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ベッドへ入って数分、陽翔は全く寝付けずにいた。いくら眠ろうと瞳を力強く閉じても無駄だった。今日起きた出来事がループするように脳内で何度も再生される。
「慶先輩…起きてますか…?」
仰向けに体制を変えた陽翔は、隣で背中を向け寝ている慶にちらりと視線を向け問いかけた。ごそりと布団の中で少しだけ足を動かした慶は「起きてるぞ」と答えた。
「写真の件、本当にすみませんでした」
「なんだよ急に…?」
陽翔の謝罪の意味が分からないとでも言うような困惑した声色を発した慶は、ベッドから身体を起こし陽翔のことを見た。慶につられ陽翔も起き上がり言葉を続ける。
「ちゃんと謝れてなかったなって、あんな写真みんなに見られて…先輩からしたら大迷惑ですよね、僕どう責任とったら…」
色々ありすぎてすっかり後回しになってしまったが、今朝貼られていた写真、あんなものが学校中の人間の目に触れてしまったことに陽翔は大きな負い目を感じていた。生徒たちの憧れのような存在の難波慶、そんな慶が男と付き合っていただなんて知られてしまったからには、慶のイメージダウンはかなり大きいものだろう。
「さっきも言ったけどあれは空音の仕業なんだろ?それなら陽翔が謝るのはおかしいし、お前が責任感じる事は一切ないよ」
「だけど…っ根本的には僕を陥れたいっていう動機で空音がやった事で…結局は僕のせいみたいなものだから…」
陽翔が最後まで言い終わる前に、慶は「はぁぁぁ~~」と大きなため息をついた。陽翔は慶の態度にビクリと肩を震わせ慶の顔を見た。
「お前はなんでそこまで自分のせいにしたがる、動機はなんであれ空音が勝手にやった事なんだからお前は一切悪くないんだ。いくら双子だからって片方がやった事を一々気にしてたらキリが無い。それにお前は陽翔だ、空音じゃないだろ?」
陽翔の肩をがしりと掴んだ慶は力強い瞳で陽翔に訴えかける。慶の言い分は最もだった、陽翔は空音ではない。空音ではない陽翔が今回のことを根に持ち続けるのは確かにおかしな事なのかもしれない。それでも陽翔は自分のせいにせざるを得なかった、そうでもしないとなんだか落ち着かないのだ。陽翔の性格では完全に空音のせいだと決めつけ知らん顔する、などといった事は難しかった。
「それでもやっぱり先輩に迷惑かけた事がすごく申し訳なくて…空音の仕業だとしても僕自身責任を感じてしまうというか…」
「迷惑って別にお前との関係がバレたところでだけどな」
「えっ?僕と付き合ってるってバレたら先輩は男が好きなんだって思われるんですよ?同性愛に偏見を持たない人だっているかもしれないけど…やっぱり男同士ってだけで軽蔑する人も少なくないはずです。先輩が軽蔑されるのなんて僕耐えられませんよ」
不安げに瞳を揺らしている陽翔を他所に、慶は清々しい表情で「そんな奴ら構わなきゃいいんだよ」と言った。
「男同士で付き合ってるからってなんだっていうんだ、そんなちいせぇ事で軽蔑したり馬鹿にするような奴とはつるまなきやいい話だ。それに少ししたらみんな俺らの事なんざ忘れるさ」
「ほら、もう寝るぞ」と慶は再び横になり陽翔に背を向ける。そんな慶の背中を見つめ「慶先輩はほんとかっこいいですね」という言葉が陽翔の口から漏れた。
「ははっありがとな、最高の褒め言葉だ」
最高にかっこいい男の大きな背中は、どこか陽翔を安心させるものがあった。本来ならば眠ることなどできなかったであろう、しかし隣に慶が居ることの安心感に、陽翔はいつの間にか瞳を閉じていた。
「慶先輩…起きてますか…?」
仰向けに体制を変えた陽翔は、隣で背中を向け寝ている慶にちらりと視線を向け問いかけた。ごそりと布団の中で少しだけ足を動かした慶は「起きてるぞ」と答えた。
「写真の件、本当にすみませんでした」
「なんだよ急に…?」
陽翔の謝罪の意味が分からないとでも言うような困惑した声色を発した慶は、ベッドから身体を起こし陽翔のことを見た。慶につられ陽翔も起き上がり言葉を続ける。
「ちゃんと謝れてなかったなって、あんな写真みんなに見られて…先輩からしたら大迷惑ですよね、僕どう責任とったら…」
色々ありすぎてすっかり後回しになってしまったが、今朝貼られていた写真、あんなものが学校中の人間の目に触れてしまったことに陽翔は大きな負い目を感じていた。生徒たちの憧れのような存在の難波慶、そんな慶が男と付き合っていただなんて知られてしまったからには、慶のイメージダウンはかなり大きいものだろう。
「さっきも言ったけどあれは空音の仕業なんだろ?それなら陽翔が謝るのはおかしいし、お前が責任感じる事は一切ないよ」
「だけど…っ根本的には僕を陥れたいっていう動機で空音がやった事で…結局は僕のせいみたいなものだから…」
陽翔が最後まで言い終わる前に、慶は「はぁぁぁ~~」と大きなため息をついた。陽翔は慶の態度にビクリと肩を震わせ慶の顔を見た。
「お前はなんでそこまで自分のせいにしたがる、動機はなんであれ空音が勝手にやった事なんだからお前は一切悪くないんだ。いくら双子だからって片方がやった事を一々気にしてたらキリが無い。それにお前は陽翔だ、空音じゃないだろ?」
陽翔の肩をがしりと掴んだ慶は力強い瞳で陽翔に訴えかける。慶の言い分は最もだった、陽翔は空音ではない。空音ではない陽翔が今回のことを根に持ち続けるのは確かにおかしな事なのかもしれない。それでも陽翔は自分のせいにせざるを得なかった、そうでもしないとなんだか落ち着かないのだ。陽翔の性格では完全に空音のせいだと決めつけ知らん顔する、などといった事は難しかった。
「それでもやっぱり先輩に迷惑かけた事がすごく申し訳なくて…空音の仕業だとしても僕自身責任を感じてしまうというか…」
「迷惑って別にお前との関係がバレたところでだけどな」
「えっ?僕と付き合ってるってバレたら先輩は男が好きなんだって思われるんですよ?同性愛に偏見を持たない人だっているかもしれないけど…やっぱり男同士ってだけで軽蔑する人も少なくないはずです。先輩が軽蔑されるのなんて僕耐えられませんよ」
不安げに瞳を揺らしている陽翔を他所に、慶は清々しい表情で「そんな奴ら構わなきゃいいんだよ」と言った。
「男同士で付き合ってるからってなんだっていうんだ、そんなちいせぇ事で軽蔑したり馬鹿にするような奴とはつるまなきやいい話だ。それに少ししたらみんな俺らの事なんざ忘れるさ」
「ほら、もう寝るぞ」と慶は再び横になり陽翔に背を向ける。そんな慶の背中を見つめ「慶先輩はほんとかっこいいですね」という言葉が陽翔の口から漏れた。
「ははっありがとな、最高の褒め言葉だ」
最高にかっこいい男の大きな背中は、どこか陽翔を安心させるものがあった。本来ならば眠ることなどできなかったであろう、しかし隣に慶が居ることの安心感に、陽翔はいつの間にか瞳を閉じていた。
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