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第2章 Magic Game
お茶会へようこそ II
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コポポポポッ。
帽子屋が1人1人のティーカップに紅茶を注いだ。
そして紅茶を注ぎ終えると真ん中の席に座った。
「皆んなティーカップは持ったかな?」
そう言って帽子屋がティーカップを手に持った。
ボク達も目の前にある紅茶の入ったティーカップを手に持った。
ボクの右隣にはエースが座って左隣にインディバーが座った。
目の前には帽子屋が座っていて右隣にマリーシャ、左隣にズゥーが座っていた。
「乾杯。」
帽子屋の掛け声と共に「乾杯。」と言ってティーカップを上に持ち上げた。
口に紅茶を流し込むと薔薇の香りが鼻を通った。
ローズティーか。
「アリス好きだったよね?ローズティー。」
紅茶を啜りながら帽子屋がボクに尋ねて来た。
「えぇ。」
「マッドハッターはアリスの事ばかりね。」
太々しい声を出したのはマリーシャだった。
「マリーシャ…。また空気を壊すのー?そんな事言ったら帽子屋に怒られるぞ。」
エースはそう言ってクッキーを口に入れた。
「仕方ないわよエース。この子もマッドハッターに恋してる1人の女の子なんだから。」
そう言ってインディバーはボクの顔見てニコッと笑った。
ボクも一応ニコッと笑っておいた。
「マリーシャ。俺はお前の事も大事にしてるつもりだ。」
「っ!!。本当?」
マリーシャは甘えた声を出して帽子屋の肩に顔を乗せた。
「あぁ。だからあまり我が儘を言うなよ。今回は多めに見るが、次は…。」
帽子屋は甘い言葉を吐きながらマリーシャの首元にナイフを当てていた。
「っ!?」
マリーシャの首元からは汗が流れていた。
コイツ、いつナイフを取ったんだ?
普通にお茶を飲んでたよな?
動きが全く見えなかった。
「わ、分かった…。ごめんなさい。」
「分かれば良いんだよ。」
ピュッ。
帽子屋はニコッと笑ってマリーシャの首元からナイフを離した。
「いつもの事なんだ。」
エースが耳打ちして来た。
「いつも?」
「マリーシャが我が儘した時はお仕置きしてるのさ。今日はマシな方。酷い時はヤバいよ。」
きっとボクがいるからこの場で酷い事をしないんだ。
ボクはスコーンに手を伸ばしブルーベリーのジャムを塗った。
するとズゥーがボクが手に持っているスコーンを見つめた。
「ふわぁ…。あれぇ?アリス、ブルーベリーのジャム食べれるようになったんだぁ。」
「「っ!?」」
ボクとエースは手が止まってしまった。
待て待て待て!?
聞いてないぞ。
アリスがブルーベリーが嫌いなんてロイドから聞いてないぞ!?
「本当だ。アンタ、ブルーベリー嫌いだったのに。変なの。」
マリーシャが髪の毛をいじりながらボクを見つめた。
背中に嫌な汗が流れた。
隣にいるエースの顔をチラッと見た。
顔には出てないが首元に汗が流れていた。
何とか誤魔化さないと…。
そう思って口を開こうとした時だった。
「アタシが勧めたのよ。」
口を開いたのはインディバーだった。
ボクは勢いよくインディバーの方に顔を向けた。
「インディバーが?何で?」
マリーシャがインディバーに尋ねた。
「マリーシャ知らないの?ブルーベリーはお肌に良いのよ。アリスは美容に疎いから教えてあげたの。
ね、アリス?」
インディバーがボクに笑いかけた。
もしかして助けようとしてくれてるのか?
「え、えぇ、そうなの。インディバーがブルーベリーはジャムにした方が美味しいって言ってたからジャムにして食べてみたら美味しかったの。」
「そうそう!ブルーベリージャム美味しいよね!!」
エースがボクの意見に賛同した。
「そんなに美味しいんだぁ。俺も食べよーっと。」
ズゥーがそう言ってスコーンにブルーベリージャムを塗った。
インディバーが口を挟んでくれなかったらやばっかたな。
どうにかして帽子屋の屋敷の中に入りたい所だが…。
トントンッ。
そんな事を考えているとインディバーに肩を叩かれた。
「今はやめときなさい。」
インディバーの放った言葉に驚いてしまった。
「っな!?」
「マッドハッターがアンタの事見てるの気付いてるわよね。」
帽子屋がボクに視線を向けているのは分かっていた。
その視線は好意の視線ではない。
"監視"されている。
「ここにいる時はやめときなさい。」
「どうしてそんな事をインディバーが言うの…?」
「その話はまた後で。」
急にインディバーが話をやめて紅茶を飲んだ。
「アリス。ちょっと散歩に行かないか?」
帽子屋がボクに話しかけて来た。
「え?散歩に?」
「そうだよ。」
ボクの事を探ろうとしてるのか。
エースは飲んでいた紅茶を噴き出しそうに鳴っていた。
ここで断ったらさらに怪しまれる。
ここは、帽子屋の誘いに乗った方が良いな。
「そうね。お散歩に行きましょうか。」
「皆んな、少し席を外せてもらう。行こうかアリス。」
「えぇ。」
ボクと帽子屋は立ち上がり歩き出した。
マリーシャは黙って帽子屋を見ていた。
カツカツカツ。
お互いの靴の音だけが聞こえるだけで、会話もせずにただ庭を歩いている。
「アリスがくっついて来ないなんて珍しいね。」
「え?」
「アリスは男と2人っきりになったらくっついてたじゃないか。こうやって…。」
グイッ!!
帽子屋がボクの手を引き近くにあったテーブルの上に押し倒して来た。
ドサッ!!
帽子屋がボクの事を見下ろす体制になった。
両手首をガシッリ掴まれてしまった。
これじゃあ身動きが取れないっ!!
グッ!!
動こうとしてもさらに力を入れられてしまい動けなくなった。
「マリーシャに調べさてといて良かったかな。」
調べさせた?
一体、何を言ってるんだコイツ。
「私の事を調べたって事?」
「この間、CATと一緒にハートの城に潜入したメイドって"キミ"の事だろ?」
「っ!?」
ボクの事をアリスと呼ばずに"キミ"って呼び直した。
帽子屋はボクがアリスじゃない事に気付いてる。
「アリスはこんなタトゥーや煙草の匂いを纏わせないだろ?」
スゥ…。
そう言って、帽子屋は右腕の袖を捲られた。
「NO.0?もしかしてキミの本当の名前か?」
もう、こうなったら隠しようがない。
「ハートの城に潜入してまで欲しかった情報はなんだったの?」
「本当は気付いてるくせに周りくどい言い方するんだな。」
ボクはそう言って帽子屋の脇腹に蹴りを入れた。
ガシッ。
空いてる手で足を止められた。
「キミの口から聞きたいんだ。俺はキミの事が知りたいんだよ。」
「ボクはアリスを殺した奴を殺しにこの世界に来た。」
「アリスを殺した?へぇ…、やっぱりアリスは殺されたのか。」
アリスに関して興味の無い反応を見せた。
コイツ…。
アリスに興味がないのか?
「帽子屋はアリスの事を気に入ってないのか?」
「アリスの事?あー、あの子とは何度も体を重ねた事があるよ。だってアリスは…。」
帽子屋はそう言いながらボクの耳元に顔を近付けて来た。
「あの子は淫らな子だからね。」
「なっ!?んだと…?」
アリスが淫らな子だと?
「それに、今日のお茶会はキミを呼ぶ為に開いたんだから。」
「ボクを?何故だ。」
「マリーシャの話を聞いてますますキミに興味を持ったんだ。それに違う世界から来たキミはどうな目
的で来たかとか。色々聞きたいんだよね。」
「ボクを殺す為に呼んだんじゃなくて?」
ボクがそう言うと帽子屋は笑い出した。
「アハハハ!!こんな面白い子を殺すわけないだろ?だからキミのコレも預かるよ。」
太ももに隠しておいたナイフが浮いていた。
「っ!?、いつの間にナイフを抜いたんだ。」
「俺のTrick Cardの能力はMagician。ナイフを自由に操る事が出来る。こうやってね。」
帽子屋が指を動かすと同じようにナイフが動いた。
「単刀直入に聞く。お前はアリスを殺したのか?」
「殺す?アリスには興味がないよ。」
「アリスに興味がない?この世界の奴等はアリスが
好きだろ。」
「それはアリスの周りの人達だけでしょ。」
「え?」
「アイツ等は知らないんだよ。」
帽子屋は何かを知っている。
「知らないって何を?」
「アリスの本性を。」
「っ!?」
ボクの考えが当たったようだった。
アリスには…。
もう1つの顔がある。
「ちょっとー!!こんな所でそんな話はしない方がいんじゃなぁい?」
帽子屋とボクは声のした方に視線を向けた。
そこにいたのは…。
「イ、インディバー?」
扇子で仰ぎながら現れたのはインディバーだった。
「インディバー。お前、この子の事隠してただろ?」
「あら?隠したつもりはないよ。確信が持てなかっただけ。その子を離してあげなよ。」
インディバーがそう言うと帽子屋は手を離した。
ボクは起き上がりインディバーを見つめた。
待て、まさか、インディバーもボクがアリスじゃないと言う事を知ってるのか?
「ちょっと待て。インディバーもまさか。」
「貴方がアリスじゃないのは最初から知ってたわ。」
「なっ!?」
2人にボクがアリスじゃない事がバレてしまった。
だが、インディバーは何故ボクがアリスじゃない事に気付いたのか?
「何でインディバーはボクがアリスじゃないって分かったんだ?」
ボクはインディバーに尋ねた。
「 Nightmare(ナイトメア)が言ってたから。」
「Nightmare?」
「つまり、その人がアンタが来る事を教えて来たのよ。」
ボクがこの世界に来る事を知っていた人物と言う事か?
つまり預言者的存在なのか?
「Nightmareがキミの事を言っていたならこの世界に来る事が必然だっと言う訳か。」
帽子屋がボクを見つめながら呟いた。
「アンタはこの世界に来る運命だったのよ。秩序を変える為に呼ばれたの。」
インディバーがボクの方を見て言葉を放った。
「ちょっと待てよ!?ボクがこの世界を変えるだと?世界の秩序を変える?頭が追い付かない。」
ボクはこの世界を変える為に呼ばれた?
そのNight mareと言う人物はボクの存在を知っている奴。
頭がぐちゃぐちゃだ。
次から次へと訳のわからない言葉を並べられている。
「アリスを殺した奴は誰だよ…。」
第2幕 END
帽子屋が1人1人のティーカップに紅茶を注いだ。
そして紅茶を注ぎ終えると真ん中の席に座った。
「皆んなティーカップは持ったかな?」
そう言って帽子屋がティーカップを手に持った。
ボク達も目の前にある紅茶の入ったティーカップを手に持った。
ボクの右隣にはエースが座って左隣にインディバーが座った。
目の前には帽子屋が座っていて右隣にマリーシャ、左隣にズゥーが座っていた。
「乾杯。」
帽子屋の掛け声と共に「乾杯。」と言ってティーカップを上に持ち上げた。
口に紅茶を流し込むと薔薇の香りが鼻を通った。
ローズティーか。
「アリス好きだったよね?ローズティー。」
紅茶を啜りながら帽子屋がボクに尋ねて来た。
「えぇ。」
「マッドハッターはアリスの事ばかりね。」
太々しい声を出したのはマリーシャだった。
「マリーシャ…。また空気を壊すのー?そんな事言ったら帽子屋に怒られるぞ。」
エースはそう言ってクッキーを口に入れた。
「仕方ないわよエース。この子もマッドハッターに恋してる1人の女の子なんだから。」
そう言ってインディバーはボクの顔見てニコッと笑った。
ボクも一応ニコッと笑っておいた。
「マリーシャ。俺はお前の事も大事にしてるつもりだ。」
「っ!!。本当?」
マリーシャは甘えた声を出して帽子屋の肩に顔を乗せた。
「あぁ。だからあまり我が儘を言うなよ。今回は多めに見るが、次は…。」
帽子屋は甘い言葉を吐きながらマリーシャの首元にナイフを当てていた。
「っ!?」
マリーシャの首元からは汗が流れていた。
コイツ、いつナイフを取ったんだ?
普通にお茶を飲んでたよな?
動きが全く見えなかった。
「わ、分かった…。ごめんなさい。」
「分かれば良いんだよ。」
ピュッ。
帽子屋はニコッと笑ってマリーシャの首元からナイフを離した。
「いつもの事なんだ。」
エースが耳打ちして来た。
「いつも?」
「マリーシャが我が儘した時はお仕置きしてるのさ。今日はマシな方。酷い時はヤバいよ。」
きっとボクがいるからこの場で酷い事をしないんだ。
ボクはスコーンに手を伸ばしブルーベリーのジャムを塗った。
するとズゥーがボクが手に持っているスコーンを見つめた。
「ふわぁ…。あれぇ?アリス、ブルーベリーのジャム食べれるようになったんだぁ。」
「「っ!?」」
ボクとエースは手が止まってしまった。
待て待て待て!?
聞いてないぞ。
アリスがブルーベリーが嫌いなんてロイドから聞いてないぞ!?
「本当だ。アンタ、ブルーベリー嫌いだったのに。変なの。」
マリーシャが髪の毛をいじりながらボクを見つめた。
背中に嫌な汗が流れた。
隣にいるエースの顔をチラッと見た。
顔には出てないが首元に汗が流れていた。
何とか誤魔化さないと…。
そう思って口を開こうとした時だった。
「アタシが勧めたのよ。」
口を開いたのはインディバーだった。
ボクは勢いよくインディバーの方に顔を向けた。
「インディバーが?何で?」
マリーシャがインディバーに尋ねた。
「マリーシャ知らないの?ブルーベリーはお肌に良いのよ。アリスは美容に疎いから教えてあげたの。
ね、アリス?」
インディバーがボクに笑いかけた。
もしかして助けようとしてくれてるのか?
「え、えぇ、そうなの。インディバーがブルーベリーはジャムにした方が美味しいって言ってたからジャムにして食べてみたら美味しかったの。」
「そうそう!ブルーベリージャム美味しいよね!!」
エースがボクの意見に賛同した。
「そんなに美味しいんだぁ。俺も食べよーっと。」
ズゥーがそう言ってスコーンにブルーベリージャムを塗った。
インディバーが口を挟んでくれなかったらやばっかたな。
どうにかして帽子屋の屋敷の中に入りたい所だが…。
トントンッ。
そんな事を考えているとインディバーに肩を叩かれた。
「今はやめときなさい。」
インディバーの放った言葉に驚いてしまった。
「っな!?」
「マッドハッターがアンタの事見てるの気付いてるわよね。」
帽子屋がボクに視線を向けているのは分かっていた。
その視線は好意の視線ではない。
"監視"されている。
「ここにいる時はやめときなさい。」
「どうしてそんな事をインディバーが言うの…?」
「その話はまた後で。」
急にインディバーが話をやめて紅茶を飲んだ。
「アリス。ちょっと散歩に行かないか?」
帽子屋がボクに話しかけて来た。
「え?散歩に?」
「そうだよ。」
ボクの事を探ろうとしてるのか。
エースは飲んでいた紅茶を噴き出しそうに鳴っていた。
ここで断ったらさらに怪しまれる。
ここは、帽子屋の誘いに乗った方が良いな。
「そうね。お散歩に行きましょうか。」
「皆んな、少し席を外せてもらう。行こうかアリス。」
「えぇ。」
ボクと帽子屋は立ち上がり歩き出した。
マリーシャは黙って帽子屋を見ていた。
カツカツカツ。
お互いの靴の音だけが聞こえるだけで、会話もせずにただ庭を歩いている。
「アリスがくっついて来ないなんて珍しいね。」
「え?」
「アリスは男と2人っきりになったらくっついてたじゃないか。こうやって…。」
グイッ!!
帽子屋がボクの手を引き近くにあったテーブルの上に押し倒して来た。
ドサッ!!
帽子屋がボクの事を見下ろす体制になった。
両手首をガシッリ掴まれてしまった。
これじゃあ身動きが取れないっ!!
グッ!!
動こうとしてもさらに力を入れられてしまい動けなくなった。
「マリーシャに調べさてといて良かったかな。」
調べさせた?
一体、何を言ってるんだコイツ。
「私の事を調べたって事?」
「この間、CATと一緒にハートの城に潜入したメイドって"キミ"の事だろ?」
「っ!?」
ボクの事をアリスと呼ばずに"キミ"って呼び直した。
帽子屋はボクがアリスじゃない事に気付いてる。
「アリスはこんなタトゥーや煙草の匂いを纏わせないだろ?」
スゥ…。
そう言って、帽子屋は右腕の袖を捲られた。
「NO.0?もしかしてキミの本当の名前か?」
もう、こうなったら隠しようがない。
「ハートの城に潜入してまで欲しかった情報はなんだったの?」
「本当は気付いてるくせに周りくどい言い方するんだな。」
ボクはそう言って帽子屋の脇腹に蹴りを入れた。
ガシッ。
空いてる手で足を止められた。
「キミの口から聞きたいんだ。俺はキミの事が知りたいんだよ。」
「ボクはアリスを殺した奴を殺しにこの世界に来た。」
「アリスを殺した?へぇ…、やっぱりアリスは殺されたのか。」
アリスに関して興味の無い反応を見せた。
コイツ…。
アリスに興味がないのか?
「帽子屋はアリスの事を気に入ってないのか?」
「アリスの事?あー、あの子とは何度も体を重ねた事があるよ。だってアリスは…。」
帽子屋はそう言いながらボクの耳元に顔を近付けて来た。
「あの子は淫らな子だからね。」
「なっ!?んだと…?」
アリスが淫らな子だと?
「それに、今日のお茶会はキミを呼ぶ為に開いたんだから。」
「ボクを?何故だ。」
「マリーシャの話を聞いてますますキミに興味を持ったんだ。それに違う世界から来たキミはどうな目
的で来たかとか。色々聞きたいんだよね。」
「ボクを殺す為に呼んだんじゃなくて?」
ボクがそう言うと帽子屋は笑い出した。
「アハハハ!!こんな面白い子を殺すわけないだろ?だからキミのコレも預かるよ。」
太ももに隠しておいたナイフが浮いていた。
「っ!?、いつの間にナイフを抜いたんだ。」
「俺のTrick Cardの能力はMagician。ナイフを自由に操る事が出来る。こうやってね。」
帽子屋が指を動かすと同じようにナイフが動いた。
「単刀直入に聞く。お前はアリスを殺したのか?」
「殺す?アリスには興味がないよ。」
「アリスに興味がない?この世界の奴等はアリスが
好きだろ。」
「それはアリスの周りの人達だけでしょ。」
「え?」
「アイツ等は知らないんだよ。」
帽子屋は何かを知っている。
「知らないって何を?」
「アリスの本性を。」
「っ!?」
ボクの考えが当たったようだった。
アリスには…。
もう1つの顔がある。
「ちょっとー!!こんな所でそんな話はしない方がいんじゃなぁい?」
帽子屋とボクは声のした方に視線を向けた。
そこにいたのは…。
「イ、インディバー?」
扇子で仰ぎながら現れたのはインディバーだった。
「インディバー。お前、この子の事隠してただろ?」
「あら?隠したつもりはないよ。確信が持てなかっただけ。その子を離してあげなよ。」
インディバーがそう言うと帽子屋は手を離した。
ボクは起き上がりインディバーを見つめた。
待て、まさか、インディバーもボクがアリスじゃないと言う事を知ってるのか?
「ちょっと待て。インディバーもまさか。」
「貴方がアリスじゃないのは最初から知ってたわ。」
「なっ!?」
2人にボクがアリスじゃない事がバレてしまった。
だが、インディバーは何故ボクがアリスじゃない事に気付いたのか?
「何でインディバーはボクがアリスじゃないって分かったんだ?」
ボクはインディバーに尋ねた。
「 Nightmare(ナイトメア)が言ってたから。」
「Nightmare?」
「つまり、その人がアンタが来る事を教えて来たのよ。」
ボクがこの世界に来る事を知っていた人物と言う事か?
つまり預言者的存在なのか?
「Nightmareがキミの事を言っていたならこの世界に来る事が必然だっと言う訳か。」
帽子屋がボクを見つめながら呟いた。
「アンタはこの世界に来る運命だったのよ。秩序を変える為に呼ばれたの。」
インディバーがボクの方を見て言葉を放った。
「ちょっと待てよ!?ボクがこの世界を変えるだと?世界の秩序を変える?頭が追い付かない。」
ボクはこの世界を変える為に呼ばれた?
そのNight mareと言う人物はボクの存在を知っている奴。
頭がぐちゃぐちゃだ。
次から次へと訳のわからない言葉を並べられている。
「アリスを殺した奴は誰だよ…。」
第2幕 END
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