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第2章 出会い

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記憶が曖昧だけど、それでも知らない世界にいるようにしか思えない。

なぜか濡れていた。

それは、水の中にいた気がするから、落ちたのかも知れない。

「その水が、ここに運んだのかな?」

熱がまだあったから、ガイア様が強制的眠らせたんだろうな。

頭の中がスッキリしている。

「なんか、ガイア様みたいな人がそばにいた気がするんだよね」

背が高くて、大きな手。
多分だけど、白銀のような髪の人。

「顔は全然覚えていない。あ、でも青い綺麗な色の瞳だった気がする」

声は思い出せない。

でも、名前をたくさん呼んでくれてた。

と、思う。


「獣人が奴隷……そんなこと無かったよね?」


みんな仲が良かったはずだ。

それに、獣人じゃなくて。違う言い方だと思う。
落ちたショックで、記憶がおかしいなら、もう一度何処かで試したらいいのかな?


水に飛び込んでみようかな?
ガイア様とのキス……あれはどちらも治療だから、問題ないことだよね。

『穢れてはいけない』

でも、本当に耳が消えたりするのがガイア様とのキスなら、奴隷にならない為にもお願いするしかない。

奴隷……肉体労働とか、最悪性的な扱いを受けるとか……怖い。

「獣人の人達は、そんな扱いをずっと受けているなんて。信じられない。他の人達も、ガイア様とキスしたら人型になるのかな?」

不思議な力…魔術を持っているって話だから、何か術を使ったのかな?でも、ガイア様自体も分からなかったみたいだから。違う作用が起きたのかもしれない。

相性がいいとか?
そう言う性的な意味じゃなくて、持っている力の相性のことだから。

思わず赤面してしまう。

「猫ちゃん……って、言ってたからガイア様にしてみれば、捨て猫とか拾い猫で面白がってるんだよ」

思わず唇をなぞる。

「治療だから、ね。でも、2回目の時は、舌が絡んできた。ちょっとだけ、変な気持ちになって……」

お腹が疼くような……?後ろも変な感じがしたけど。

「あ」

思わずお尻を触る。

「そ、そうだよ。尻尾が消えてるんだもの。変なの当たり前だ!
何時もあるものが無いんだから」

鏡をみたいな。

この部屋に鏡は、あるのかな?

ゆっくりと体を起こす。急に起きたら、また振らついてしまう。

立てるかな?

壁側を支えにして両足を付けて、ゆっくりと立ち上がる。

「そう言えば、何も食べてなかった気がするけど?お腹が空いてるような?でもあまり気にならないような。
自分の感覚が、おかしいみたいだなぁ。この世界って一体何なんだろう?」

窓がある。外も見たいな。何か思い出せるかも知れない。
ゆっくりと、壁伝いに歩いていく。

あ、町?
森の中からいつ移動してきたのかな?

外に出てみたい。
いつも誰かが側にいて自由があまり無かった……?
前は、そうだったのかな?色々、ふっと思い出すけど、人の顔は出てこないな。

外かぁ。いつ耳が元に戻るか分からないからまだだめだよね。でも、ガイア様と一緒なら行けるのかも知れない。

「外のことは、ガイア様に相談するとして、耳とかお尻を自分で見てみたいな」


クローゼットの中に鏡あるかな?

そっと取っ手を握る。開いた扉の裏側に大きな姿見が付いていた。

うわ。
本当に猫の耳がない。
髪の毛を指でいじる。
「耳もないけど、真っ黒だ」

『ユラ綺麗だ』
「全然綺麗じゃない……」

『この髪飾りを付けて』
「​───髪飾り?」

『お前には、私の青が良く似合う』
「青の髪飾り?ないよね?寝てたからガイア様が何処か置いてくれてるのかな?まさか、水中か森に落としたとか言わないよね」

胸がザワつく。

あれは、大切なもの。
どうしよう。この家にあるかを確認しなきゃ。

水中とか、森だったらどうしよう。

耳も尻尾もない上に真っ黒とか、変だよね。その上、多分大切だと思う髪飾りもないなんて。元の場所に帰れる気がしない。

鏡の前で、ズボンを下げて紐のパンツも外してみた。
お尻を鏡に向けて見てみる。
本当に尻尾がないんだな。
へんなの。


「何をしているんだ?」


この声?

え?いつドアから入ってきたの?
ガイア様が、私の方へ近づいてきた。

え?あれ……今って前が丸見え?


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