令和百物語 ~妖怪小話~

はの

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肆 朧車

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 駅のホームに、アナウンスが鳴り響く。
 
 
 
「まもなくー、一番ホームにー、電車がー、参りまーす。危ないのでー、黄色い線の内側にてー、お待ちくださーい」
 
 しばらくするとホームに電車が止まり、なかからぞろぞろと人が降りてくる。
 全員降りきったのを見計らい、電車を待っていた人々がぞろぞろと電車に乗り込んでいく。
 
 電車の扉が閉まり、電車が出発する。
 ガタンゴトンと音を立て、次の駅へと向かっていく。
 
 
 
「まもなくー、一番ホームにー、朧車がー、参りまーす。危ないのでー、黄色い線の内側にてー、お待ちくださーい」
 
 しばらくするとホームに牛車が止まり、牛舎の前面についている巨大な顔が、ギョロギョロと周囲を見渡す。
 そして、ホームで寝転がっている酔っ払いに長い長い舌を伸ばし、食らいつくしていく。
 
「ゲエエエップ」
 
 ホームから酔っ払いがいなくなると、ゲップを零す。
 満足そうな表情を浮かべ、朧車が出発する。
 ガタンゴトンと音を立て、次の駅へと向かっていく。
 
 
 
「まもなくー、一番ホームにー、電車がー、参りまーす。危ないのでー、黄色い線の内側にてー、お待ちくださーい」
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