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しおりを挟むまた春が来る。長い冬が終わり様々の生き物が、春の喜びの身体中で表現する。
子孫を残す為の、求愛をする季節。
樹海に生きる様々な生き物達が最も活気ある季節。
ありとあらゆる生き物達が命の喜びを謳歌している樹海の片隅で、森人となったアンリの命の灯火が消えて行く。
「・・・ドリュアス様・・・今まで、ありがとうございました・・・」
・・・あぁ、居なくなるんだね・・・
「・・・はい・・・私は・・・も・・う・・・」
うん・・・おやすみ・・・
最後にアンリは何を思ったのだろうか。
一陣の風が吹き彼のぬけがらから魂が、出て来たが・・・
彼の魂は何も言わずに、大空に向かい光の粒となり粉散した。
彼の願いは私に語る事は無かったが、彼の私に向ける思慕を無下にするには偲び無い。
私は彼のぬけがらに私の種を1つ植えた。
幾度の春夏秋冬を過ぎ、何十年、何百年の時が過ぎたのかわからない。
只、アンリのぬけがらに植えた種は、人の大人の丈位にしか、伸びなかった。
だが、春に咲かせる花は青く青く、咲き誇る。
そして・・・散る時には、その花弁が私に届けと言わんばかりに、風が強く私の方に吹く時に散る。
その様子は、親に手を伸ばす赤子のようだ。
だから、私も受け止める。たとえ、精霊達が、その花弁を隠避しても・・・
彼の魂が少しでも救われる事を願いながら。
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