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30実体化ふたたび②
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「レイ?」
「無茶は絶対にしないで下さい」
そっと触れる指に唇を当てられた。そしてもう一度、左手の青いダイヤモンドにレライエの唇が触れて、魔力が全身にめぐる。温かな魔力によって銀糸の髪が青く染まって、多分瞳の色も変化したと思う。
レライエが、指輪を見て俺の色って言ったことを思い出して、頬の色が染まった気がした。どうしよう、推しが格好良過ぎて心臓がバクバクする。
「レイ……あの?セバスさんとか、呼ぶ?」
「しばらく、二人だけで手を繋いだまま……送る魔力を調節しましょう」
「二人だけで?」
「一緒に寝る時と食事の姿は、他人には見せたくないので、その姿は俺だけに見えるようにして下さい。それから、ダンスは俺のリードで練習をしながら、実体化を訓練しましょう。無意識にならないように気をつけて。今姿を見せるのは、ディードだけにして下さい」
「う、うん」
二人立ち上がって向き合うと、腰に手を回されて距離が近くなった。胸を見てるのもなんだか変だからと、レライエを見上げた。実体化してない体には、体重が乗らない。ふわふわと軽くステップを真似るだけだ。それでも二人でダンスをしているように見える。足を踏んでも大丈夫なので、練習はここから始めるのが正解な気もする。
優しく笑う推しの顔が、綺麗で思わず声に出してしまう。
「レイ、大きくなって……ものすごく格好良くなったね」
「セーレ様は、変わらず綺麗です」
さらっと、すごいことを言ってくるので、心臓がもたない。
こんなに素直なキャラだった!?イケメンで、優しくて、スマートにエスコート出来る恐るべし十六歳だ。
「いつの間に、社交辞令が上手になったの?セバスさんにマナー以外も習っているとか?」
「──いつも、死が間近にあるのが普通だったんです。子供過ぎて、対処の仕方も分からなくて。今は大切な人を護れるかも知れない、そんな魔法をセーレ様が教えてくれました。ディードもあの時僕のところ来てくれたのは、セーレ様の持つ不思議な力のおかげだと思っています。身を守れる力をもっとつけようと思っています。セーレ様、先程の言葉は社交辞令ではありません」
真っ直ぐなレライエには、悪役なんて似合わない。
「でも、ダンスのステップを練習しながら、容姿を褒めるとか。慣れた感じがするから」
「本心からセーレ様を綺麗だと思っているので。自分の色に染まる人を誰にも渡したくありません」
魔導書守護者の特性の一つが、所有者の魔力に反応することだ。現存するであろう守護者付きの魔導書はたったの三冊だから、皆が独占したくて欲しがって争いが起きた。まだ実在すると思っているこの世界の人は、どれくらいいるのだろう?召喚された神子は、この世界を知っている可能性があるから、魔導書を探すはずだ。レライエと引き離されない為にも、恥ずかしいとかいってられない。やっぱりあの子だけにはどうしても、レライエを譲りたくない。
レライエが強くなっているように、セラフィーレもスキルを上げなければいけない。悪役王子にさせないのが、一番の目的なんだから。
(せっかく、レイが僕と離れたくないのなら。頑張らないとね!神子から距離を取れば大丈夫だ)
「レイ。僕は、レイとずっと一緒にいたい。一緒に出かけたり……ダンスは最終目標かな?成人祝賀会に参加のパートナーを目標にする。レイに恋人が出来たら、二人とも護るよ。セバスさんもメグもディードも。一緒に大切な人達を護ろうね」
「──恋人?」
「まだ、十六歳だから、まだ婚約の話もこないよね?テオドール殿下も、厄災に備えてまだ婚約しないと思うけど。神子と婚約の話は出てないのかな?」
ゆっくりとステップだけを通して試しているところだ。まずはレライエの足を踏まないこと、そして流される魔力を受け入れつつ、自身の変化を確認している。結界の分の魔力を使わなくていいことに、楽に繊細に魔力を受け入れることができている。
「セーレ様、苦しくはない?」
「うん。前より平気。指輪すごいね。僕より、レイが持った方が良かった気がするんだけど?」
「大切な人護れるようになりたいんです。本当なら全部俺が代わりたいし、頼って欲しいんですけどね」
「きっと、もう少しだよ」
レライエは、この先もっと魔力が増える。コントロールに苦しむくらいに。だから全部受け入れて、楽にしてあげるんだ。僕も、把握仕切れてない魔導書の中身を全部把握しよう。
「レイと人前でダンス出来たらいいね」
「もちろんです。ずっと一緒にいるのは俺ですからね」
「そうだね。この魔導書をずっとレイが持っていて。ねね、ダンス、やっぱりメグに教わらない?」
「もう少し訓練してからです。セーレ様は、ずっと俺だけのものですからね」
「──レイが必要としてくれるなら」
ウエスト辺りを両手で掴まれて、くるんと一回転した後にレイに抱き締められてダンスが終わった。
「無茶は絶対にしないで下さい」
そっと触れる指に唇を当てられた。そしてもう一度、左手の青いダイヤモンドにレライエの唇が触れて、魔力が全身にめぐる。温かな魔力によって銀糸の髪が青く染まって、多分瞳の色も変化したと思う。
レライエが、指輪を見て俺の色って言ったことを思い出して、頬の色が染まった気がした。どうしよう、推しが格好良過ぎて心臓がバクバクする。
「レイ……あの?セバスさんとか、呼ぶ?」
「しばらく、二人だけで手を繋いだまま……送る魔力を調節しましょう」
「二人だけで?」
「一緒に寝る時と食事の姿は、他人には見せたくないので、その姿は俺だけに見えるようにして下さい。それから、ダンスは俺のリードで練習をしながら、実体化を訓練しましょう。無意識にならないように気をつけて。今姿を見せるのは、ディードだけにして下さい」
「う、うん」
二人立ち上がって向き合うと、腰に手を回されて距離が近くなった。胸を見てるのもなんだか変だからと、レライエを見上げた。実体化してない体には、体重が乗らない。ふわふわと軽くステップを真似るだけだ。それでも二人でダンスをしているように見える。足を踏んでも大丈夫なので、練習はここから始めるのが正解な気もする。
優しく笑う推しの顔が、綺麗で思わず声に出してしまう。
「レイ、大きくなって……ものすごく格好良くなったね」
「セーレ様は、変わらず綺麗です」
さらっと、すごいことを言ってくるので、心臓がもたない。
こんなに素直なキャラだった!?イケメンで、優しくて、スマートにエスコート出来る恐るべし十六歳だ。
「いつの間に、社交辞令が上手になったの?セバスさんにマナー以外も習っているとか?」
「──いつも、死が間近にあるのが普通だったんです。子供過ぎて、対処の仕方も分からなくて。今は大切な人を護れるかも知れない、そんな魔法をセーレ様が教えてくれました。ディードもあの時僕のところ来てくれたのは、セーレ様の持つ不思議な力のおかげだと思っています。身を守れる力をもっとつけようと思っています。セーレ様、先程の言葉は社交辞令ではありません」
真っ直ぐなレライエには、悪役なんて似合わない。
「でも、ダンスのステップを練習しながら、容姿を褒めるとか。慣れた感じがするから」
「本心からセーレ様を綺麗だと思っているので。自分の色に染まる人を誰にも渡したくありません」
魔導書守護者の特性の一つが、所有者の魔力に反応することだ。現存するであろう守護者付きの魔導書はたったの三冊だから、皆が独占したくて欲しがって争いが起きた。まだ実在すると思っているこの世界の人は、どれくらいいるのだろう?召喚された神子は、この世界を知っている可能性があるから、魔導書を探すはずだ。レライエと引き離されない為にも、恥ずかしいとかいってられない。やっぱりあの子だけにはどうしても、レライエを譲りたくない。
レライエが強くなっているように、セラフィーレもスキルを上げなければいけない。悪役王子にさせないのが、一番の目的なんだから。
(せっかく、レイが僕と離れたくないのなら。頑張らないとね!神子から距離を取れば大丈夫だ)
「レイ。僕は、レイとずっと一緒にいたい。一緒に出かけたり……ダンスは最終目標かな?成人祝賀会に参加のパートナーを目標にする。レイに恋人が出来たら、二人とも護るよ。セバスさんもメグもディードも。一緒に大切な人達を護ろうね」
「──恋人?」
「まだ、十六歳だから、まだ婚約の話もこないよね?テオドール殿下も、厄災に備えてまだ婚約しないと思うけど。神子と婚約の話は出てないのかな?」
ゆっくりとステップだけを通して試しているところだ。まずはレライエの足を踏まないこと、そして流される魔力を受け入れつつ、自身の変化を確認している。結界の分の魔力を使わなくていいことに、楽に繊細に魔力を受け入れることができている。
「セーレ様、苦しくはない?」
「うん。前より平気。指輪すごいね。僕より、レイが持った方が良かった気がするんだけど?」
「大切な人護れるようになりたいんです。本当なら全部俺が代わりたいし、頼って欲しいんですけどね」
「きっと、もう少しだよ」
レライエは、この先もっと魔力が増える。コントロールに苦しむくらいに。だから全部受け入れて、楽にしてあげるんだ。僕も、把握仕切れてない魔導書の中身を全部把握しよう。
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「そうだね。この魔導書をずっとレイが持っていて。ねね、ダンス、やっぱりメグに教わらない?」
「もう少し訓練してからです。セーレ様は、ずっと俺だけのものですからね」
「──レイが必要としてくれるなら」
ウエスト辺りを両手で掴まれて、くるんと一回転した後にレイに抱き締められてダンスが終わった。
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