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深淵4
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「タクトさん、帰ったほうがいいのでは…」
あれから数週間後、住んでいる地域の対ヒュブリスの夜警に拓徒の姿があった。常連の参加者から心配される。この夜警の中で一番に力があるのは拓徒だが、沈んでいるのは目に見えてわかった。
「…処方薬は服用して、効いています。心配にはおよびません」
使命感だけでヒュブリス討伐に参加していた。夜警にさえ姿を見せなければ自身がどこからも必要とされてないとわかってしまう。
平静を装うって発言したつもりだが、周りには既に拓徒の瞳に生気がないのが映っていた。
この人は理性を超えた部分で自身を支えているのだ。夜警のリーダーが説明を始める。
「私達地域は幸いにも今月、ヒュブリスは出現していない。」
それ故隣接地域の応援になった。
話を聞くにつれ、そのヒュブリスの餌食には心当たりがある。
「マルチ商法の一角のトップだったらしい。自分の欲に呑まれたんだな」
「(情けが災いしたか)…」
居酒屋での夜、外でなら無理矢理出現させて討伐することが出来たかもしれない。
応援先の市民広場は広めだ。満月で芝生広場が明るい。
「皆さん、お疲れ様です」
隣接地域の夜警リーダーが声をかけた。
参加者は片手程度しかいない。
話というか愚痴によると今回もヒュブリスはしぶといらしく、なかなか仕留めるのが難しいそうだ。範囲が広いので二手に別れて警ら中らしい。
「(情報がなさすぎる)…」
拓徒は苛ついた。感想が聴きたいのではなく、化け物対策がしたいのだ。
「予想ではこの通りに出現するはずです」
見渡せば夜警団以外に人影はいない。
ただ静かな夜だ。
そのはずだった。
遠くにふと見つけた人影、拓徒の肌は唐突に鳥肌を立たせた。この悪寒、間違いない。
「来ます!構えて!」
何ヶ月ぶりに叫んだ。全員がそれぞれ心剣を出そうとした刹那、目前に居たひとりが消えた。
直後に木に叩きつけられる音、うめき声。
やられた。他者は地面に転がり混んで何かからの攻撃をやり過ごした。
無意識に拓徒の口元が歪んだ。
ちょうどいい。希死念慮が薄れる。
視線はあの人影に走る。攻撃は確かにそこから来ていた。人から長過ぎる腕が延びていたから。わかる、ヤツの姿。
「タクトさん!」
「気をつけて!皆さん、散らばりましょう」
くるりと体勢を整えながら立ち上がる。
人影はヒトの形ではなかった。
胴体は変わらないが大きすぎる頭部は全体の三分の一を占め、眼は通常の人体の頭ほどある。
巨大な鼻と顔の半分を口が覆っていた。
あれから数週間後、住んでいる地域の対ヒュブリスの夜警に拓徒の姿があった。常連の参加者から心配される。この夜警の中で一番に力があるのは拓徒だが、沈んでいるのは目に見えてわかった。
「…処方薬は服用して、効いています。心配にはおよびません」
使命感だけでヒュブリス討伐に参加していた。夜警にさえ姿を見せなければ自身がどこからも必要とされてないとわかってしまう。
平静を装うって発言したつもりだが、周りには既に拓徒の瞳に生気がないのが映っていた。
この人は理性を超えた部分で自身を支えているのだ。夜警のリーダーが説明を始める。
「私達地域は幸いにも今月、ヒュブリスは出現していない。」
それ故隣接地域の応援になった。
話を聞くにつれ、そのヒュブリスの餌食には心当たりがある。
「マルチ商法の一角のトップだったらしい。自分の欲に呑まれたんだな」
「(情けが災いしたか)…」
居酒屋での夜、外でなら無理矢理出現させて討伐することが出来たかもしれない。
応援先の市民広場は広めだ。満月で芝生広場が明るい。
「皆さん、お疲れ様です」
隣接地域の夜警リーダーが声をかけた。
参加者は片手程度しかいない。
話というか愚痴によると今回もヒュブリスはしぶといらしく、なかなか仕留めるのが難しいそうだ。範囲が広いので二手に別れて警ら中らしい。
「(情報がなさすぎる)…」
拓徒は苛ついた。感想が聴きたいのではなく、化け物対策がしたいのだ。
「予想ではこの通りに出現するはずです」
見渡せば夜警団以外に人影はいない。
ただ静かな夜だ。
そのはずだった。
遠くにふと見つけた人影、拓徒の肌は唐突に鳥肌を立たせた。この悪寒、間違いない。
「来ます!構えて!」
何ヶ月ぶりに叫んだ。全員がそれぞれ心剣を出そうとした刹那、目前に居たひとりが消えた。
直後に木に叩きつけられる音、うめき声。
やられた。他者は地面に転がり混んで何かからの攻撃をやり過ごした。
無意識に拓徒の口元が歪んだ。
ちょうどいい。希死念慮が薄れる。
視線はあの人影に走る。攻撃は確かにそこから来ていた。人から長過ぎる腕が延びていたから。わかる、ヤツの姿。
「タクトさん!」
「気をつけて!皆さん、散らばりましょう」
くるりと体勢を整えながら立ち上がる。
人影はヒトの形ではなかった。
胴体は変わらないが大きすぎる頭部は全体の三分の一を占め、眼は通常の人体の頭ほどある。
巨大な鼻と顔の半分を口が覆っていた。
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