常がないか確認する。今のところは、強い外敵が来ていないので平穏なままだ。
実は陛下からはきちんと、第二王子の予算が割り当てられていた。王妃派の文官などにより、数年間予算を横領されていた。王妃は気づいていて黙認していたみたいだが、セラフィーレはこれを見逃さなかった。魔法で偶然を装い陛下に気づかせただけ。
(予算を取り戻したのは大きいよね)
レライエを隠し護るよりは、敵対しない臣下として、いずれ王都を離れる計画を立てるつもりだ。第一王子殿下を脅かす存在ではなく、多少僻地いいので、王家の領地の一部分の領主になればいい。
別に第一王子殿下が、王太子として才能が無いわけではない。王太子としての重圧と、王妃の意地でこちらを敵対視しているだけなので、神子と殿下が上手くくっつけば、この国も安泰へ進む。だから関係修復をして行こうと、セラフィーレは心に決めている。
神子と第一王子殿下の成人祝賀会が、一緒に行われることも決まった。側妃の子であっても、第二王子殿下であり王の血筋を祝賀会に招待しない訳にはいかない。こちらも出席を断ることが出来なかった。
どうしたって、ゲームが始まれば隠れ様がないのだから。
レライエの机の上に、無造作に置かれた招待状があった。
590
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
妹に婚約者を取られるなんてよくある話
龍の御寮さん
BL
ノエルは義母と妹をひいきする父の代わりに子爵家を支えていた。
そんなノエルの心のよりどころは婚約者のトマスだけだったが、仕事ばかりのノエルより明るくて甘え上手な妹キーラといるほうが楽しそうなトマス。
結婚したら搾取されるだけの家から出ていけると思っていたのに、父からトマスの婚約者は妹と交換すると告げられる。そしてノエルには父たちを養うためにずっと子爵家で働き続けることを求められた。
さすがのノエルもついに我慢できず、事業を片付け、資産を持って家出する。
家族と婚約者に見切りをつけたノエルを慌てて追いかける婚約者や家族。
いろんな事件に巻き込まれながらも幸せになっていくノエルの物語。
*ご都合主義です
*更新は不定期です。複数話更新する日とできない日との差がありますm(__)m
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
【8話完結】勇者の「便利な恋人」を辞めます。~世界を救うより、自分の幸せを守ることにしました~
キノア9g
BL
「君は便利だ」と笑った勇者を捨てたら、彼は全てを失い、私は伝説の魔導師へ。
あらすじ
勇者パーティーの万能魔術師・エリアスには、秘密があった。
それは、勇者ガウルの恋人でありながら、家事・雑用・魔力供給係として「便利な道具」のように扱われていること。
「お前は後ろで魔法撃ってるだけで楽だよな」
「俺のコンディション管理がお前の役目だろ?」
無神経な言葉と、徹夜で装備を直し自らの生命力を削って結界を維持する日々に疲れ果てたエリアスは、ある日ついに愛想を尽かして書き置きを残す。
『辞めます』
エリアスが去った翌日から、勇者パーティーは地獄に落ちた。
不味い飯、腐るアイテム、機能しない防御。
一方、エリアスは隣国の公爵に見初められ、国宝級の魔導師として華麗に転身し、正当な評価と敬意を与えられていた。
これは、自分の価値に気づいた受けが幸せになり、全てを失った攻めがプライドも聖剣も捨てて「狂犬」のような執着を見せるまでの、再構築の物語。
【勇者×魔導師/クズ勇者の転落劇】
※攻めへのざまぁ要素(曇らせ)がメインの作品です。
※糖度低め/精神的充足度高め
※最後の最後に、攻めは受けの忠実な「番犬」になります。
全8話。
婚約破棄されて捨てられた精霊の愛し子は二度目の人生を謳歌する
135
BL
春波湯江には前世の記憶がある。といっても、日本とはまったく違う異世界の記憶。そこで湯江はその国の王子である婚約者を救世主の少女に奪われ捨てられた。
現代日本に転生した湯江は日々を謳歌して過ごしていた。しかし、ハロウィンの日、ゾンビの仮装をしていた湯江の足元に見覚えのある魔法陣が現れ、見覚えのある世界に召喚されてしまった。ゾンビの格好をした自分と、救世主の少女が隣に居て―…。
最後まで書き終わっているので、確認ができ次第更新していきます。7万字程の読み物です。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる