7 / 132
7 世界のへそ
しおりを挟む
エリア・エージャンを出て北に向かうと、壁がある。高さ四千メートルを超える人造の壁。世界中の資金と技術と労力を集約して建設された、直径百キロの地域を囲む壁の内側には、人類の葬り去るべき後悔が詰まっていた。かつて世界中のエリアにあった、あらゆる恐怖、あらゆる悪徳、あらゆる負の遺産を放り込んで、封印した禁断の土地。エリア・エージャンが神魔大戦後の新世界における中心たる地位を手にし得たのは、この地にもっとも近かった事も理由の一つである。
その地はいつしか『デルファイ』と呼ばれるようになった。それは古の神話の時代、世界のへそと謳われた都市国家の名前。
デルファイの中心部の砂漠、俗に緩衝地帯と呼ばれる場所を、馬車が走っていた。いや、正確には馬車ではない。車を引いているのはヤギだ。鋭い大きな角を誇る、体高二メートルはあろうかという巨大な茶色いヤギが二頭、車を引いている。
このヤギは、かつて世界中に大繁殖した生体兵器の遺伝子を受け継いでおり、デルファイの中では野生化している。正しくトレーニングすれば優秀な使役動物となるが、間違った扱いをすると暴走する。具体的には人間を食う。なのでほとんどは狩り殺され、生き残った数十頭がデルファイの中に捨てられたのだ。
そのヤギ車が進む先には、丸太で組まれた粗末な検問所があった。検問所の前には槍と簡素な鎧で武装した門番が居る。ただし人間の顔はしていない。向かって左は猫の顔、右はニワトリの顔だ。ここから先は、獣王ガルアムの支配する獣人の街、ウルフェン。
ズマは森を歩いていた。一人きりで歩いていた。今頃3Jとジンライはウルフェンに着いた頃だ。ジンライ一人で大丈夫だろうか。やはり自分もついて行くべきだったのではないか。そうは思ったものの、実際のところ、ズマはウルフェンには入れない。入れば大変な事が起こる。いや、入らなくても起こるかも知れない。なら余計について行ってはいけないのだが、それでも3Jが心配で仕方ない。
とは言え、3Jから託された仕事を放り出す訳にも行かず、ズマは悶々とした気持ちのまま森の小道を歩いていた。向かうのは森の奥。デルファイ全体の面積の三割を占める広大な天然林を護る、たった一人の管理人の元へ。
だが。何だかおかしい。この森に暮らしているのは管理人一人だけのはず。なのに他のニオイがする。血のニオイが混ざっている。ズマの敏感な嗅覚は、それが人間の血であることまで突き止めていた。
マズいぞ。面倒臭い事に巻き込まれるかも知れない。さっさと用事を済ませてダランガンに戻ろう。そう思った瞬間である。
「いやああっ!」
森に悲鳴が響いた。あちゃあ。どうする。ズマは悩んだ。もしあの悲鳴が人間だとしたら、何も知らずにこの森に迷い込んだのかも知れない。だが助けてやる義理はないし、そもそも森にだって人間を食う権利がある。そうは思うのだけれど。
「ああもう面倒臭え!」
考えるのは苦手だ。おまえは考えなくていい、まず動け。3Jはいつもそう言う。ならば。ズマは声のした方向に走った。
ウルフェンの埃まみれの大通りをヤギ車は進む。先導するのはロボット馬にまたがった、ブタ顔の獣人。通りの両脇には建物が並ぶが、どれも木造のあばら屋だ。大昔、西部劇と呼ばれた映画があったが、あそこに出て来る町並みを、何割か酷くしたような景色だと思えば良い。
直線に進む大通りの突き当たりには、石造りの豪奢な屋敷があった。西部劇の世界にタージマハルがそびえ立っているかの如き違和感である。その正面出入り口の門にまで、ヤギ車は誘導された。
正面の門にはネズミ顔の小柄な獣人が、十人ほどウロウロしている。みな腰に刀を引きずるように差しているところを見ると、門番なのだろう。
ブタ顔がネズミ顔にへりくだって要件を話した。
「ガルアム様に面会を希望している者を連れてきたのですが」
すると一番立派な鎧を身につけた、隊長らしきネズミ顔が、腕を組んでこう言った。
「約束のない者には、ガルアム様はお会いにならない」
ブタ顔はヤギ車を振り返った。
「と、いう事なんだが」
ヤギ車の御者台に乗っていたジンライが、ふわりと地上に降り立つ。実際には地上高三十センチほどの位置に浮いているのだが。ジンライは慇懃な態度で一礼すると、こう伝えた。
「3Jが面会のため直々に見参いたした。獣王ガルアム殿にお取り次ぎ願いたい」
「す、3J!」
その名前は効果覿面、パニックを起こさせた。ネズミ顔たちは慌てふためき、右往左往し、立派な鎧を着込んだ隊長は、しばしオタオタした後、腰にぶら下げた無線機を口に当て、早口でまくし立てた。
「3Jが、あの、あの3Jが、ガルアム様にご面会を求められておりますが!」
言葉の使い方がムチャクチャになっている。だが無線の向こう側は状況を理解していないのか、尊大な声でこう返答してきた。
「いまガルアム様はお休み中だ。誰であろうと面会など認められない」
哀れなネズミ隊長は、怯えきった顔でジンライを見た。
「と、という事なのですが、その、これは私が言っている訳ではなく」
「隊長殿」
ジンライは穏やかに話しかけた。
「は、はい」
「拙者は3Jが面会に来たと申したのだ。拒否をして良いとは申しておらぬ」
隊長の顔から音を立てて血の気が引くのが、誰にもわかった。震えてかすれた声で、こうたずねる。
「あ、あの、では、どうすれば」
「これから拙者の申す事を、上に伝えよ。一字一句違えずに、そのまま伝えよ。良いな」
隊長はガクンガクンとうなずく。それを見たジンライは、満足げにこう告げた。
「では、戦争を始める」
その姿は歪んだワイングラスのようにも見える。毒々しい赤。ウネウネと動く蔓で獲物を捕らえた巨大なオニクイカズラは、いまそれを捕食袋に飲み込もうとしていた。だが間一髪、ズマの爪が蔓を断ち切り、巻き取られた獲物を奪い去る。そして木の枝から枝へ飛び渡り、そこから離れた。オニクイカズラは執念深いのだ。早く離れなければ。
魔女ダラニ・ダラの支配する昆虫人の街ダランガンには教会があった。しかし信者など誰も居ない。昆虫人は神など信じないからだ。聖書を読む神父も居ない。ただ一人の若い尼僧が日々祈りを捧げていた。彼女は昆虫人ではない。赤い髪の、人間の女性に見える。
彼女はデルファイ各地を回り、親のない子を集め、教会の敷地で孤児院を開いていた。だが経営は苦しく、日々のパンを買う金にも事欠く有様。今日も今日とて借金取りが入り口で怒鳴り声を上げている。
「だーかーら、今日が期限だって前から言ってたよね!」
服を着たカマキリが、ドアをガンガン叩く。尼僧はとにかく頭を下げ、平謝りするしかなかった。
「申し訳ありません、もう少し、もう少しだけ待ってください」
「じゃあ返す当てあるの? 元金が返せない、それどころか利子も払えないのに、返せる訳ないよね」
「でも、子供たちのパンにどうしてもお金が必要なんです。神様は善行を見ていてくださいます。どうかもう少し待ってください」
「神様とか信じてないんで、どうでもいいから。どうしても返せないんなら、そうだな、体で返してよ」
「は?」
思わず顔を上げた尼僧の首を、カマキリの鎌がつかむ。ギリギリと音を立てて締め付ける。カマキリは言った。
「人間の肉って柔らかそうだよね。腕一本でいいからさ、食べさせてよ。そうしたら金は来月まで待ってやるから」
しかしカマキリは気付かなかった。首を絞められて苦しげな尼僧の両目から、黄金の光が放たれようとしていた事に。そのとき。
教会内の天井辺りから、数百本の白い糸のような物が飛び、カマキリの体に巻き付いた。
「えっ?」
そして、あっと言う間もなく、カマキリは天井へと持ち上げられた。そこには暗黒の空間が広がっている。カマキリの体は、暗黒の中に音もなく飲み込まれ、それっきり。二度と姿を現さない。その代わり、暗黒空間から出てきたものがある。逆さになった、巨大な老婆の頭部。
尼僧の目は、その老婆をにらみつけている。
「もうママ、いい加減にして」
「ママはおやめ、クリア。アタシにも威厳ってもんがあるんだ」
この巨大な老婆こそ誰あろう、このダランガンの支配者、ダラニ・ダラである。しかしクリアと呼ばれた尼僧は、叱りつける勢いで言葉を発した。
「ママのせいでまた、お金を貸してくれる人を探さなきゃならないでしょ」
「金ならアタシが出すって言ってるだろう。何であんな高利貸しのクズに頼る必要があるんだい」
「神の教会は、人々に支えられてこそ価値があるの」
「神なんて誰も信じちゃいないんだよ」
「いまはそうでも、いつかみんな信じてくれるようになるの!」
クリアの口調は、駄々っ子のようにダラニ・ダラには思える。ため息を一つつくと、周囲を見回した。
「ところで、3Jはどうしたね」
「知りません。今朝ウルフェンに行くって言ってたけど……」
不意に心配になったのか、クリアは母親の顔ををのぞき込むように見つめた。
「何かあったの?」
「さあね。まだわからんよ」
ダラニ・ダラは目をそらした。イ=ルグ=ルが活動を再開した事は、彼女も感知している。だがいつ目が覚めるのかなど、知れたものではない。明日かも知れないが、千年後でもおかしくはないのだ。なるようにしかならない、それが魔女ダラニ・ダラの正直な見解であった。
「まあ何にせよ、ガルアムと揉めなきゃいいんだけどねえ」
魔人同士で戦争なんてご免だよ。ダラニ・ダラはそうつぶやきながら、暗黒空間へと身を沈めて行った。
その地はいつしか『デルファイ』と呼ばれるようになった。それは古の神話の時代、世界のへそと謳われた都市国家の名前。
デルファイの中心部の砂漠、俗に緩衝地帯と呼ばれる場所を、馬車が走っていた。いや、正確には馬車ではない。車を引いているのはヤギだ。鋭い大きな角を誇る、体高二メートルはあろうかという巨大な茶色いヤギが二頭、車を引いている。
このヤギは、かつて世界中に大繁殖した生体兵器の遺伝子を受け継いでおり、デルファイの中では野生化している。正しくトレーニングすれば優秀な使役動物となるが、間違った扱いをすると暴走する。具体的には人間を食う。なのでほとんどは狩り殺され、生き残った数十頭がデルファイの中に捨てられたのだ。
そのヤギ車が進む先には、丸太で組まれた粗末な検問所があった。検問所の前には槍と簡素な鎧で武装した門番が居る。ただし人間の顔はしていない。向かって左は猫の顔、右はニワトリの顔だ。ここから先は、獣王ガルアムの支配する獣人の街、ウルフェン。
ズマは森を歩いていた。一人きりで歩いていた。今頃3Jとジンライはウルフェンに着いた頃だ。ジンライ一人で大丈夫だろうか。やはり自分もついて行くべきだったのではないか。そうは思ったものの、実際のところ、ズマはウルフェンには入れない。入れば大変な事が起こる。いや、入らなくても起こるかも知れない。なら余計について行ってはいけないのだが、それでも3Jが心配で仕方ない。
とは言え、3Jから託された仕事を放り出す訳にも行かず、ズマは悶々とした気持ちのまま森の小道を歩いていた。向かうのは森の奥。デルファイ全体の面積の三割を占める広大な天然林を護る、たった一人の管理人の元へ。
だが。何だかおかしい。この森に暮らしているのは管理人一人だけのはず。なのに他のニオイがする。血のニオイが混ざっている。ズマの敏感な嗅覚は、それが人間の血であることまで突き止めていた。
マズいぞ。面倒臭い事に巻き込まれるかも知れない。さっさと用事を済ませてダランガンに戻ろう。そう思った瞬間である。
「いやああっ!」
森に悲鳴が響いた。あちゃあ。どうする。ズマは悩んだ。もしあの悲鳴が人間だとしたら、何も知らずにこの森に迷い込んだのかも知れない。だが助けてやる義理はないし、そもそも森にだって人間を食う権利がある。そうは思うのだけれど。
「ああもう面倒臭え!」
考えるのは苦手だ。おまえは考えなくていい、まず動け。3Jはいつもそう言う。ならば。ズマは声のした方向に走った。
ウルフェンの埃まみれの大通りをヤギ車は進む。先導するのはロボット馬にまたがった、ブタ顔の獣人。通りの両脇には建物が並ぶが、どれも木造のあばら屋だ。大昔、西部劇と呼ばれた映画があったが、あそこに出て来る町並みを、何割か酷くしたような景色だと思えば良い。
直線に進む大通りの突き当たりには、石造りの豪奢な屋敷があった。西部劇の世界にタージマハルがそびえ立っているかの如き違和感である。その正面出入り口の門にまで、ヤギ車は誘導された。
正面の門にはネズミ顔の小柄な獣人が、十人ほどウロウロしている。みな腰に刀を引きずるように差しているところを見ると、門番なのだろう。
ブタ顔がネズミ顔にへりくだって要件を話した。
「ガルアム様に面会を希望している者を連れてきたのですが」
すると一番立派な鎧を身につけた、隊長らしきネズミ顔が、腕を組んでこう言った。
「約束のない者には、ガルアム様はお会いにならない」
ブタ顔はヤギ車を振り返った。
「と、いう事なんだが」
ヤギ車の御者台に乗っていたジンライが、ふわりと地上に降り立つ。実際には地上高三十センチほどの位置に浮いているのだが。ジンライは慇懃な態度で一礼すると、こう伝えた。
「3Jが面会のため直々に見参いたした。獣王ガルアム殿にお取り次ぎ願いたい」
「す、3J!」
その名前は効果覿面、パニックを起こさせた。ネズミ顔たちは慌てふためき、右往左往し、立派な鎧を着込んだ隊長は、しばしオタオタした後、腰にぶら下げた無線機を口に当て、早口でまくし立てた。
「3Jが、あの、あの3Jが、ガルアム様にご面会を求められておりますが!」
言葉の使い方がムチャクチャになっている。だが無線の向こう側は状況を理解していないのか、尊大な声でこう返答してきた。
「いまガルアム様はお休み中だ。誰であろうと面会など認められない」
哀れなネズミ隊長は、怯えきった顔でジンライを見た。
「と、という事なのですが、その、これは私が言っている訳ではなく」
「隊長殿」
ジンライは穏やかに話しかけた。
「は、はい」
「拙者は3Jが面会に来たと申したのだ。拒否をして良いとは申しておらぬ」
隊長の顔から音を立てて血の気が引くのが、誰にもわかった。震えてかすれた声で、こうたずねる。
「あ、あの、では、どうすれば」
「これから拙者の申す事を、上に伝えよ。一字一句違えずに、そのまま伝えよ。良いな」
隊長はガクンガクンとうなずく。それを見たジンライは、満足げにこう告げた。
「では、戦争を始める」
その姿は歪んだワイングラスのようにも見える。毒々しい赤。ウネウネと動く蔓で獲物を捕らえた巨大なオニクイカズラは、いまそれを捕食袋に飲み込もうとしていた。だが間一髪、ズマの爪が蔓を断ち切り、巻き取られた獲物を奪い去る。そして木の枝から枝へ飛び渡り、そこから離れた。オニクイカズラは執念深いのだ。早く離れなければ。
魔女ダラニ・ダラの支配する昆虫人の街ダランガンには教会があった。しかし信者など誰も居ない。昆虫人は神など信じないからだ。聖書を読む神父も居ない。ただ一人の若い尼僧が日々祈りを捧げていた。彼女は昆虫人ではない。赤い髪の、人間の女性に見える。
彼女はデルファイ各地を回り、親のない子を集め、教会の敷地で孤児院を開いていた。だが経営は苦しく、日々のパンを買う金にも事欠く有様。今日も今日とて借金取りが入り口で怒鳴り声を上げている。
「だーかーら、今日が期限だって前から言ってたよね!」
服を着たカマキリが、ドアをガンガン叩く。尼僧はとにかく頭を下げ、平謝りするしかなかった。
「申し訳ありません、もう少し、もう少しだけ待ってください」
「じゃあ返す当てあるの? 元金が返せない、それどころか利子も払えないのに、返せる訳ないよね」
「でも、子供たちのパンにどうしてもお金が必要なんです。神様は善行を見ていてくださいます。どうかもう少し待ってください」
「神様とか信じてないんで、どうでもいいから。どうしても返せないんなら、そうだな、体で返してよ」
「は?」
思わず顔を上げた尼僧の首を、カマキリの鎌がつかむ。ギリギリと音を立てて締め付ける。カマキリは言った。
「人間の肉って柔らかそうだよね。腕一本でいいからさ、食べさせてよ。そうしたら金は来月まで待ってやるから」
しかしカマキリは気付かなかった。首を絞められて苦しげな尼僧の両目から、黄金の光が放たれようとしていた事に。そのとき。
教会内の天井辺りから、数百本の白い糸のような物が飛び、カマキリの体に巻き付いた。
「えっ?」
そして、あっと言う間もなく、カマキリは天井へと持ち上げられた。そこには暗黒の空間が広がっている。カマキリの体は、暗黒の中に音もなく飲み込まれ、それっきり。二度と姿を現さない。その代わり、暗黒空間から出てきたものがある。逆さになった、巨大な老婆の頭部。
尼僧の目は、その老婆をにらみつけている。
「もうママ、いい加減にして」
「ママはおやめ、クリア。アタシにも威厳ってもんがあるんだ」
この巨大な老婆こそ誰あろう、このダランガンの支配者、ダラニ・ダラである。しかしクリアと呼ばれた尼僧は、叱りつける勢いで言葉を発した。
「ママのせいでまた、お金を貸してくれる人を探さなきゃならないでしょ」
「金ならアタシが出すって言ってるだろう。何であんな高利貸しのクズに頼る必要があるんだい」
「神の教会は、人々に支えられてこそ価値があるの」
「神なんて誰も信じちゃいないんだよ」
「いまはそうでも、いつかみんな信じてくれるようになるの!」
クリアの口調は、駄々っ子のようにダラニ・ダラには思える。ため息を一つつくと、周囲を見回した。
「ところで、3Jはどうしたね」
「知りません。今朝ウルフェンに行くって言ってたけど……」
不意に心配になったのか、クリアは母親の顔ををのぞき込むように見つめた。
「何かあったの?」
「さあね。まだわからんよ」
ダラニ・ダラは目をそらした。イ=ルグ=ルが活動を再開した事は、彼女も感知している。だがいつ目が覚めるのかなど、知れたものではない。明日かも知れないが、千年後でもおかしくはないのだ。なるようにしかならない、それが魔女ダラニ・ダラの正直な見解であった。
「まあ何にせよ、ガルアムと揉めなきゃいいんだけどねえ」
魔人同士で戦争なんてご免だよ。ダラニ・ダラはそうつぶやきながら、暗黒空間へと身を沈めて行った。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる