【完結】 魔導書の守護者は悪役王子を護りたい

Shizukuru

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22レライエ攻略 side神子

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 ゲームスタートまでこぎつけたのだから、失敗する訳にはいかないのだ。

「三年がかりの上に、チートがないって信じられない」

 地味に、魔法やマナーを習って来た。魔導書も神殿にあるものを譲り受けた。古そうではあるけれど、守護者は現れる様子がない。

 この世界にあるはずの三冊。課金すれば割と一冊は簡単に手に入る。他の二冊は、とんでもないぼったくり設定だった。ただ課金するだけじゃ無い、購入する場所に辿り着くのが難しいのだ。どうやって辿り着けるかは、神だか女神だかに会う必要があるって噂があるだけ。出来ればお金で解決したかったのに、今や課金自体が不可能だ。

 (一体どうなってるんだ? ステータスも見れないし、課金なんて出来ないじゃん)

 二葉は嫌な予感がしている。課金が出来ないのなら、努力と根性で手に入れる無課金仕様しかない。

 つまりは、攻略対象からの好感度を上げることだ。

 (今一番好感度が高いのは、第一王子殿下テオドール。いまいち好感度が低い感じがするのは、神官長サミュエル)

 甘い言葉の一つもかけてこない神官長サミュエルを、どう考えても攻略出来そうにない。出会った時が子供過ぎて対象外になった可能性があるので、正直……神様を恨みたい。

 (これが最後の機会なのに。何のために総愛されの世界にきたんだっつーの!)

 さらにゲームの中の隠しキャラは、難易度がます。その都度特別に現れるイレギュラー的な存在だ。簡単に特定出来ないという、割りとハードモードだ。

 (テオドールしか今の所、攻略出来そうにないけど……第二王子殿下レライエは、どうなんだろう?)

 難易度Maxだとしても、レライエの方が、神官長よりも近付けそうだと思った。隠れてしまっている隠しキャラも見つけきれない。なら、隠れていない攻略対象者の方が楽では無いだろうか?

 この三年間は、特にレライエに対して不遇な対応をさせていない。やんわりと王妃派にも関わらないように伝えていた。第一王子殿下に力添えするから、陛下を刺激しない方がいいと言っていた効果が出ているはず。

 成人祝賀会にも嫌がらずレライエは出席をしていた。照れたのか、あまり視線を合わせず、テオドールの言葉を覚えていて律儀に守っている真面目さも都合がいい。

 なんせ、あのゴミ……二葉と一緒に召喚されたを欲しがるくらいだ。意外に、簡単に落とせるかも知れない。

 なら、もっと交流する機会を増やすのはどうだろう?剣はディードに習っているのは予測の範囲内だ。レライエに接触すれば、ディードにも近付ける。二人とも手に入れられるかもしれない。接触する理由を見つけないと、やっぱり魔法を一緒に学ぶ……これなら、レライエがきっと喜んでくれるはずだ。魔法をまともに習っていないし、神子の願いなら神官長も拒めない。



 (どうせ苦労しなきゃいけないなら、難易度Maxの第二王子殿下レライエルートで魔導書を手に入れる)


【女神ヴィオラの厄災】を食い止めるなら、魔導書グリモアール守護者ガーディアンが必要なのに神殿には置いていない。過去に神子だった人が、使っていた魔導書だとか言っていたけれど……守護者ガーディアンが現れるチートは起きない。
 なら、本当にレライエルートに行った方が早い気がする。

──歳下だけど、かなりイケメンに育ってる。


「テオドールを優先しつつ、レライエに交流を図り……落とす」

 実際レライエは、美形で自然と目を引いた。護衛騎士としてのディードも素敵だった。

 (あの二人を手に入れたいな。隠しキャラは、厳しいからまだ保留にする。まだ特定できていないから、魔導書グリモアール守護者ガーディアンさえ手に入れれば、浄化だって早く終わる。攻略対象とイチャイチャしたい)


 明日にでも、神官長に提案してみようか?
 テオドールの機嫌を損ねないように、綿密な計画を立てて第二王子殿下レライエルートを試そうと、二葉は心に決めた。


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