おんなの一生

18歳

彼との初デートは映画館
私が好きなラブストーリー
暗闇の中ふと横目で彼を見ると
彼は夢中でスクリーンを眺めてる

くすぐったく感じる右肩を
今では可愛く感じる


「結構面白かったね。俺はもともとラブストーリーは観ないけど楽しめたよ」

映画が終わった後
陽気に話す彼を私はいつも以上の笑顔で受け入れる

「私もあの映画すごい好きだった！ロマンティックだよね…」

何よりもお店以外で会うのが初めてで
新鮮に感じてた

時折携帯を覗いては
彼はそそくさとメールを返す

相手はきっと薬指の
名前も知らない女だろう

「あ、ごめん。彼女から…」

私の視線に気づいた彼は
何故か私に謝る
最初に聞いてたから
私は全く気にしない

だって今日の私たち
映画館での距離よりも
離れたまま
未だ手すら触れてない

プラトニックでとても健全
側から見てもただの友達としか見られない
それ程遠いの

「彼女とはいつもどこへ行くの？」

知りたくもない事を
彼を気遣い笑顔で話す

「大体いつも家なんだ、休みの日は外に出るのが面倒くさくてさ」

彼の言葉に少しの優越感
出不精の彼が映画館に来るなんて
考えただけで笑顔が溢れる

「何笑ってんだよ」

私の好きな笑顔を今は私だけに
見せてくれてる
どうか一緒に居る時間だけは
彼女の事は忘れてて
私の事だけ考えて

幼稚な独占欲を胸にしまって
彼の笑顔に笑顔で返す