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34.パーティの後で①
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マリア様は、始終ご機嫌でパーティを過した。どうやら、お酒の匂いで反応するみたいで、飲んでいないのにフラフラして見える。キース様が呆れて、部屋に戻せないか侍女の方と話をしている。
キース様は、意外に面倒見がいいのだ。
何となく、離れた所でその様子を見ていると人混みの中から逃げてきたカイル様と目が合った。
「シェリルこんな所にいたのか? 探したんだ。それにちゃんと食べたか?」
「はい。それより部屋に帰りますか?」
「もしかして待っていたのか?なら、俺の部屋で少し話さないか? 」
「すみません。今日は遠慮しても良いですか?──カイル様は、ゆっくり休んだ方が良いと思います。もしお疲れならポーションを用意しましょうか?」
ため息が聞こえる。
気を利かせて休ませてあげるべきだと思ったのに。また間違えたかも知れない。従者としてマーティス様に及ばない。
「本当に疲れてませんか?」
「なら、シェリルの部屋を見せてくれないか?」
「ポーションなら届けに行きますよ?」
「そうじゃなくて、少し話がしたいんだ。ここじゃ、また囲まれ兼ねない」
また、周りに少しづつ人が増えてきた。
「わかりました」
今回は、なぜか客室用の部屋を用意された。従者には勿体ない位の綺麗な部屋だ。
部屋に案内して、カイル様にソファをすすめる。
「良かった。まともな部屋だ」
安心したのか、優しく微笑んでいる。
ちょっと昔を思い出すようなそんな笑顔だった。出会った頃、優しくされてたんだ。
それを、台無しにしたのは自分だ。
カイル様に迷惑をかけたくない。
途中で頼んでいたお茶が届いた。それをカップに注ぎ差し出すと、僕にも座るようにと言う。
「この部屋は、手配してくださったのですよね? 色々ありがとうございます。雑用なのに、部屋まで本当にすみません」
ガタッと音を立てて、少し立ち上がりそうな勢いで、カイル様が僕の手を握った。
「あの?」
「シェリルは、もう雑用係じゃない。魔法師としてメンバーだと明日皆にきちんと伝える」
真剣な顔をしていてなんて言っていいか分からない。
「あの。そんな事しなくても……虫除けはします」
何故か、カイル様が傷付いた顔をする。
「シェリルが居なかったら、聖女の髪飾りは手に入っていない」
背中のクロを一瞬カイル様が見たような気がした。
「勇者の願い石を身につけているから、聖女の髪飾りの意思が流れてきた。お前がいいと言ったのに、お前の願いを受けてマリアの事を受け入れたんだ」
『本来は、マリアが相応だろうな。だが、お前の瞳に惹かれるのだろう』
そう、クロが言っていた。
めずらしい琥珀の瞳が気になるだけなんだ。
「シェリル?」
「いえ、なんでもありません」
「この先、残りの聖遺物を手に入れる為に、シェリルは必要なんだ」
そうだ全て魔王討伐の為なのだ。聖遺物を手に入れるための、テイマーの力。
もっと凄い能力の方が、後々は役に立つ。それに僕では、皆納得なんてしないと思う。
「僕では足を引っ張りかねません……聖遺物を集めるまでは出来る事はします。今まで通りの方が、きっといいです。皆様のためにもSSランクの方を見つけましょう。今回はクロ……のおかげだから。僕は大したことしてないです」
手を離してくれない。どうしようか困っていると、背中のクロが飛び出して来た。
そして、カイル様の手に爪を立てたのだ。
「うわっ、いて」
手が離れた。テーブルの上で固定されていた手を引く。
「カイル様ごめんなさい。クロ……ダメだよ」
慌ててクロを抱きしめた。
キース様は、意外に面倒見がいいのだ。
何となく、離れた所でその様子を見ていると人混みの中から逃げてきたカイル様と目が合った。
「シェリルこんな所にいたのか? 探したんだ。それにちゃんと食べたか?」
「はい。それより部屋に帰りますか?」
「もしかして待っていたのか?なら、俺の部屋で少し話さないか? 」
「すみません。今日は遠慮しても良いですか?──カイル様は、ゆっくり休んだ方が良いと思います。もしお疲れならポーションを用意しましょうか?」
ため息が聞こえる。
気を利かせて休ませてあげるべきだと思ったのに。また間違えたかも知れない。従者としてマーティス様に及ばない。
「本当に疲れてませんか?」
「なら、シェリルの部屋を見せてくれないか?」
「ポーションなら届けに行きますよ?」
「そうじゃなくて、少し話がしたいんだ。ここじゃ、また囲まれ兼ねない」
また、周りに少しづつ人が増えてきた。
「わかりました」
今回は、なぜか客室用の部屋を用意された。従者には勿体ない位の綺麗な部屋だ。
部屋に案内して、カイル様にソファをすすめる。
「良かった。まともな部屋だ」
安心したのか、優しく微笑んでいる。
ちょっと昔を思い出すようなそんな笑顔だった。出会った頃、優しくされてたんだ。
それを、台無しにしたのは自分だ。
カイル様に迷惑をかけたくない。
途中で頼んでいたお茶が届いた。それをカップに注ぎ差し出すと、僕にも座るようにと言う。
「この部屋は、手配してくださったのですよね? 色々ありがとうございます。雑用なのに、部屋まで本当にすみません」
ガタッと音を立てて、少し立ち上がりそうな勢いで、カイル様が僕の手を握った。
「あの?」
「シェリルは、もう雑用係じゃない。魔法師としてメンバーだと明日皆にきちんと伝える」
真剣な顔をしていてなんて言っていいか分からない。
「あの。そんな事しなくても……虫除けはします」
何故か、カイル様が傷付いた顔をする。
「シェリルが居なかったら、聖女の髪飾りは手に入っていない」
背中のクロを一瞬カイル様が見たような気がした。
「勇者の願い石を身につけているから、聖女の髪飾りの意思が流れてきた。お前がいいと言ったのに、お前の願いを受けてマリアの事を受け入れたんだ」
『本来は、マリアが相応だろうな。だが、お前の瞳に惹かれるのだろう』
そう、クロが言っていた。
めずらしい琥珀の瞳が気になるだけなんだ。
「シェリル?」
「いえ、なんでもありません」
「この先、残りの聖遺物を手に入れる為に、シェリルは必要なんだ」
そうだ全て魔王討伐の為なのだ。聖遺物を手に入れるための、テイマーの力。
もっと凄い能力の方が、後々は役に立つ。それに僕では、皆納得なんてしないと思う。
「僕では足を引っ張りかねません……聖遺物を集めるまでは出来る事はします。今まで通りの方が、きっといいです。皆様のためにもSSランクの方を見つけましょう。今回はクロ……のおかげだから。僕は大したことしてないです」
手を離してくれない。どうしようか困っていると、背中のクロが飛び出して来た。
そして、カイル様の手に爪を立てたのだ。
「うわっ、いて」
手が離れた。テーブルの上で固定されていた手を引く。
「カイル様ごめんなさい。クロ……ダメだよ」
慌ててクロを抱きしめた。
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