10 / 55
第2章 Magic Game
ハートの城へ潜入捜査 I
しおりを挟む
ハートの城へ潜入捜査 I
チュチュチュッ。
日が登って来た頃にボクは目を覚まし煙草を吸うのが習慣になっている。
だが、昨日からは違う。
「ゼロってこんな早起きなのー?」
欠伸をしながらボクのベットに横になっているCAT。
そう。
昨日から夜になるとCATが部屋に来るのだ。
「軍人の癖だな。」
「へぇー。軍人さんって大変だねー。」
「この国にもあるのか軍隊とか。」
「んー、軍隊はナイかなぁ。騎士団があるよ。マレフィレス女王が作ったハートの騎士団がねぇ。」
この世界で言う軍隊みたいなモノか。
「ジャックとミハイルが所属してるヤツか。」
「そうそう!まぁ…マレフィレスの好みが集まった騎士団だけどね。」
「好み?何の?」
「顔。」
「顔…?」
「マレフィレスの騎士団は顔が良いヤツばっかり集めた美形集団の騎士団で、その中に何人かマレフィレスの側室がいるんだよ。」
側室…って…。
夜の相手をする事だよな。
「特にジャックがお気に入りみたいでよく呼び出し
てんだよ。」
モヤ…。
心が重くなった。
ジャックが女王と寝てるって事?
昨日の呼び出しもジャックに相手をさせる為なのか?
何だこれ…重い。
「ゼロ?どうかした?」
「あ?い、いや何でもないよ…。女王もアリスを殺した容疑者に入ってるんだよな。」
「マジかー。マレフィレスならやりかねないかもなぁ。アリスの事嫌いだったし。」
「アリスの事が?何で?」
煙草を携帯灰皿に押し付けながらCATに尋ねた。
「マレフィレスはさジャックの事が好きなんだよね。で、そのジャックがアリスの事を好きだからアリスの事虐めてたんだよねー。いつも"首を刎ねてやる!!"って叫んでたし。」
モヤモヤモヤ…。
どんどん心が重くなる。
この感覚はなんだ?
気持ち悪い。
どうしてジャックの名前を聞くとボクの心臓が反応
するんだよ。
吸ったばっかの煙草を携帯灰皿に捨て新しい煙草を口に咥え火を付けた。
マレフィレスがジャックを好き…。
なら、アリスを殺す可能性が1番高いな。
「犯人に1番近いのは今の所はマレフィレスだな。どうにかしてマレフィレスと接触しないとな。」
「なら城に潜入する?」
「へ?」
「それは反対だ。」
ロイドが部屋のドアを開けて入って来た。
「ロイド?いつの間にいたんだ?」
「あれぇ?ロイドじゃん。久しぶりー。」
「ゼロをあまり危険な目に遭わせるなよCAT。」
「あれあれ?ゼロに対しては凄い過保護じゃん!!
ゼロの事気に入ってるんだぁ?」
CATはそう言ってロイドに近付いた。
「余計な事を喋るな。」
「えー。オレはゼロの言う事しか聞かないよ?」
2人の間に変な空気が流れた。
「CAT。ロイドがボクを気にかけるのはアリスの代わりであるからだ。犯人を見つけ殺すまでは気にかけてくれる。」
「……。」
そう言うとロイドの表情が曇った。
ボクは何故ロイドの表情が曇ったのか分からなかった。
「城には潜入する。どのみち何もしないより動いた方がアリスを殺した奴を探せるからな。」
「だ、だが…。」
「大丈夫だよロイド!オレが付いてるし。それに早く見つけたいんだろ?犯人を。」
「っ…。」
ロイドはCATの言葉に核心を突かれたようだった。
ボクはロイドをスルーしてCATに話し掛けた。
「それでどうやって潜入するんだ?」
「メイドのフリをして城に潜入するよ。」
パチンッ!!
CATが指を鳴らすと黒と赤があしらわれたメイド服とパウダーが現れた。
「このパウダーはなんだ?見たところパウダーファンデーションのようだが…。」
「コレはヘアーパウダーだよ♪髪の毛の色を変えれる。」
ポンッ。
「本当に潜入するのかゼロ。」
そう言いながらロイドはボクの肩を叩いた。
「ん?あぁ、そのつもりだ。大丈夫だ無茶はしない。ロイド達に迷惑を掛けるだけだからな。」
「俺はゼロ自身に何かあったら心配なんだ。アリスの代わりをしてくれるのもそうだが、それだけじゃないのを忘れないでくれ。」
トクンッ。
ロイドはボク自身の心配をしていたのか…。
胸が温かくポカポカした。
この感情は気持ち悪い感じがしない。
ジャックの時の感情とロイドの時の感情が違うのはなんだろう。
「分かった。」
「なら良いんだ。マレフィレスのTrick Cardの能力はかなり厄介なモノなんだ。」
「厄介?」
「マレフィレスのTrick Cardの能力は"Ordr(オーダー)"。自分の命令を絶対に聞かせる事が出来るんだ。まぁ、いわゆる私の命令は絶対よ!みたいな感じ。」
CATが女王のポーズをして話した。
「お前よく恥ずかしがらずにやれるな…。マレフィレスに接触は出来るだけするなよゼロ。」
「マレフィレスの能力を回避する方法はないのか?」
「コレを一応持って行け。」
そう言って取り出したのは耳栓だった。
「耳栓?」
「万が一、マレフィレスと会った時は耳栓をしろ。」
「これで大丈夫なのか…。まぁないよりマシか。」
ロイドから耳栓を受け取った。
「早く準備しておいでよゼロ。」
CATに視線を向けると黒髪の三つ編みヘアーのメイド服を着た女の子になっていた。
「お前CATなのか?」
「そうだよー♪オレもメイドの女の子として潜入す
るから任せて♪」
この世界はなんでもアリなのか…。
めちゃくちゃだな。
「はぁ…、いちいち驚くのも疲れた。着替えてくるから少し待っていてくれ。」
「了解ー。」
ボクはアリスの部屋に行き準備を始めた。
「ハートのメイド服って派手過ぎだろ…。」
渋々メイド服を着てスカートの下に銃を仕込んだ。
そしてヘアパウダーを頭に振り掛けた。
するとシルバーアッシュから栗色に変わった。
「これでボクってバレる事はなさそうどな…。」
ロイド達が待つ一階に降りた。
ガチャッ。
「待たせたな。」
2人はボクの姿を見て固まった。
「ん?どうした2人共。変か?」
「いやいや!!めちゃくちゃ可愛いくて驚いたの!!ロイドなんて固まってるでしょ?」
CATはそう言ってロイドの背中を叩いた。
「あ、あぁ。ゼロこの時計も持って行け。」
ロイドは小さいアンティークの時計をボクに渡した。
「一回だけ時間を止めれる時計だ。俺の能力を込めてあるから何かあった時に使え。」
「それは助かる。」
「そろそろ行こうぜー。メイドと執事の集会に上手く紛れ込むよー。」
「分かった。」
「気を付けろよゼロ。」
「分かている。」
ボクとCATは家を出てCATの能力を使って一瞬で城に着いた。
「ゼロ、着いたよー。」
目の前には白と赤をモチーフにしたデカイ城が建っ
ていた。
周りには白と赤の薔薇園が広がっていた。
「ここがマレフィレスの城か。」
「ここからは慎重に行くよゼロ。」
「分かった。」
ボク達は城に足を踏み入れた。
だけどこの時ボク達を見ていた人物に気付かなかった。
チュチュチュッ。
日が登って来た頃にボクは目を覚まし煙草を吸うのが習慣になっている。
だが、昨日からは違う。
「ゼロってこんな早起きなのー?」
欠伸をしながらボクのベットに横になっているCAT。
そう。
昨日から夜になるとCATが部屋に来るのだ。
「軍人の癖だな。」
「へぇー。軍人さんって大変だねー。」
「この国にもあるのか軍隊とか。」
「んー、軍隊はナイかなぁ。騎士団があるよ。マレフィレス女王が作ったハートの騎士団がねぇ。」
この世界で言う軍隊みたいなモノか。
「ジャックとミハイルが所属してるヤツか。」
「そうそう!まぁ…マレフィレスの好みが集まった騎士団だけどね。」
「好み?何の?」
「顔。」
「顔…?」
「マレフィレスの騎士団は顔が良いヤツばっかり集めた美形集団の騎士団で、その中に何人かマレフィレスの側室がいるんだよ。」
側室…って…。
夜の相手をする事だよな。
「特にジャックがお気に入りみたいでよく呼び出し
てんだよ。」
モヤ…。
心が重くなった。
ジャックが女王と寝てるって事?
昨日の呼び出しもジャックに相手をさせる為なのか?
何だこれ…重い。
「ゼロ?どうかした?」
「あ?い、いや何でもないよ…。女王もアリスを殺した容疑者に入ってるんだよな。」
「マジかー。マレフィレスならやりかねないかもなぁ。アリスの事嫌いだったし。」
「アリスの事が?何で?」
煙草を携帯灰皿に押し付けながらCATに尋ねた。
「マレフィレスはさジャックの事が好きなんだよね。で、そのジャックがアリスの事を好きだからアリスの事虐めてたんだよねー。いつも"首を刎ねてやる!!"って叫んでたし。」
モヤモヤモヤ…。
どんどん心が重くなる。
この感覚はなんだ?
気持ち悪い。
どうしてジャックの名前を聞くとボクの心臓が反応
するんだよ。
吸ったばっかの煙草を携帯灰皿に捨て新しい煙草を口に咥え火を付けた。
マレフィレスがジャックを好き…。
なら、アリスを殺す可能性が1番高いな。
「犯人に1番近いのは今の所はマレフィレスだな。どうにかしてマレフィレスと接触しないとな。」
「なら城に潜入する?」
「へ?」
「それは反対だ。」
ロイドが部屋のドアを開けて入って来た。
「ロイド?いつの間にいたんだ?」
「あれぇ?ロイドじゃん。久しぶりー。」
「ゼロをあまり危険な目に遭わせるなよCAT。」
「あれあれ?ゼロに対しては凄い過保護じゃん!!
ゼロの事気に入ってるんだぁ?」
CATはそう言ってロイドに近付いた。
「余計な事を喋るな。」
「えー。オレはゼロの言う事しか聞かないよ?」
2人の間に変な空気が流れた。
「CAT。ロイドがボクを気にかけるのはアリスの代わりであるからだ。犯人を見つけ殺すまでは気にかけてくれる。」
「……。」
そう言うとロイドの表情が曇った。
ボクは何故ロイドの表情が曇ったのか分からなかった。
「城には潜入する。どのみち何もしないより動いた方がアリスを殺した奴を探せるからな。」
「だ、だが…。」
「大丈夫だよロイド!オレが付いてるし。それに早く見つけたいんだろ?犯人を。」
「っ…。」
ロイドはCATの言葉に核心を突かれたようだった。
ボクはロイドをスルーしてCATに話し掛けた。
「それでどうやって潜入するんだ?」
「メイドのフリをして城に潜入するよ。」
パチンッ!!
CATが指を鳴らすと黒と赤があしらわれたメイド服とパウダーが現れた。
「このパウダーはなんだ?見たところパウダーファンデーションのようだが…。」
「コレはヘアーパウダーだよ♪髪の毛の色を変えれる。」
ポンッ。
「本当に潜入するのかゼロ。」
そう言いながらロイドはボクの肩を叩いた。
「ん?あぁ、そのつもりだ。大丈夫だ無茶はしない。ロイド達に迷惑を掛けるだけだからな。」
「俺はゼロ自身に何かあったら心配なんだ。アリスの代わりをしてくれるのもそうだが、それだけじゃないのを忘れないでくれ。」
トクンッ。
ロイドはボク自身の心配をしていたのか…。
胸が温かくポカポカした。
この感情は気持ち悪い感じがしない。
ジャックの時の感情とロイドの時の感情が違うのはなんだろう。
「分かった。」
「なら良いんだ。マレフィレスのTrick Cardの能力はかなり厄介なモノなんだ。」
「厄介?」
「マレフィレスのTrick Cardの能力は"Ordr(オーダー)"。自分の命令を絶対に聞かせる事が出来るんだ。まぁ、いわゆる私の命令は絶対よ!みたいな感じ。」
CATが女王のポーズをして話した。
「お前よく恥ずかしがらずにやれるな…。マレフィレスに接触は出来るだけするなよゼロ。」
「マレフィレスの能力を回避する方法はないのか?」
「コレを一応持って行け。」
そう言って取り出したのは耳栓だった。
「耳栓?」
「万が一、マレフィレスと会った時は耳栓をしろ。」
「これで大丈夫なのか…。まぁないよりマシか。」
ロイドから耳栓を受け取った。
「早く準備しておいでよゼロ。」
CATに視線を向けると黒髪の三つ編みヘアーのメイド服を着た女の子になっていた。
「お前CATなのか?」
「そうだよー♪オレもメイドの女の子として潜入す
るから任せて♪」
この世界はなんでもアリなのか…。
めちゃくちゃだな。
「はぁ…、いちいち驚くのも疲れた。着替えてくるから少し待っていてくれ。」
「了解ー。」
ボクはアリスの部屋に行き準備を始めた。
「ハートのメイド服って派手過ぎだろ…。」
渋々メイド服を着てスカートの下に銃を仕込んだ。
そしてヘアパウダーを頭に振り掛けた。
するとシルバーアッシュから栗色に変わった。
「これでボクってバレる事はなさそうどな…。」
ロイド達が待つ一階に降りた。
ガチャッ。
「待たせたな。」
2人はボクの姿を見て固まった。
「ん?どうした2人共。変か?」
「いやいや!!めちゃくちゃ可愛いくて驚いたの!!ロイドなんて固まってるでしょ?」
CATはそう言ってロイドの背中を叩いた。
「あ、あぁ。ゼロこの時計も持って行け。」
ロイドは小さいアンティークの時計をボクに渡した。
「一回だけ時間を止めれる時計だ。俺の能力を込めてあるから何かあった時に使え。」
「それは助かる。」
「そろそろ行こうぜー。メイドと執事の集会に上手く紛れ込むよー。」
「分かった。」
「気を付けろよゼロ。」
「分かている。」
ボクとCATは家を出てCATの能力を使って一瞬で城に着いた。
「ゼロ、着いたよー。」
目の前には白と赤をモチーフにしたデカイ城が建っ
ていた。
周りには白と赤の薔薇園が広がっていた。
「ここがマレフィレスの城か。」
「ここからは慎重に行くよゼロ。」
「分かった。」
ボク達は城に足を踏み入れた。
だけどこの時ボク達を見ていた人物に気付かなかった。
0
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
叶えられた前世の願い
レクフル
ファンタジー
「私が貴女を愛することはない」初めて会った日にリュシアンにそう告げられたシオン。生まれる前からの婚約者であるリュシアンは、前世で支え合うようにして共に生きた人だった。しかしシオンは悪女と名高く、しかもリュシアンが憎む相手の娘として生まれ変わってしまったのだ。想う人を守る為に強くなったリュシアン。想う人を守る為に自らが代わりとなる事を望んだシオン。前世の願いは叶ったのに、思うようにいかない二人の想いはーーー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる