世界樹の詩

茶々

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誕生

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 生まれた、生まれたよ!

 まだまだ、小さいよ・・・


 鬱蒼と繁る樹海の中の小高い丘、其処だけ何故か開け日が当たる場所に、小さな小さな木の芽の子葉、朝日を浴びている。

 子葉よりは大きいが、小さな精霊達が、ハタハタと祝福を与える様に、周りを舞い踊りうたう。

 ふわぁー

 小さな欠伸をした、小さな子葉は、朝日を浴びうつらうつらと微睡み続け、自身も知らない間に、幾つもの季節を通り過ぎ、幾つもの年月を重ね、子葉から、茎が伸び本葉が生え、枝を伸ばす。そして更に茎が伸び、人の背丈を過ぎ3メートルとなる頃には、立派な若木となったが、自我はまだまだ幼子の様だ。

 若木となった世界樹の周りには、幾つもの歳を一緒に育った精霊がくるくると忙しそうに聖樹の世話をしている。



 若様、起きてくださいね、たーんと日を浴びて大きくなってくださいねー

 若様、今日は雨ですねー、たーんと水を飲んでくださいねー
 
 若様、今日は蝶が、若様の葉を貰いたいそうですが、お断りしましょうか?


 駄目だよ!ボクの葉がいるんだよね?ちょっとだけボクが我慢すれば良いんだ。あげてー


 クスクス  わかりました、どこの葉をあげますか?


 えーとね、柔らかいの!


 わかりました、痛くても我慢してくださいねー

 プチッ!


 いったぁ~!


 蝶が感謝してましたよ。これで子が聖蝶になれるって


 聖蝶って良い事?

 
 そうですね、若様の代わりに、若様の恩恵を世界中に届けます。


 それって、世界が幸せになるの?


 そうですね、でも、人には駄目ですね。


 どうして?


 人には、知恵があって、自分達の為にしか使わないからです。


 ふーん?"ちえ"があったら駄目?


 いいえ、知恵は有っても良いのです。只、人は使い方が悪いのです。


 つかいかた?わるい? よくわからない。


 ええ、そうですね。きっと、そのうちわかります。


 もっと、おっきくなったらわかる?


 そうですね、少しずつわかってきます。
 若様は、まだ知らなくて良いですよー、それよりも、たーんと日を浴びて、たーんと水飲んで、うーんと大きくなってくださいねー










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