【完結】 魔導書の守護者は悪役王子を護りたい

Shizukuru

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52攻略対象者たち

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 突然、傍に来たレライエに抱きしめられ言葉を失ってしまう。

「駄目です。行かせない。なぜ?神子の元に行こうとするんですか?」

 強制力がなかったとしても、この世界が終わることになったら別れが早まるのだ。この先に一緒にいる為の選択なら、間違いではないと思う。

「このままじゃ、厄災が終わらない。神子が魔導書と契約しなければ、キリエのような存在まで呪われてしまう!浄化に力を貸せる者がいなくなれば、王国の被害が拡がってしまうから。それは止めたい」

「セーレ様と神子の魔力は合わなかった。あんなに穢れたのに。渡せる訳がない!俺と契約を解除するなんて許さない」

 皆からも隠されるかのように、すっぽりと抱きしめられている。温かくて、嬉しくてずっとこのままでいたいくらいだ。

「この世界が壊れてしまうのは嫌だから」
 本来、神子の力が足りないなんて

 星七が、邪魔をしたのなら浄化を終わらせる力を貸せばいい。そうすれば、世界は元に戻っていくのだから。

 セバスも、メグも、ディードも既に家族のように大切な人たちで誰も失いたくない。何よりレライエは、星七が転生を望み、誰よりも護りたかった大切な人。

 (──大好きなんだ)

 ギュッと抱きしめ返す指先に力が入る。この体温も、匂いも、失いたくない。

「だから契約は解除しても、また戻るから。待ってて」

 誰かが鼻をすする音がした。しんみりとした雰囲気の中、突然パンと手を叩く音が響いた。

 音の方にいたのは、胸の前で手を合わせているメグだった。

「何、言ってるんですか?」
 しんみりとしていた雰囲気に、メグが男らしく足を広げ仁王立ちしている。メイド姿なのに、男気が溢れていた。メイシアの口調になっている。

「何って……?」

「そもそも、あの神子に浄化の力はなさそうですが? セーレ様とレライエ殿下が、浄化すれば問題ないのでは? それに、もう一冊増えたので、誰か契約して浄化に帯同さえすれば、神殿も文句言えないと思いますけどね」

「え?でも、召喚された神子が……この世界を救わないと……?」

「能力の問題です。レライエ殿下の魔力と相性がいいのはセーレ様で、俺が見る限りキリエには、相応しい相手がいる」

 ざわざわと、誰なのかを皆がお互いに顔を見合わせていた。
 ディードもレライエも、メイシアに戻っているメグの言葉を待っている。

「とにかく……成人祝賀会の準備を進めましょうね。セーレ様が、レライエ殿下と離れる方が、世界が壊れそうなので。必要なら向こうから、何か言ってきますわ」

「でも」

「セーレ様は、私が何者か知っているのですから。キリエはここにいる間、私がしますね」

「な、何を言ってるんだ? 俺の相手がいるはずがない」
「お子様は、大人しく待っててください」

 キリエの傍に行き、メグは襟元から銀のチェーンにぶら下がっているロケット部分をパチンと開いた。その手にある魔導書を取り上げると、その小さなロケット部分に本は吸い込まれていく。

「な、おい!」

「このままだと、元の姿には戻れませんわよ!しばらく隠れて力を温存しなさい。本当に感謝して下さいませ」

 そしてキリエも消えた後に、そのロケットをパチンと閉じる。

「メ……グ? キリエは?」
「お子様は寝る時間なんですよ。ふふ」

「セーレ様。我々は、レライエ殿下とセーレ様に力が及ばないかも知れませんが、お二人の為ならこの身を賭しても構わないのです」

「ディ。でも」
「この離宮も、全部護って下さっているのは、セーレ様です。レライエ殿下が、無事にここまで生きて来られたのもセーレ様がいたからです。そんな悲しい顔をして、神子の元へは行かせません。浄化の役割をセーレ様がすると言うなら、一緒に行きます」

 攻略対象たちが、格好良すぎてなんて会話をしていいのか分からなくなってきた。


 本当──に、このままここにいて問題ないのだろうか?メイシアは、特別な隠れキャラなのは間違いない。

 二冊目の魔導書が、現れたのは一体どういうことか? そして、キリエに相応しい相手が、誰なのか分からない。


「──メイシアが、キリエの?」

 スッと人差し指を立てて、(シッ)と唇を動かした。
 もう少しだけ、待ってもいいのかも知れない。神子と契約しなくていいのなら、レライエと共に浄化をする旅をしてもいい。

 神殿や王妃派の動き次第なら、レライエの成人祝賀会に、何か動きがあるはずだ。


「レイ……の、傍にいていいのかな?」
「もちろんです。俺のパートナーはセーレだけです」



 そして、王宮へと行く日が来た。






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