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29実体化ふたたび①
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かなりの量を占めていたらしい結界への魔力が、切り替わりものすごく体が軽い。いくらチートでも魔力が無限にある訳ではないので、こんなに楽だったのかと感激している。特に魔力を込めた訳でもないのに、言葉しか聞こえてないはずのディードと視線が合う。
手を振ると、ディードも手を振っていた。確かにディードには言葉を理解してもらうために魔力を使っていたけど、何故か姿が見えているみたいだ。
「ディ……もしかして僕のこと見えてるの?」
「ええ、いつも殿下と仲が良いんですねぇと、微笑ましく見ています」
「あ、あああ。ま、魔導書の中に一旦戻るよ!着替えてくる」
油断していた、疲れていたせいで結構ラフな姿だった。こんな素敵な指輪が似合わないほどのラフさだった。
「小さなセーレ様にお似合いな可愛いらしい服装ですよ。ただ下半身は少し透けてます。どうなんですかね……今レライエ殿下とくっ付いているから、認識出来てるのでしょうか?魔力供給がなくなったせいで存在が分かるようになった可能性もありますね。俺以外にも、魔力量次第で見えたりする人がでると、幽霊騒動になりそうですね」
魔力供給が確かになくなって余裕があるし、レライエとの魔力の相性もどんどん良くなっているのは確かだ。
「え?ディードには話かけるために、魔力を合わせてるけど……今の無意識状態だと、他の人にも見える可能性があるってこと?この半端な姿が?」
「セーレ様、一旦姿を消せますか?」
「レイ?分かったやってみるね」
魔導書の中に戻ってみた。これなら流石に見えないかな?少しドキドキしている。そんなに結界に魔力を消費してたんだと改めて思った。そうか、だからレライエと一緒に寝て回復させていたのか。推しを護るつもりが護られていたなんて、少し情けなくて悔しい。それでも思ってた以上にレライエが、魔力調節や魔法を使うことが上手くなっているのを実感する。
「セーレ様、俺には見えなくなりました。殿下は見えているのですか?」
「いや、俺も見えない。セーレ様は魔導書の中に戻ってるのですか?」
「うん」
「ちょっと顔を出せますか?俺の魔力を流し過ぎなければ、他人に姿は見えないでしょうか?」
太腿に乗る姿が見られるのは困る。餌付け状態も、推しと二人なら平気だった訳で、ただ毒見は絶対にセラフィーレがしたいから見えない状態を保ちたい。
ゆっくりと本から姿を出して見た。
「レイ……どう?」
優しく微笑んだレライエが、セラフィーレの髪の毛を大きくなった手でクシャリと触れてくる。すごいご褒美感に、顔が赤くなった気がして少しだけ視線を逸らす。
「ディードには、見えるか?」
「いいえ。姿は見えません。ただ……」
「ただ?」
「気配……を感じます。以前は気配も感じなかったんですが」
「これって、指輪のせい?外そうか?」
「そうしたら、結界をまたセーレ様が再構築するんですよね?それは反対です」
「レイは契約者だから見えてたと思う。レイの成長と僕との相性の良さなのかな?このまま中途半端な姿が見えて噂になったら、神子がここに来てしまうかも知れない。浄化するって言われたら……困る。それよりは、指輪を外した方が安心じゃない?」
今の状態だと、神子がここに来てしまうかも知れない。レライエを攻略する気だったらと、嫌な予感が消えない。神子はどうしたってこの世界の主人公で、レライエが憧れた唯一の人だ。本当に恋焦がれて、もしも本当に神子のところに行ってしまったら嫌だ。悪役王子にもさせたくないけど、それ以上に攻略されたくない。
──いけない。どうするかは、レライエの気持ち次第だ。
「指輪は、セーレ様の負担を軽くするはずです。結界は指輪でいきましょう。実体化を安定させたら良いだけなので、訓練頑張りましょう、ね?離れなければ、上手くいきそうですから、二年もあれば、二人で乗り越えて……目指せスロー……ライフ?ですね」
「でも、もしかしたら神子が、レイの立場を良くする人かも知れない。神殿からもレイを護ってくれたり……どうなるか正直分からないけど」
グッと引き寄せられて、魔導書から引き上げた。今やすっぽりと腕の中に収まってしまう自分が、恥ずかしい。
「ディード、見える?」
「いいえ。気配が感じるのは、俺がお二人のそばに、ずっといるからかも知れませんね。まずは、メグやセバスさんに見えるか、感じるか聞いてみる方がいいですね」
「そうか。少し二人で話していいか?ディード、席を外してくれないか?」
「分かりました。何かあれば呼んで下さい」
少し困り顔のレライエと二人で残されて、ディードが退出してしまった。
手を振ると、ディードも手を振っていた。確かにディードには言葉を理解してもらうために魔力を使っていたけど、何故か姿が見えているみたいだ。
「ディ……もしかして僕のこと見えてるの?」
「ええ、いつも殿下と仲が良いんですねぇと、微笑ましく見ています」
「あ、あああ。ま、魔導書の中に一旦戻るよ!着替えてくる」
油断していた、疲れていたせいで結構ラフな姿だった。こんな素敵な指輪が似合わないほどのラフさだった。
「小さなセーレ様にお似合いな可愛いらしい服装ですよ。ただ下半身は少し透けてます。どうなんですかね……今レライエ殿下とくっ付いているから、認識出来てるのでしょうか?魔力供給がなくなったせいで存在が分かるようになった可能性もありますね。俺以外にも、魔力量次第で見えたりする人がでると、幽霊騒動になりそうですね」
魔力供給が確かになくなって余裕があるし、レライエとの魔力の相性もどんどん良くなっているのは確かだ。
「え?ディードには話かけるために、魔力を合わせてるけど……今の無意識状態だと、他の人にも見える可能性があるってこと?この半端な姿が?」
「セーレ様、一旦姿を消せますか?」
「レイ?分かったやってみるね」
魔導書の中に戻ってみた。これなら流石に見えないかな?少しドキドキしている。そんなに結界に魔力を消費してたんだと改めて思った。そうか、だからレライエと一緒に寝て回復させていたのか。推しを護るつもりが護られていたなんて、少し情けなくて悔しい。それでも思ってた以上にレライエが、魔力調節や魔法を使うことが上手くなっているのを実感する。
「セーレ様、俺には見えなくなりました。殿下は見えているのですか?」
「いや、俺も見えない。セーレ様は魔導書の中に戻ってるのですか?」
「うん」
「ちょっと顔を出せますか?俺の魔力を流し過ぎなければ、他人に姿は見えないでしょうか?」
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ゆっくりと本から姿を出して見た。
「レイ……どう?」
優しく微笑んだレライエが、セラフィーレの髪の毛を大きくなった手でクシャリと触れてくる。すごいご褒美感に、顔が赤くなった気がして少しだけ視線を逸らす。
「ディードには、見えるか?」
「いいえ。姿は見えません。ただ……」
「ただ?」
「気配……を感じます。以前は気配も感じなかったんですが」
「これって、指輪のせい?外そうか?」
「そうしたら、結界をまたセーレ様が再構築するんですよね?それは反対です」
「レイは契約者だから見えてたと思う。レイの成長と僕との相性の良さなのかな?このまま中途半端な姿が見えて噂になったら、神子がここに来てしまうかも知れない。浄化するって言われたら……困る。それよりは、指輪を外した方が安心じゃない?」
今の状態だと、神子がここに来てしまうかも知れない。レライエを攻略する気だったらと、嫌な予感が消えない。神子はどうしたってこの世界の主人公で、レライエが憧れた唯一の人だ。本当に恋焦がれて、もしも本当に神子のところに行ってしまったら嫌だ。悪役王子にもさせたくないけど、それ以上に攻略されたくない。
──いけない。どうするかは、レライエの気持ち次第だ。
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