【完結】黒猫は、魔術師のキスに翻弄される。

Shizukuru

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第3章 フラン辺境伯領

13 ガイアの想い

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やばい……可愛い。
なんて、可愛いのだろう。

「本当に猫みたいだ」
懐かれたことはないが。見たことはある。
逃げたり、隠れたりしたかと思えば構ってくれと邪魔をしてきたり。すりすりと甘えてきたり。尻尾だけ擦り寄せてきたりとか。

なぜかそばに行くと引っ掻かれてしまって。懐かれた記憶がないな。

その点、ユラは自分から擦り寄ってきた。
可愛すぎて、殺されそうだ。
頬ですり寄ってくるとか、その可愛い唇が首筋に触れてくるとか。

「帰したくない」

思わず呟いて、軽く首を振る。
絶対に言ってはいけない言葉だな。

「一体、何処から来たんだ?」

この世界が合わないのだろうか?
あの印が、気になって仕方がない。
美しい花の模様なのに何故か禍々しさを感じてしまう。

「​────所有印みたいだ」

俺のものだと、触るなと言われているみたいだった。

「魔術とは、違うな」
だが、どこかで見たかも知れない。魔術書、歴史書……古代魔術?禁書だろうか?
何か、忘れてないだろうか?

少し調べてみるか。






「髪飾り……」

ユラの大切な物。
尊敬している奴から貰ったようだ。

ピアスとバングルは、恋人の振りをして俺と揃いにすることにした。全てユラを守る為だ。
迫られないように牽制するために必要な物。

だが、その髪飾りが見つかったらどうするのだろうか?

身に付けるだろうな。
別の男からもらった物を嬉しそうに付けたりするのだろうか?

仕方ないことを考えている自分に嫌気がするな。
それにしても付けていただろうか?初めて会った時、ずぶ濡れだった。


水の中なら、探せない。
そんな場所がない。
洞窟の周辺を探しに行くか。

王都から獣人捕縛が来ているなら、逃げている獣人がいる可能性が高い。どちらにも、狙われないようにしないと不味い。逃げている獣人の全てが良い奴かどうかなんて分からない。
酷い扱いを受けていたのなら、人を恨んでいる場合もある。

優遇されている獣人を恨むことだってあるだろう。耳は絶対に隠さないと危険だ。

とにかく、全ての危険は排除していく。

ユラは、綺麗すぎるんだ。見た目も心も。

純粋で、簡単に騙されてしまいそうだから、心配になる。

俺の判断を待つように言い聞かせよう。

逃げている獣人のことを調べておかないとな。リオに相談して先に保護すべきだな。
対処は、リオに任せたら問題ないだろう。


そうすれば王都の捕獲者達も帰るだろう。

全て、ユラの安全が最優先だ。



リオにユラを会わせないとな。護る為には味方も必要だ。でも、この不思議な状態は絶対に言えない。
恋人で通すが、それはそれで憂うつなのは変わらないな。


いつもは、面倒になることも護りたい子がいるだけで、先回りしようとするとか、自分で笑ってしまうな。


俺にあの子を護れるだけの力があるといいのに。

あの禍々しい花の印も調べなければならない。


護りたい。それだけ……違う、な。
帰さなくて済む方法も、探したい。ユラに内緒で進めるしかない。



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