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ある日の手記
しおりを挟む1990年11月16日
くもりのち雨
本日午後六時頃に水島大樹の遺体が母親によって発見された。風呂場で手首の静脈を切ったことによる失血死とみえる。水島の自室に手記あり。遺書の可能性が高く、自宅に部外者の侵入もなかったことから自殺と推定された。第一発見者の母親が帰宅した時にはすでに絶命していたとの解剖結果がでている。彼の手記によると、動機は二か月前の兄の自殺事件においての加害行為とある。兄の事件について、弟は確かに、瀕死の兄の手首を更に傷つけたとみれる証言をしている。兄の延命を妨害したとして殺人未遂になるのかと意見のわかれるところであったが、精神に異常をきたしている可能性も見受けられたため、司法解剖の正確な判断待ちとなっていた。その間に事は起きてしまった。取り調べのあと、水島弟はわたしに深く頭をさげて帰っていった。そのときのことが鮮明に思い出される。もしかしたら、あの時からすでにこの日のことを決意していたのかもしれない。彼の言ったことの、どれが本当だったのかは、もう確かなことはうかがい知れない。残ったのは水島兄が残した遺書と弟が残した手記であるが、弟の記述によると兄の遺書は自分がつくったものだと告白されていた。つまり二か月前の兄の自殺は、殺人未遂だったのだと。しかし結果、兄は自殺したのだと。この記述からは最奥の真実は図れない。もし、弟が兄を自殺にみせかけて殺したのだとしても、動機は一切わからない。前から計画していたと書いてあるので、感情が高ぶった末の顛末とも考えにくい。今後、このふたつの自殺事件についての究明にはかなりの時間が要するだろう。
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