おんなの一生

18歳

毎週土曜日
彼との時間。
映画館から始まった私たち
今では身近な場所は行き尽くしてた

出会って半年が過ぎても尚
彼の手には触れてない

意識してみても
彼から私へは一切触れない
一緒に居ればそれだけで満足なのに
欲深くなる

「今日はちょっと遠出しない？」

彼の車に乗り込むと
彼の匂いに包まれてる感覚がした

「どこ行くの？」

初めて乗った助手席に
舞い上がりながらも運転する彼を
見納めるかのようにジっと見つめ
彼の言葉に耳を傾ける

「秘密、行ってみたらわかるよ」

高速道路に乗り
流れるBGMは彼が好きなジャズ
早々と変わる景色と彼の声

辿り着いた場所は
辺り一面の花畑

「うわあ…キレイ…」

「ネットで見つけてさ。キレイだろ？紗理奈と一緒に来たかったんだ」

婚約者がいるのに
何故私と来たかったのか
聞きたかったけど

「…うん、キレイ。どうもありがとう」

答えを聞くのが怖かった

花畑を散歩しながら
少し前を歩く彼を見上げる

今日も手は触れもしない
肩さえ触れない
いつまで続くの？

私、後戻り出来なくなる
これ以上彼と共に過ごしたら
彼をもっと好きになりそうで
受け入れてもらえないのは
わかってるから
わかってるから…
今がずっと続く訳ないのはわかってるから…。

今日が最後と思いながら
彼との花畑を堪能した